今回は、「いろいろなサイトを見ていたら、花後に切るとか冬期に切るとかいろんな記述があり困っています。今後どのようにすれば、来年以降、花を楽しむことができるのか」という、奈良・M様の事例を、いただいた写真を元に剪定や手入れの方法を解説しています。

解決したいこと

しだれ梅を昨年の2月に2本購入し、庭に植えました。
昨年は、どちらも少し花を楽しむことができました。
その後、よくわからないまま、花後に長い垂れた枝を剪定しました。
今年は、十数輪の花だけがひっそりと咲き、散ったところです。
今年は、残念ながら、花は咲きませんでした。
どこをどうしたらよいのかわかりません。
いろいろなサイトを見ていたら、花後に切るとか冬季に切るとかいろんな記述があり困っています。
どちらもこの後、どのようにすれば、来年以降、楽しむことができるのか、ご指導いただきたく宜しくお願いいたします。

というご相談内容です。

4枚の写真を送っていただきました。

枝垂れ梅の高さを決める

Mさんは枝垂れ梅の高さをどのくらいにしようとお考えでしょうか?

私が見た感じでは、庭の広さから見て今現在の高さがちょうどよいと思います。

あるいは人によっては今の半分の高さでもよいと思うかもしれません。

もっと高くしたいという場合には、数年放置しておいても大丈夫です。

今回は今の高さに決めると想定して剪定についてお伝えしていきますね。

枝垂れ梅の剪定について

さて枝垂れ梅の剪定ですが、Mさんからは
>>いろいろなサイトを見ていたら、花後に切るとか冬季に切るとかいろんな記述があり困っています。
>>どちらもこの後、どのようにすれば、来年以降、楽しむことができるのか、

ということに悩まれ相談されましたが、そもそも枝垂れ梅は今年(これから)伸びる枝に7~8月ころまでに花芽をつけます。

たぶん他の専門書やサイトでは「花後に切れば良い!」とマニュアル通りに書かれているかと思います。それも間違いではないとは思います。

私が実践してきた経験でお伝えしますと、このように考えています。

その切られた枝の部分は樹勢を失うだけでなく、切られたことでもっと「枝葉」を伸ばさなければならないと思い込んでしまいその部分に木全体の樹勢が集中してしまい「花のつく枝」ではなく「葉っぱが多くつく枝」がでるようになり、太い枝ほど顕著に表れます。

だから花が咲き終わっても、その後花芽がつき終わっても、尚且つ、葉っぱが落ちきるまで、できればそっとしておいてほしいです。

すなわち今の状態であれば、これからどんなに枝葉が伸びても「放置」していてよいということです。

とはいいましても、次の冬に葉が全部落ちたからと言ってガッツリと短く切ってしまえばせっかくついたかもしれない花芽も落としてしまいますので、その場合は、ほどよく間引いたり適度な長さにしたりすればよいと思います。

冬は木が寝ているので切っても樹勢に関係がありません。

でもあんまり短くしても、せっかく枝垂れる枝にたくさん花が咲くその趣を感じられなくなると思います。

もちろんこの先どんどん枝が増え伸びてきて大きくなったら今よりもずっとうっとうしい枝葉の状態になると思います。

その時こそ間引く剪定とほどよい長さに仕立てる剪定をしてください。

枝垂れ梅の剪定・写真で解説

★いただいた写真で、これから伸びると予想される枝で、切る枝(黄色)、残す枝(緑色)を入れておきました。

緑色はこれから伸びる枝で、上に伸びるので残す枝です。
状況により適宜に生え際から間引いてください。(緑色の破線

黄色い線はこれから伸びる枝で、下に伸びる枝なので不要な切る枝です。
全てカットしてください。

3か所赤線で切る位置を示しておきました。これも下に向かっている枝で、不要だと思いましたので線を入れておきました。

赤い破線も2か所入れておきましたが、全体のバランスによってはこの部分で切れば良いです。

赤い線黄色い線は、今切っても大丈夫です。

たぶんこれから黄色い線の位置に下に向かって葉っぱが出てくると思いますが、
葉っぱが出たら取った方が、樹勢も葉っぱにとられなくなるので見つけ次第取った方がよいです。

枝垂れ梅のどの枝を切るか

今は主枝が決まっていませんので切る必要がない状態です。

もうちょっと伸ばして、様子をうかがった方がよいでしょう。

天辺あたりもうまく枝が落ち始めてきているので、その位置で仕立てればよいと思います。

不要だと思う枝が出てもその時に切れば良いです。

今は様子を見ながら、あまりすることはないです。

この写真をご覧ください。

枝垂れ梅だけでなく枝垂れる木の基本的な剪定方法を図にしました。

黄色い線が切る位置です。

枝の下から下向きに向かう「青い枝」は不要な枝なので切ります。

赤い枝」でも下に伸びる枝は全て切っていることがわかると思います。

これを覚えると「枝垂れ梅」だけでなく「シダレモミジ」とか「シダレザクラ」など、その他の枝垂れる木にも使えますので、覚えておいて損はないです。