梅の木の基本的な剪定方法

梅には、「果実を成らせるための剪定」と、「花を咲かせるための剪定」の、2種類の剪定方法があると考えています。

ここでは、この2種類の基本的な梅の剪定方法について解説していきます。

梅の果実を重視した剪定

果実をならせるための基本的な剪定は、徒長した枝の長さに着目します。

果実がなりやすいのはこんな枝

梅は春から秋に伸びた黄緑色や紅色の枝についた花芽から花が咲きますが、花が咲いたとしても、そのすべてが果実になるわけではないようです。

30cm以上の長くて太い長果枝(30~60㎝)には、花が咲いたとしても、不完全な花芽が多く、果実はあまりつかないことが多いです。そして、中果枝(10~30㎝)や、10cm以下の短い短果枝には、高い確率で実がなります。
果実をなりやすくする梅の剪定方法

果実をならせるには、短果枝や中果枝を発生させるような剪定で、枝を残すことがポイントです。

果実をならせる枝の剪定方法

花が咲いた後に剪定する場合、図のように、結実しにくい長果枝の先端を、①軽く切り詰めから、②1/2切り詰めすることで、結実しやすい短果枝を発生させることができます。
果実をならせる枝の剪定方法

①軽い切り詰めや、②1/2切り詰めした枝には剪定した翌年には果実がなりやすいです。
③2/3切り詰めのように切りすぎると、ほとんどの枝が、葉っぱだけが生える長果枝になってしまうので、結実しません。

短果枝や中果枝は、長果枝を切り詰めて作ることができますが、切り詰めすぎると、再び長果枝が発生するので注意が必要です。

花を重視した剪定

花を咲かせるためには、何もしないで放任しておくことが一番なのですが、庭に植えてある梅は、花も咲かせたいし、できればきれいにしておきたいことでしょう。そこで、花を咲かせるためにはどのような剪定をしていったらよいのかを解説します。

花を咲かせるための剪定時期は、夏場や繁茂期など、葉っぱが生い茂る時期からずらして、10月から1月ころまでに行なうとよいです。

その理由は、梅の花を咲かせる剪定時期はいつがよいかの中でも解説しますが、花芽が形成される時期に関係しています。

梅は、花芽が分化する時期が、7~8月ころで、9~10月頃になると花芽も固まります。

花芽が形成される前に剪定してしまった場合には、花芽になろうとしていた芽が、葉芽に樹勢を取られてしまうので、翌年の開花は期待できません。

10月頃になると花芽も固まることから、剪定しても葉芽になることはないです。

だから、あまり早い時期に剪定をしてしまうと花芽がつきにくくなるので、地域によりますが、剪定は花芽が確定した後の10月ころから、つぼみが確認できる12月から1月頃までの間に剪定するのが良いです。

あまり遅い時期の剪定になると、根がすでに動き始めている可能性が高いので木には良くないです。

すでに花芽が形成され、時期を考慮して、②1/2切り詰めか、③2/3切り詰め(10~20cmくらい残す)剪定をすると、春先に下図のような花芽のつぼみが見られるようになり、しだいに花も咲いてきます。
梅の木の基本的な剪定方法

冬期剪定は葉っぱがないので樹形内部がわかり、スッキリとした剪定ができますし、樹形もきれいに仕上がりますので、枝を短くしておいた方がよいです。

この場合、花芽はすでに出来上がっているので、残した枝に花芽の蕾があれば、花は咲きますので心配いりません。