梅はどんな特徴がある木か

梅はこんな木

梅はバラ科サクラ属スモモ亜属に属している、中国原産の落葉小高木です。生長速度はやや遅く、日当たりや湿気を好む木で、萌芽力は強いですが、大気汚染には弱いです。

梅はサクラと共に日本人の心の花として親しまれることが多く、花を楽しむ花梅と、実を取るための実梅に大別され、花梅は300種以上、実梅は100種以上もあり、花の色もバリエーションが多く、品種も驚くほど多彩です。

自然な樹形の場合だと、樹高は5~10m、枝張りは3~8mにもなりますが、庭植えや観賞用では管理しやすいように、樹高2.5m、枝張りも2.5mほどに仕立てられます。

松、竹とともに縁起物として、日本全国の至る場所でその存在感を漂わせるほど、日本人になじみ深いものとなっています。

日本に渡来した歴史

渡来の歴史は古く、日本にも梅が自生していたという説もあります。しかし、原産国は中国、朝鮮半島、台湾ではないかと言われ、その中でも最有力なのが中国で、長江流域の山岳地帯であると考えられてきました。また雲南省西北部や四川省西北部、という説もあります。

日本で一番古く発見された梅はいつの時代か

日本で一番古い梅が発見されたのは、梅の核が縄文時代(約1万5,000年前の紀元前131世紀頃、から約2,300年前の紀元前4世紀頃)の遺跡からは発見されず、弥生時代(紀元前10世紀頃から紀元後3世紀中頃まで)の遺跡からは発見されたことから、日本への渡来は弥生時代と考えられています。

奈良時代(710年~794年)にはすでに早春を告げる花木として植えられていたのが、文献に記されている事からはっきりとわかっています。

日本最古の梅の文献は何?

日本で一番最古の梅の文献は「懐風藻(751年)」や「万葉集(759年)」といわれ、この頃にはすでに中国の文化と一緒に花梅が渡来し栽培が行なわれていたようです。

梅の語源は、烏梅(うばい)から来たとされています。烏梅というのは、梅の実の黒焼きのことで、中国では鎮痛薬や整腸など、薬用として広範囲に使われる最高の薬として重宝されていたようです。

梅の木の各部位別の特徴

ここからは、花の特徴、芽の特徴、果実の特徴、葉の特徴、枝の特徴、根の特徴など、梅の木の各部位別の特徴について解説していきます。

花の特徴

梅は早春から香りのよい花を咲かせる清楚な花木で、鑑賞や実を食用とするなど、日本人にとても関わりの深い花木で、うれしいことに開花期間が長く、早咲きの品種では2ヶ月、普通の品種でも1ヶ月くらいは咲き続けます。

実梅の花は白色が多く薄紅色からピンク色の品種もありますが、花梅のような紅の濃い品種はありません。花梅の場合は、紅梅、白梅、紅白など様々な花色があり、良い香りがするのは白色が多いようです。花弁は、単弁の品種は5枚が多いですが、たまに7枚くらいの花が混ざっていることがあります。

梅の花の特徴1

梅の花の特徴2

重弁の品種の花弁は40枚です。これは単弁の5枚の8倍にあたる40枚になり、八重と呼ばれます。

梅の花の特徴3

梅の花の特徴4

芽の特徴

梅は1つの節に、通常1~3つの芽をつけます。芽は単芽のことは少なく、多くは2芽以上の複芽を形成します。

芽には花芽と葉芽があり2芽以上の場合、両者が混在することもあれば、一方だけのこともあります。
混在する場合、たとえば、芽が3つである場合は、中央が葉芽で、両脇が花芽であることが多いです。

芽は新梢の生長が止まると、肥大が目立ってきます。通常、梅の花の元となる花芽の分化は、8月上旬から9月下旬にかけてで、早く生長が止まる短果枝では、7月下旬ころから分化します。

梅の芽の特徴

果実の特徴

梅の果実の大きさは、1果あたりの小粒梅系統が3~8g、中粒梅が20g、大粒梅が25~35g、アンズに近い系統では50gを超えるものもあります。

果肉は酸味が強いのが特徴で、5%前後の有機酸を含み、その8割近くがクエン酸と残りがリンゴ酸になり、糖度は1%以下と低いです。果肉は多少の苦味を伴い、花梅の果実などはかなり苦いものがあります。この苦味の成分は、カリウムの化合物で、毒ではありません。

梅の果実の特徴

葉の特徴

梅の葉の形は、卵形や楕円形が多く、先端が鋭く尖ります。

梅の葉は、表面に生じる「毛茸(もうじ)」と呼ばれるうぶ毛のようなものはほとんどありません。葉縁には細かい鋸歯があり、葉柄の基部には2つの蜜腺があります。

枝葉の生長が止まると、落葉期まで枝梢内部に養分を蓄積します。そして、葉は芽の休眠を左右しており、芽は葉を失うと発芽しやすくなる習性があります。

梅にとって葉は、栄養を作る非常に重要な器官であり、秋の遅い時期まで健全な葉をつけていないと栄養の蓄積が少なくなるので、結実の望めない不完全な花が多くなります。

枝の特徴

梅はサクラに比べると葉芽が多いので、枝を切り詰めたとしても、残った部分にも葉芽があるので枯れることは少ないです。

「梅切らぬバカ」という言葉があるように、梅は切ることによく耐えますし、太い枝をどこから切りつめても不定芽の発生があるので枝づくりが容易です。放任した場合でも、古くなれば味わい深さが生まれる木です。

梅の枝の特徴

梅の枝は、一般的に頂部ほど樹勢が強く伸び、頂芽とそれに続く3つくらいの腋芽が長く伸びます。また、10cm以下の短果枝(たんかし)と呼ばれる短い枝を形成し、多くの梅の実は、この短果枝になります。

梅の枝の特徴

根の特徴

梅の根は、酸素がある状態で正常に生育する好気性で、根が分布する範囲は広くて浅い(深さ40cmくらい)のが特徴です。

新根の発生開始期は、早いもので12月上旬から、最も盛んに活動する時期は、1月から3月にかけてです。11月に苗木を植え付けた場合などはもっと早く、1ヶ月もたたないうちに発根が始まります。