ここでは、豊後梅(ブンゴウメ)の若木を例に
春と夏に行なう徒長枝の剪定方法について動画で解説しています。

年1回の手入れだけで、なるべく梅の木を大きくさせない切り方です。

夏の剪定なので、剪定後は徒長枝が伸びることは覚悟しなければいけませんが、
徒長枝がどのような役割を果たすのか、徒長枝をどの程度切ればどのようになるのかわかります。

枝を作る時は、できれば太い徒長枝の枝ではなく細い枝で作るようにするとよいです。
場合によっては太い枝で枝を作る必要もあります。

それは、徒長枝であっても枝ぶりや上下にある枝の樹勢によって残したり、
途中で切り残しおいて将来の行方を見る時に行ないます。

大雑把にですが、遠くから見て輪郭が整っているか気にしてみて、
徒長枝がそれを邪魔しているのであれば抜いた方がよいです。

時々遠くから樹形を見渡してみて、樹形がおかしくないか確認することも大事です。

植木屋の本音に共感!

動画の終わりで、最後にボソッと植木屋の本音が出ています。
全ての植木屋さんがそのように思っているのかは定かではありませんが、私も同じ考えでいます。

「葉っぱが生い茂ったらうっとうしいので切りたい!」という人間のエゴのために、
決して感情が表面に出ることがなく、動けないでいる梅の木はいつも犠牲になっています。

人間でいえば、たくさん食べてせっかく太ったのに
「大きくなりすぎてうっとうしくなったから手術で脂肪を切り取ってあげるよ!」

と言われているのと同じだと思います。でも、切り取ったらそこを修復しようと体中の栄養分がそこに向かって行きます。そして手術をしたことで体は衰弱してしまいます。

木の場合も、切られたらそこを修復しようと徒長枝となって出てきます。栄養分がそこに向かって行くので徒長枝が出る場所は切った周辺が圧倒的に多いのですが、その他の部分には栄養が行き届かないので衰弱する傾向はあります。

それを夏に行なうとどうなるでしょう。

夏は葉っぱが生い茂りますが、どうして葉っぱが出るのかというと、光合成を起こして木に栄養を蓄えるからです。根だけから養分を吸い上げるわけではなく、上にある葉っぱからも養分を補給してるのです。

その養分は来年に咲く花芽の形成や、実をつけるのに役立ちます。しかし剪定を行なうことで、花芽に行くはずの樹勢は、ムダに修復する徒長枝に取られてしまいます。

もっと悪いことに、切ったところから徒長枝が出るのですが、切る前以上に徒長枝が伸びることもあるということです。これではいくら剪定をして木がきれいになったとしても、2度手間になる可能性もありますので、夏の強い剪定はおすすめしません。