梅の木の樹勢が弱々しく元気がない原因と対処法

梅の花が咲かなくて木も弱々しく感じる、という悩みを持たれている方がけっこういるようです。

花が咲かないという場合は、たいていは、剪定時期を間違っているために、花芽ができないことに原因があるようです。しかし、剪定時期を間違っていなくても、なんだか弱々しく感じたり、花の数が少ないと感じている方もいるようです。

ここでは、剪定時期を間違っていないのに、梅の木が弱々しく感じるのは、何か原因があるのか、その対処法はあるのか解説していきます。

梅の木が元気がない4つの原因

梅の樹勢が弱々しく感じる理由として、4つ考えられることがあります。

もしも、庭に植えてある梅の木が元気がないようでしたら、次の4つに当てはまっていないか気にしてみて下さい。

梅の木に当たる日の量が少ない

梅は陽樹で日の光を好みますので、梅の木の真上や周囲に日光の妨げとなる構造物や樹木があると、樹勢を弱める傾向があります。特に、午前中に日が当たっていないとその傾向が強いようです。

我が家でも、桜の木(ソメイヨシノ)が梅の木の真上をすっかり覆っており、しかも午前中に日が差さないので、花はそこそこ咲き、実もなるのですが、樹勢が弱く、ほぼ剪定を必要としません。

梅の木の樹形

伸ばしすぎた徒長枝の強い剪定

徒長枝を伸ばし花芽をつけると来年から花が咲きますが、その後、徒長枝を伸ばしすぎた時に、いきなり短く切ってしまうと、花芽も一緒に切り落としてしまう可能性が高いです。

通常、短い枝に花芽はつくのですが、徒長枝を伸ばしすぎると、根元付近には花芽はつかないようになり、枝の先の方にしか花芽がつかなくなります。その状態で、短く切ってしまうと、花芽がついていない枝を残すことになります。

つまり、長くなった徒長枝を短くした場合には、花芽も一緒に切る可能性が高く、年数が経った徒長枝は、短い部分に花芽はつかなくなる習性があるので、そのような枝の切りすぎる方法はよくないです。

下図の徒長枝の場合、先端に近い赤丸部分には花芽がついています。
黄色い線よりも下を残して切った場合には花芽がないので、花は咲きません。
梅の木の徒長枝

病害虫に侵されている

暖かくなると、どこからともなく病害虫がやってきて、いつの間にか増えていることがあります。特に、樹形の内部が密集している場合には注意が必要です。

病害虫は、風通しが悪くてジメジメとした、枝葉が混み入っている樹形内部をたいへん好みます。そのような場所には害虫が発生しやすく、葉が異常をきたすと光合成をしにくくなり、樹勢もだんだんと弱くなってきます。

葉っぱは枯れてもまた生えてくる可能性がありますが、枝が病害虫に侵されて枯れてしまうと、その枝には花芽はつきませんし、もう枝が生えてくることもありません。

害虫は伝染病を運んできたて樹勢を脅かしますので、そのようなことにならないように、事前に対策を取っておかなければいけません。

土壌環境が適していない

梅の木が弱々しい事のひとつに、養分を提供している土壌の性質が適していない場合があります。

梅の木は、弱酸性(ph5.5~6.5)の土壌を好みますので、梅の木が健全に生育していない場合には、酸性度を計測してみて、その結果によっては、土壌を改良する必要があるかもしれません。

また、梅は根の酸素要求量が高いので、排水の悪い場所では生育が損なわれます。たとえば、植えてある土壌が粘土質である場合は、水が地面に浸透しないで溜まる可能性があり、生育が阻害される可能性があります。

土壌環境に関連していることなのであわせてお伝えしますが、たまに、除草剤を撒いてしまったら、木が枯れたり、樹勢が弱くなってしまったと聞くことがあります。除草剤は草を抹殺する劇薬で、土壌の性質も変えてしまいますので、散布する予定があれば気をつけてください。

元気がない梅の木を改善する対処法

日の当たる量が少ない場合の対処法

梅に当たる日の量が少ない場合の対処法は、

1.思い切って梅を移植する

大きくなりすぎた梅の木の場合は、木だけでなく土の重量があり、重機などを利用しないと移動が難しいので、移植は難しいかもしれません。また、老木の場合も、根回しをして数年かけて行わなければいけないので、手軽に行なうことはできないかもしれませんが、それ以外で移植が可能であれば場所を移すことを考えてみるとよいです。

2.覆っている樹木を切り日差しを増やす

梅の木を覆っているものが構造物である場合は、取り壊すことになるので、日差しを取りいれることが難しいかもしれません。

梅の木の上を覆っている物が木であれば、枝を整理して、できるだけ日が当たるような環境を増やしてあげることが可能です。こちらの方が現実的かもしれませんね。

伸ばしすぎた徒長枝の対処法

伸ばしすぎた徒長枝の対処法は、長くなった徒長枝は、一気になくなって花数を減らさないように、何年かかけて、数本間隔に間引いて数を減らしたり、短くならない程度に長さを調節して切るとよいです。

梅の花芽は短い枝につく習性がり、長い枝の根元に近い部分には、葉花芽はつかないので、徒長枝を伸ばしすぎないことを心がけることです。

徒長枝が伸びすぎた場合には、夏に強剪定をすると徒長枝が出てきて樹勢を弱めますので、一気に全ての徒長枝を切る場合には、冬期に強剪定をして切り戻し整理することをおすすめします。次の年の花芽は期待できませんが、その後の管理しだいで、その翌年からは花を咲かせることが可能です。

病害虫に侵される場合の対処法

病害虫に侵されている場合の対処法は、樹形の内部が密集している場合には病害虫が発生しやすいので、事前にそうならないように環境を整えてあげる方法を取っておきます。

具体的には、春から夏に向かって伸びる新芽や徒長枝を整理して、樹形内部を混み合わないようにします。そうすることで、風通しが良くなり、樹形内部の葉っぱにも光が差すようになり、病害虫の発生を極力抑えられますので、健全な樹勢に向かっていきます。

もしも、すでに病害虫に侵されてしまっている場合には、薬剤を散布して防除する方法があります。病害虫の種類にもよりますが、ホームセンターなどで、用途に合わせた薬剤が販売されています。マラソンやスミチオンなどを薄めて散布する方法が一般的ですが、劇薬に分類されている薬剤の購入には印鑑が必要になります。
害虫駆除薬剤

土壌環境が適していない場合の対処法

土壌環境が適していない場合の対処法は、一度土壌の酸性度をph(ペーハー)測定器を使って調べてみるとよいです。もしも、弱酸性(ph5.5~6.5)でなければ、phが5.5よりも低い場合は、消石灰か苦土石灰を、phが6.5よりも高い場合は、硫黄末などを、土に混ぜ込みます。
土壌改良で使う消石灰

土壌改良で使う苦土石灰
根の周辺を一度掘り上げ、その土に土壌改良剤を混ぜ込み、再びphを測り、規定値(ph5.5~6.5)になったら土を戻してやるとよいです。
土壌改良で使うPH測定器
※消石灰は、土のphを上げてアルカリ性に換えます。
※硫黄末は、土のphを下げて酸性に換えます。

植えてある土壌が粘土質の場合は、排水が悪く生育が損なわれますので、掘り起こすことが可能であれば、一度、根の下50cmくらい深くまで掘り込み、粘土質層を腐葉土やピートモスを混ぜ込んだ土と入れ替えて、植えこむ時の仕上げで高植えする必要があります。また、土中に暗渠排水などの排水を確保できる対策もあります。

くれぐれも、根元付近に除草剤を撒かないようにして下さい。