枝垂れ梅は、枝垂れるその情景が美しく、花が咲き乱れた時には特にきれいですが、間違った剪定方法をしてしまうとその美しさを見る機会はなくなります。
ここでは、間違った剪定を行なわないことで、春に枝垂れ梅の鮮やかな花が観賞できるように、枝垂れ梅の剪定時期と剪定方法を解説します。
枝垂れ梅の剪定の時期
花が咲く木の剪定の時期は「花が終わった後に行なう」と書籍に書いてあるようですが、枝垂れ梅は、普通の梅と同じで、7月から8月ころに花芽の分化が始まり、花芽の形成が固まるのが9月~10月ころです。
このことからも、花が咲き終わった頃から7月以前に強い剪定を行なってしまうと翌年の花芽は望めなくなります。枝垂れ梅の剪定のベストな時期は、梅と同様、10月頃~芽吹く前までの間の落葉後、冬期の休眠期が良いです。
枝垂れ梅の冬期剪定の良い所は、休眠状態になるころには葉を落とすので、枝の混み具合がよくわかります。これが、葉が付いている時期に剪定を行なうと、樹形内部の状況がわからないだけでなく、梅の木は切った部分を修復しようとするために、樹勢を落としてしまいます。
夏場になると葉がたくさん生えてきてうっとうしくなりますが、人間の心理から、自然とその時が剪定をする時期だと思いこんでいるようです。しかしそれは、翌年の花芽の数を減らすだけでなく、切った部分が修復作用をはじめその部分に集中して栄養が注ぎ込まれてしまい、再び枝葉(徒長枝)が生えてきます。
花後に剪定してはいけない理由
花後に剪定してはいけない理由は、花芽が確定する時期に関係しています。花が終わると今年花が咲いた枝に新芽が出てきて伸び、その年の夏に花芽がつき、その花芽が翌年の2月、3月頃から蕾が膨らむというサイクルを経て花が咲きます。
花芽が確定するのは7月から8月ころなので、枝垂れ梅の剪定は花芽が確定した後に行なわないと来年の花芽の数を減らすこととなります。切った部分の花芽はなくなりますが、その分きれいな姿に変わります。
枝垂れ梅は木の勢いが強いので、切られたことで「これは大変だ!もっと新しい枝を伸ばさなければいけない」と思い込み、花芽が確定する前に切ってしまうと、花芽になりかけていたモノも全部葉芽に変わってしまうということです。
今年花が咲いた枝に来年もまた花が咲くのかというと、枝垂れ梅の場合、古い枝には花はつきにくくなるので、花が咲く可能性は低くなりますので、新枝を更新するような剪定が必要です、。
・花芽が確定しないうちに剪定を行なうと葉芽を増やすことになる
・葉が茂っていて樹形内部が見にくいと剪定の作業効率が悪くなる
・葉が落ちてから剪定すると枝の混み具合が分かり、枝を選んで剪定ができる
・これらのことから、花芽が確定した後、10月頃からつぼみが膨らみ始める前の冬期の間に剪定を行うとよい
夏に枝垂れ梅の剪定をしたらダメなの?
枝垂れ梅の木は冬期にするのがおすすめですが、どうしても夏に剪定しなければいけない時はそれでもかまいません。その場合、全体の樹形を見て形だけを整えるようにするとよいです。
突発的に伸びた枝(徒長枝)を幹や太い枝から間引く程度の剪定を行ないます。
この剪定は、風通しを良くして樹形内部が日陰にならないようにするのが目的で、これだけでもかなり空間ができますし、樹形も整います。
枝垂れ梅の剪定方法
「桜切るバカ梅(枝垂れ梅)切らぬバカ」という言葉があるように、枝垂れ梅は剪定をしないと、木が茂り過ぎて花が咲かなくなることもあります。また、葉が生い茂ることから日が当たらなくなり、風通しも悪くなり、害虫の住み家となります。
枝垂れ梅の剪定は、花芽がつく時期の関係上、10月以降に行なうとよいです。
枝垂れ梅の剪定方法は、全体的なシダレ具合を観察してみて、不要な枝を抜くだけでだいぶ樹形が整うはずです。樹形を崩す突発的に伸びた枝を切ったり、混んでいる枝を間引くなど不要な枝を根から切るとよいです。
シダレウメの木の剪定のコツは懐部分(主幹)に大きく空間を作ると枝垂れる状態がきれいになるので、木の内側を向いて伸びた枝は、思い切ってきれいに切り取るとよいです。
枝垂れ梅の剪定のポイント
枝垂れ梅は下に下にと枝が伸びていく習性があるので、枝の上側の芽を伸ばして、上から落ちていくような枝ぶりを作ってやるとよいです。
1.基本的に下に向かって伸びる枝を全て切る
2.丸で示すように下に真っ直ぐに伸びる黄色の枝を切ります
3.切った後の状態が、上に向かって一度伸びて下に落ちるように枝を活かして切ります
この丸のポイントで切ることで、樹形内部に空間ができます。切った枝が現在は上に向かっていても次第に下に垂れる伸びますので、見栄えも大分変わります。
枝垂れ梅を剪定しないとどうなる?
枝垂れ梅を剪定をしないで放任していると枝数がどんどん増え、枝はその後も伸びて、葉っぱもどんどん増えます。すると、樹冠の内部には光が当たらなくなり生長が阻害されますので、花芽もつきにくくなります。そのような場所は病害虫が好みたくさん発生します。
このような状況を起こさせないためには、冬期に必ず剪定を行なうと樹冠の中に光がよく入るようになり、花がたくさんつくようになります。