花が咲く木の剪定時期は、一般的に花が咲いた後と解釈されているようですが、梅にとって花後(春頃から夏ころ)に剪定してしまうのは、あまりよい時期とはいえないようです。
その理由は、梅の木の性質にあるのですが、梅の花を咲かせたい場合には、特に剪定時期を神経質に選ばないといけないようです。
ここでは、秋の剪定時期を9月頃~11月頃と設定し、秋に剪定が必要な理由と、秋に行なう剪定作業について解説します。
花芽を少なくする剪定時期はいつか
梅は、花が咲く前の年に花芽が形成され、次の年の春に蕾が膨らみ花が咲く「前年生枝タイプ」です。
梅の花芽が分化するのは、7~8月ころで、9~10月頃になると花芽も固まります。
花芽を少なくしてしまう剪定時期はあるのですが、その時期さえ外して剪定を行わなければ、花が咲く可能性は高くなります。
花芽が形成される前に剪定をしてしまうと、特に花が咲き終わった直後の時期に剪定を行なってしまうと、切った部分に新芽が出て徒長して伸びてきます。
花芽が出るはずの枝が切り取られ、葉芽をつける枝ばかりが伸びてしまうことで、その伸びた枝には、翌年の花の数は少なくなります。つまり、7月より前に、早く剪定をしてしまうと、花芽の分化の邪魔をしてしまい、花芽よりも葉芽に勢力が注がれ、花芽がつきにくくなってしまうのです。
たとえば、6月に剪定した場合、梅は樹勢が強い木なので、枝を切られたことで、新芽を出して修復しようとする作用が働きます。徒長枝は勢いよく伸び、この伸びた枝は葉芽に樹勢を取られてしまい、花芽は少なくなるので、翌年の花は少なくなります。花芽が確定する前に枝を切ってしまうと、せっかく花芽になりかかっていた芽も、葉芽に変わってしまうのです。
だから、梅の花芽の分化が始まる、7月より前に剪定をしてしまうと花芽が少なくなるのです。
秋に行なう剪定が一番効果的な理由
梅は7~8月頃に花芽の分化が始まり、9月~10月頃には花芽の形成が終わりますので、夏の時期に、こまめに不要な新芽や徒長枝を抜き取る作業をしておくと、樹勢を花芽に効率的に注ぎ込むことができます。
梅の剪定は、花芽の分化の時期の関係から、花が咲き終わった直後ではなく、花芽が確定した後の秋に剪定を行なわないと、次の年の花芽の数が減ることになります。
花芽の形成が終わった10月頃に剪定を行なったとしても、この時期は樹形を乱すような新芽がでるようなことはほとんどなく、花芽の形成にも支障をきたすことはないので、次の年の春に整った樹形の状態で、きれいな花が咲くように、枝を整理することができます。
葉っぱが落ちた冬(10月頃~1月頃)まで剪定を待てるのであれば、障害物がなく樹形内部がすっかり見れるので、その方が効率的なのですが、だんだんと寒くなってくる冬は、天気が悪くてタイミングを逃したり、寒さのあまり動きたくなくなったり、外に出て剪定するのが嫌になってしまう可能性もあります。
それだったら、秋のうちに少しでも進めておいた方が、後々楽ができるかと思います。
1年を通して、秋から冬の時期にかけて行なう剪定が、梅の花を咲かせるためには一番効果的です。
秋に行なう剪定作業方法
ここでは、秋に行なう剪定作業方法について解説しますが、先に注意をしておきますが、秋はまだ梅が休眠期に入っていないので、切り戻すような強い剪定は休眠期の冬期(11月頃~1月頃)に行なうようにしてください。
秋には、切り戻す以外の、通常の剪定を行なうことができ、剪定作業としては、「樹幹や樹形の整理」で、主に徒長枝を切り取ったり、長さの調節する作業などを行ないます。
大きなところ(樹幹)から始めると効率的です。
まずは、「樹幹」を乱す徒長枝などは全て切り取ります。
強剪定を行なったり、太い枝を切り取った後の部分には、徒長枝が出やすく、樹勢も徒長枝に取られてしまうので、すべて切り取ります。
次に「樹形」を乱す徒長枝は全て切り取ります。
形成されている樹形を観察してみて、突発的に伸びて樹形を乱す徒長枝や、樹形内部で混み合っている不要な徒長枝などがあれば、適宜に短くしたり切り取ったりします。これも、樹勢が吸い取られてしまうので、不要な徒長枝は切り取ったり、整理します。