梅の木が枯れる原因と事前の対策

梅の木は樹勢が強く管理がしやすいので、あまり枯れるという事はありませんが、生育の途中でどこかに不具合が生じていると、しだいに樹勢が弱くなり枯れてしまうこともあります。

どこに不具合が生じているのかは、梅の木の状態や生育環境を観察してみないと判断できませんが、ここでは梅の木が枯れやすい原因と対策について解説していきます。

梅の木が枯れる原因

梅の木が枯れる原因には、意外にも剪定をしすぎて枯れるという事はあまり聞いたことはなく、梅の木が病害虫に侵されている場合や、生育環境に問題がある場合が多いです。

なので、ここでは病害虫によってどのようにして枯れが起こるのか、生育環境によってどのような原因で枯れが起こるのか、その2点について解説します。

1.病害虫によって枯れる原因

葉っぱが伸び始めて梅の木を観察してみると、見た目でもわかりやすいのは、アブラムシや毛虫類などの害虫や伝染病の発生が目立ち、葉っぱが落ちている時期に目に付くのは、枝にピッタリと貼りついているカイガラムシ類の害虫です。

アブラムシや毛虫類などの害虫は、特に、新梢の葉などに着き生長を損なうことで、花芽の形成に大きく影響を与えたり、生育の妨げになります。大量に発生してしまうと生育に問題が生じる場合もあります。特に、幹の樹皮内に入り込んで胴枯れ病を誘発させるような害虫もおり、その場合には木が衰弱して枯死する可能性もあります。

また、カイガラムシは、枝に貼りついて吸汁害を引き起こすことで枝は枯れ、将来的に期待される花芽や葉芽がなくなります。特にカイガラムシは枝全体に広がる習性があり、枝にピッタリと吸着していることから、簡単に除去することはできません。

伝染病は、その年の気候状況や、樹形内部の状況、害虫によって引き起こされることもあります。特に、樹形内部が枝葉で混み合っている状態の時には、害虫が発生しやすいので、伝染病が生じやすい環境になります。

2.生育環境によって枯れる原因

梅の木が枯れる原因のひとつに、土壌の性質が悪い場合があります。

梅は根の酸素要求量が高いので、排水の悪い場所では生育が損なわれます。土壌が粘土質である場合は、水が地面に浸透しないで溜まる可能性があり、根腐れを起こしやすく、生育が悪くなり枯れる可能性もあります。梅の木を地面よりも深く植えすぎていたり、根元に土を盛りすぎている場合にも、根が酸素を取り込むことが出来ずに酸欠になり、枯れる場合もあります。

また、除草剤は草を枯らしてしまう劇薬ですが、除草剤を木の根元に撒くことで、木も枯れてしまうこともあります。

このような原因で、梅の木が枯れてしまうことがあります。

梅の木の枯れを事前に防ぐ対策

ここでは病害虫や生育環境に不具合が生じないために、事前にどのようなことをして枯れるのを防がなければいけないのかを解説します。

1.病害虫による枯れを防ぐ対策

樹形内部が枝葉で混み合っている場合には、アブラムシや毛虫類などの害虫や伝染病が発生しやすい環境になります。

そのためには、葉っぱが生えてくる前の冬期に、あらかじめ枝を整理しておくことが必要になります。このような対策をせずに、暖かくなって葉が生え出した段階で、枝が密集している場合は、病害虫が発生することは覚悟しておいた方がよいです。

■カイガラムシ対策

葉っぱのない冬期にカイガラムシが見つかった場合、カイガラムシの発生が比較的少ない場合には、竹べらのようなもので、直接剥ぎ落すようにします。そして、大量発生の場合には、マシン油乳剤やマラソン乳剤などの薬剤を散布して防除する必要があります。カイガラムシは増える傾向が強いので、この時期にしっかりと落としておくことが大切です。

■アブラムシや毛虫類などの害虫対策

アブラムシや毛虫類などの害虫を引き起こさないためには、こまめに樹形内部を風通しを良くし、整理しておくことが望ましいです。

気温の上昇により葉が出始めた時、すでに枝が密集していると、病害虫は発生しやすいので、葉っぱが生える前の冬期に、あらかじめ枝を間引いたり整理しておくことは必須作業です。

葉が出る前の作業で、石灰硫黄合剤を開花直前に散布しておくことで、アブラムシの発生をだいぶ抑えることが可能です。

葉っぱが出始めたら行なう作業は、新芽や徒長枝をこまめに抜き取り整理することです。

それでも害虫が発生する場合には、スミチオン乳剤や、マラソン乳剤などの薬剤散布により防除が必要になります。

■伝染病対策

伝染病が発生するのは、害虫が運んできたり、樹形内部の風通しが悪いことなどがありますので、冬期にあらかじめ枝を間引いたりしておくことはもちろんですし、葉っぱが出たら、新芽や徒長枝をこまめに抜き取り整理することも必要です。

もしも伝染病が発生してしまったら、その枝部分から切り取り焼却しなければいけません。

2.生育環境による枯れを防ぐ対策

梅の木が植えてある土壌が粘土質の場合は、排水状況が悪いので、生育が損なわれる可能性が高いです。

梅の木がそれほど大きくなく掘り起こすことが可能であれば、一度、植えこむ根の下50cmくらい深くまで掘り込み、粘土質の土壌を腐葉土やピートモスを混ぜ込んだ柔らかい土と入れ替えて排水の良い土壌にします。植えこむ時に、高く植えることで、さらに排水状況の悪さをカバーすることができます。

掘り起こすことが難しい場合には、梅の木の近くに排水路を設けたり、土中に暗渠排水などを確保する対策もあります。

また、根元付近には絶対に除草剤を撒かないことです。