ここでは、間違った時期に梅の剪定をしてしまい「花が咲かない!」と後悔しないように、花芽のポイントを解説しながら、梅の花を咲かせる剪定時期について解説します。
梅の花は前年生枝タイプなので、前の年に花芽を形成し、翌年の春に花を咲かせます。
梅の花の咲く時期は、地域によって変わりますが、だいたい1月から3月頃にかけて咲きます。
梅の花芽はいつできるか
花が咲く木の剪定時期は、花後に行うとか、夏までにすませる、と園芸書には書いていることがあります。しかも、それが定説になっているようですが、梅の場合は当てはまらないようです。
梅の花は前年生枝タイプで、前の年に花芽が形成され、次の年の春に蕾が膨らみ花が咲きます。
では、花が咲くためには花芽ができあがる時期が重要ですが、梅の花芽はいつできると思いますか?
答えは、梅の花芽が分化するのは、7~8月ころで、9~10月頃になると花芽も固まります。
もしも、花芽が固まる前に剪定してしまった場合、花芽になろうとしていた芽が、葉芽に樹勢を取られてしまい、その結果、翌年の開花は期待できません。分化する初めの頃は、花芽も葉芽も違いはありませんが、あまり早い時期に剪定をしてしまうと、花芽よりも葉芽に勢力が注がれてしまうので、花芽がつきにくくなってしまいます。
たとえば、花後の剪定がよいと信じていたために、5月に剪定したとしましょう。
すると、徒長枝は勢いよく樹形が乱れるほどグングン伸びてしまいます。この伸びた枝は葉芽に樹勢を取られるので、切った部分が多い場合、花芽は少なく形成されるので、翌年の花は少ないです。
梅は樹勢が強く、切られたことがきっかけで、もっと枝を伸ばさなければいけないと勘違いしてしまい、本来、花芽が出来上がる芽が葉芽に変わってしまう習性があります。花芽が確定する前に剪定してしまうと、せっかく花芽になりかかっていた芽も、葉芽に変わってしまうということです。
このことからもわかるように、梅の剪定は、花が咲き終わった後ではなく、花芽が確定した後に剪定しないと次の年の花芽の数を減らすことになります。
花を咲かせる具体的な剪定時期はいつか
10月頃になると花芽も固まることから、剪定しても葉芽になることはないので、剪定は花芽が確定した後の10月ころからつぼみが膨らみ始める1月~3月頃までの間に行うとよいです。
ただ10月頃は、まだつぼみが小さいので、葉芽と花芽の区別して剪定することは難しいです。10月ころ梅の剪定をしようと思っていても、まだ葉が多く茂っている場合は、なかなか樹形も見定めにくいと思います。
私の経験上からも、梅の剪定の時期は、「10月頃~芽吹く(花芽がわかる)までの間の休眠期」が良いと思います。
梅は冬に剪定するのが理想的な理由
梅は冬に剪定するのが理想的ですが、その理由を解説します。
前年に貯蔵された養分を使い果たして花芽が形成された10月ころに剪定すると、翌年の4月まで枝はほとんど伸びないので、剪定後は比較的きれいなままの状態を維持できます。
花芽が形成された10月ころに剪定すると花芽を落としてしまうのではと心配になるかもしれませんが、その年に伸びた長い徒長枝には、葉芽は多くつきますが、花芽はつきません。梅の花芽は新梢の先端部ではなく、樹幹に近く、太枝から伸びる細く短い枝や、長い枝でも元部の方に多くつきます。
梅の木の冬期剪定は、葉を落として休眠状態になるので、枝の混み具合がよくわかります。しかも、葉が落ちてから花が咲き始める1月前後までの剪定なら、葉芽と花芽のつぼみの状態を確認できますし、枝の混み具合が分かるので作業もしやすいです。
このような利点から、梅の剪定を冬に行なうのが理想的なのです。
梅を夏に剪定するとどうなる
では、冬とは逆に、梅の木を夏に剪定するとどうなると思いますか?
一般の人はどうしても、葉っぱが生い茂り、うっとうしくなった夏場や、お盆前にきれいにしておきたいから剪定をするものだと思っていますが、実はそれは、来年の花芽の数も減らしますし、切った後にその場所からさらに枝が伸びようとします。
切ったその部分には修復作用が働き、集中して栄養が送られてしまうことで、花芽が形成されないので、花芽の数も激減し、逆に葉芽が増え葉っぱが多く発生することになります。しかも、まだ葉が付いている時の剪定作業は、樹勢を落とすことになります。
これらのことからも夏期剪定はお勧めしませんが、最悪の場合は、夏に剪定してもよいです。ただし、その場合の剪定は、大胆な剪定はできません。
・全体の樹形を見て形を軽く整えます。
・幹や太い枝から、突発的に伸びた枝を間引くように切り取ります。
この剪定をすることで樹形は整いますし、空間を作ってあげることで、風通しを良くすることができます。ただ、切り取った後から新芽が出てきて樹勢を弱らせます。花芽が減り葉芽が増えるので、見つけ次第、切り取ったり、摘んだほうが良いです。