梅の木の基本的な剪定作業の時期は、10月頃からの冬期剪定がベストですが、春と夏の時期には、この先の樹勢や生育に関わる、重要な作業があります。梅は1年を通して管理が必要な木です。
ここでは、春と夏の時期に行なう剪定作業について解説します。
春と夏は神経質に梅の木を観察する
春から夏にかけて、気温の上昇により、梅の枝葉が生い茂る時期です。
気温が上がるこの時期になると、人間も病害虫も同じで、活発な活動を始めたがります。
梅の管理で、春と夏に気をつけなければいけないことは、いかにして梅の木に病害虫を寄せつけず、できるだけ着かせないようすることです。そのためには、時間がある時に、梅の木を観察する必要があります。ただし、付きっきりで観察する必要はなく、週に1度程度でも、梅の木と対話するように診てあげてください。
夏に向かうにつれ、新芽が生い茂ってくると思いますが、この時期の観察が一番重要です。
どんなところを観察してあげるのかというと、まずは、枝葉の伸び具合いや混み具合いです。必要な新芽や徒長枝はそのまま生長させてあげればよいのですが、ほとんどの新芽は徒長枝となり、樹勢を奪ってしまい、花芽をうまく形成できなります。しかも、枝葉が混んでくると、樹形内部に日が当たらず、風通しが悪くなり、害虫が住みやすい環境になり害虫が発生します。
害虫は伝染病などを運んできたりしますので、しだいに病気に侵されるようになります。すると、その樹形内部の樹勢は弱ってきて、うまく花芽を形成できなくなります。
不要な徒長枝ばかりが伸びて、花芽をつける必要な枝葉の樹勢が悪くなるので、梅の木を観察しなければならないのです。
梅の木の春と夏の時期に行なう作業
春と夏の時期に行なう作業としては、伸びた枝葉を剪定することではなく、梅の木を観察して不要な新芽や徒長枝を抜き取ることです。
夏の時期に普通に剪定作業を行うと、切ったところから、再び徒長枝が発生し、切る前以上に徒長枝が増える可能性が高いです。しかも、その伸びた徒長枝は花芽はつけませんし、樹勢だけを奪って葉芽だけをつけるので不要な枝になります。
それでは、ここからは、梅の木の春と夏の時期には、具体的にどのような作業をしたらよいのかを解説しますが、基本的な作業は、新芽が生い茂ってきたら、それを人の手で樹勢を調節してあげるために、新芽が少し伸びた時期を見計らって摘み取る作業を行ないます。
手順1.樹形(外見)を整理する
まずは、外見をパッと見した時に、樹形を乱してポッと飛び出している新芽や徒長枝があるのに気づくと思います。
新芽が伸びたら摘み取りますが、どの程度の長さを摘み取ったらよいのかというと、元々の樹形があるわけですから、その伸びた分を摘み取り、元の樹形に戻る感じに仕上がれば良いです。
1本1本手で摘み取るのが面倒であれば、刈り込みバサミで、元の樹形に戻すように、新芽だけを切り取ります。その際に注意することは、深く刈り込んでしまうと、そこから不要な徒長枝が伸びてきますから、その際には深く刈り込まないことです。
手順2.内部を整理する
そして、樹形内部の作業ですが、これも、伸びた新芽や徒長枝を切り取ります。
この場合、外見では見えない部分がありますので、樹形内部の詳細を診る必要があります。
樹勢が強いと内部の枝葉は混み合い、密集している場合が多いので、作業としては、まず、下から覗き込んでみるのが良いでしょう。
枝葉が混み合っている状態であれば、日は当たらないので、下からはお空が見えないはずです。
手順1で、はじめに、外見を整理していれば、少しは日がは当たりやすいようになっているはずですが、それでも樹形内部に日が入ってこないようであれば、内部に日が入ってくるように、新芽や徒長枝を抜き取ってやり、調節する作業が必要です。
太い枝や幹から生える新芽や徒長枝は不要なので、樹形を作ったり整える上で必要でない限り、全て抜き取った方がよいです。