はじめに
春になると、あちらこちらで美しく咲きほこる梅の花。その梅に、じつは大きく分けて二つの種類があることを、ご存じでしたか。一つは、おもに花を楽しむための「花梅(はなうめ)」。もう一つは、おもに実を収穫するための「実梅(みうめ)」です。「えっ、梅って一種類じゃないの?」とおどろかれた方も多いのではないでしょうか。
じつは、この二つを知らないために、こんな困りごとがよく起こります。「庭にある梅の花がきれいだから、実も収穫しようと思ったのに、ちっとも実がならない」「梅干しを作りたくて苗木を買ったのに、花ばかりで実が少ない」。これらは、花梅と実梅のちがいを知らずに木を選んでしまったことが、原因であることがとても多いのです。せっかく梅を育てるなら、自分の目的に合った種類を選びたいですよね。
この記事では、「実梅と花梅って、何がどうちがうの?」という素朴な疑問から、見た目での見分け方、それぞれの育て方や品種選び、そして「花梅の実は食べられるの?」という多くの方が気になる疑問まで、庭師の目線でとことんわかりやすくお伝えします。さらに最後には、どちらの梅を育てるにしても欠かせない「剪定(せんてい=枝を切って整えること)」の大切なお話も。この記事を読み終えるころには、「うちの梅はどっちなのか」「これから何を植えればいいのか」が、はっきりわかるようになるはずです。それでは、一緒に奥深い梅の世界へ入っていきましょう。
そもそも「実梅」と「花梅」とは? ~同じ梅でも目的がちがう~
まず知っておきたいのは、実梅と花梅は「同じ梅の仲間でありながら、人が育ててきた目的がちがう」ということです。なぜなら、長い年月をかけて、人間が「実を採るため」と「花を楽しむため」、それぞれの目的に合わせて改良してきたからです。
実梅とは、その名のとおり「実を収穫すること」を目的に育てられてきた梅です。梅干しや梅酒、梅シロップなどに使う、あのぷっくりした実をたくさんならせるように改良されています。一方、花梅とは「花を観賞すること」を目的に育てられてきた梅です。花の美しさや、色の豊かさ、香りのよさを楽しむために改良されていて、お庭や公園、盆栽(ぼんさい)などで親しまれています。
■たとえるなら「りんご」と「ひめりんご」
イメージしやすいように、りんごで考えてみましょう。スーパーで売っている、食べるための大きなりんごがありますね。その一方で、庭木として小さな実と花を楽しむ「ひめりんご」という種類もあります。どちらも同じりんごの仲間ですが、目的がまったくちがいます。梅も同じで、「食べるための実梅」と「眺めるための花梅」がある、と考えるとわかりやすいです。
■もともとは同じ仲間だった
おもしろいことに、実梅も花梅も、植物としては同じ「ウメ」という種類です。生物学的には、はっきりと線を引いて分けられているわけではありません。あくまで、人が「実を重視するか」「花を重視するか」という育て方・使い方の目的で、便宜的(べんぎてき)に呼び分けているのです。ですから、「実梅だけど花もきれい」「花梅だけど実もなる」といった、中間的なものもたくさんあります。この点が、後ほどお話しする「花梅の実は食べられるの?」という疑問にもつながっていきます。
つまり、実梅と花梅は「実を採る目的か、花を楽しむ目的か」で分けられた、同じ梅の仲間です。この大もとの考え方を頭に入れておくと、これからのお話がぐっとわかりやすくなります。
見た目で見分ける!実梅と花梅の決定的な違い
「うちの梅は、実梅と花梅のどっちなんだろう」。そう思ったとき、見た目のいくつかのポイントを見れば、ある程度見分けることができます。なぜなら、実を採る目的と花を楽しむ目的とで改良されてきたため、花や実の付き方に、それぞれの特徴があらわれるからです。ここでは、見分けのポイントを順番にお伝えします。
■ポイント1:花の「咲き方」を見る
いちばんわかりやすいのが、花の咲き方です。実梅の花は、たいてい花びらが五枚の、すっきりとした「一重咲き(ひとえざき)」が多く、色も白や薄いピンクといった、ひかえめなものが中心です。これは、花を豪華にするより、実をしっかりならせることを優先して改良されてきたからです。
一方、花梅の花は、花びらが何枚も重なった、ボリュームのある「八重咲き(やえざき)」のものが多く見られます。色も、白、ピンク、濃い紅色、さらには一本の木に紅白が咲き分けるものまで、とても華やかでバラエティに富んでいます。「花がやたらと豪華でゴージャスだな」と感じたら、それは花梅である可能性が高いです。
■ポイント2:花の「数と密度」を見る
花梅は、観賞用に改良されているため、枝いっぱいにびっしりと花をつけ、見ごたえのある咲き方をするものが多いです。実梅も花は咲きますが、花梅ほどの密度や派手さはなく、どちらかというと素朴な印象です。公園や梅まつりで「うわあ、見事だな」と感動するような梅は、たいてい花梅だと考えてよいでしょう。
■ポイント3:実の「付き方と大きさ」を見る
そして、いちばん確実なのが「実」を見ることです。実梅は、その名のとおり、大きくて立派な実を、たくさんならせます。梅干しや梅酒に使えるような、ぷっくりした実がなれば、それは実梅です。一方、花梅にも小さな実がなることはありますが、数が少なかったり、実が小さく未熟だったりすることが多いです。初夏に実の様子を観察するのが、いちばん間違いのない見分け方なのです。
つまり、「一重で素朴な花+大きな実なら実梅」「八重で華やかな花+実は少なめなら花梅」というのが、見分けの大きな目安です。花の時期と実の時期、両方を観察すると、より確実に見分けられます。
多くの人が気になる「花梅の実は食べられるの?」
ここで、多くの方が気になっている疑問にお答えします。「花梅にも小さな実がなることがあるけれど、これは食べられるの?」という質問です。結論から言うと、「食べられるけれど、おすすめはしない」というのが正直な答えです。なぜなら、花梅の実は、食用として改良されていないため、実が小さく、量も少なく、味や仕上がりも実梅にはおよばないからです。
■毒があるわけではない
まず安心していただきたいのは、花梅の実に特別な毒があるわけではない、ということです。梅は実梅も花梅も同じ仲間ですから、花梅の実も、梅干しや梅酒、梅シロップにすることは一応できます。ただし、一つ気をつけたいのは、梅の生の実や種には、もともと「アミグダリン」という成分がふくまれていて、未熟な生の実をたくさん食べるのはよくない、という点です。これは実梅でも花梅でも同じで、だからこそ梅は、梅干しや梅酒のように「加工して」食べるのが基本なのです。
■でも、実用には向かない
毒はないとはいえ、花梅の実は、実用にはあまり向きません。なぜなら、実が小さく果肉が少ないので、梅干しにしてもしわしわで食べるところが少なく、梅酒にしてもエキスがあまり採れないからです。せっかく手間をかけて漬けても、「思っていたのとちがう」とがっかりしてしまう可能性が高いのです。「庭の花梅に実がなったから、記念に少しだけ梅シロップにしてみる」という楽しみ方ならよいですが、本格的に梅仕事をしたいなら、やはり実梅を選ぶのが正解です。
つまり、「花梅の実は食べられるが、量も質も実用には向かない」というのが答えです。本気で梅干しや梅酒を作りたいなら、最初から実梅を育てるのが、いちばんの近道なのです。
実梅の育て方と品種選び ~おいしい梅を収穫するために~
「やっぱり、おいしい実を収穫したい」という方のために、実梅の育て方と品種選びのポイントをお伝えします。実梅選びでいちばん大切なのは、「受粉のしやすさ」を意識して品種を選ぶことです。なぜなら、実梅には、一本では実がなりにくい品種と、一本でもなりやすい品種があり、これを知らないと「育てたのに実がならない」という失敗につながるからです。
■一本でなる品種、相棒が必要な品種
実梅の品種の中には、自分の花粉だけで実をつけられる「自家結実性(じかけつじつせい)」のものと、自分の花粉ではほとんど実をつけられず、別の品種の梅が近くに必要な「自家不結実性(じかふけつじつせい)」のものがあります。庭が狭くて一本しか植えられない方や、初心者の方は、一本でも実がなりやすい自家結実性の品種を選ぶと安心です。苗木を買うときに、お店の方に「一本でも実がなりますか」と確認するとよいでしょう。もし相棒が必要な品種を植える場合は、近くに別の品種の実梅(受粉樹=じゅふんじゅ)を一緒に植えてあげましょう。
■代表的な実梅の品種
実梅には、たくさんの品種があります。たとえば、大きな実がとれて梅干しに人気の品種、酸味がよくて梅酒に向く品種、一本でも実がなりやすく初心者向けの品種など、さまざまです。「梅干しを作りたい」「梅酒を漬けたい」「とにかく一本で手軽に育てたい」など、自分の目的に合わせて選ぶのがコツです。園芸店では、それぞれの品種の特徴を書いた札がついていることが多いので、よく読んで選びましょう。

■苗木の植え方と育て方の基本
実梅の苗木は、葉の落ちた休眠期(きゅうみんき)、おもに十一月から三月ごろに植えるのがよいとされています。日当たりと水はけのよい場所を選び、植え穴に堆肥(たいひ)や腐葉土(ふようど)をすき込んで、根を広げて植えます。植えたあとはたっぷり水をあげましょう。その後は、極端に乾燥しないかぎり、地植えなら水やりは自然の雨にまかせて大丈夫です。肥料は、冬の「寒肥(かんごえ)」と、収穫後の「お礼肥(おれいごえ)」を基本に、リン酸の多い肥料を意識してあげると、実つきがよくなります。
つまり、実梅を育てるなら「受粉を意識した品種選び」「目的に合った品種選び」「適切な植えつけと肥料」が大切です。最初の品種選びさえ間違えなければ、おいしい梅の収穫がぐっと近づきます。
花梅の育て方と楽しみ方 ~花を美しく咲かせるために~
「実より、まずは美しい花を楽しみたい」という方には、花梅がおすすめです。花梅を育てるいちばんの楽しみは、なんといっても、その豊かな花の色や形を堪能(たんのう)できることです。なぜなら、花梅は観賞用に改良されているため、品種ごとに個性的で美しい花を咲かせてくれるからです。
■花梅の豊かなバリエーション
花梅には、本当にたくさんの品種があります。真っ白な花、淡いピンク、燃えるような紅色。花びらが一重のすっきりしたものから、何重にも重なった豪華な八重咲きまで。さらに、枝が枝垂(しだ)れる「しだれ梅」や、一本の木に紅白の花が咲き分ける珍しい品種まであります。庭の主役になるような華やかなものから、鉢植えや盆栽で楽しむ小ぶりなものまで、選ぶ楽しさは尽きません。
■花梅の手入れの基本
花梅の育て方も、基本は実梅と似ています。日当たりのよい場所を好み、苗木は休眠期に植えます。水やりや肥料も実梅と同様ですが、花梅では「花つきをよくすること」が目的になります。花が咲き終わったあとの手入れ(花後の手入れ)が大切で、花がら(咲き終わった花)を放っておくより、剪定で形を整えてあげると、翌年もよい花が咲きます。とくに花梅は花芽(はなめ)が枝にできるので、剪定の時期を間違えると花が咲かなくなることがあり、注意が必要です。
■花が咲かないときに多い原因
「花梅を植えたのに、花が咲かない」という相談もよくあります。多い原因は、剪定の時期を間違えて花芽を切ってしまったこと、日当たりが悪いこと、チッ素肥料のあげすぎで枝葉ばかり茂っていることなどです。これらは、正しい手入れで改善できます。とくに剪定の時期は、花梅を楽しむうえで、とても大切なポイントになります。
つまり、花梅を育てるなら「豊かな品種から好みを選ぶ」「花後の手入れを大切にする」「花芽を切らない剪定を心がける」ことがポイントです。正しく手をかければ、毎年うっとりするような花で、心を楽しませてくれます。
鉢植え・プランターでも楽しめる!梅の育て方
「庭がないから梅はむり」とあきらめている方に、うれしいお知らせです。じつは梅は、鉢植えやプランターでも、じゅうぶんに楽しむことができます。なぜなら、梅は鉢の中でもよく育ち、実梅なら鉢でも実をならせ、花梅なら鉢でも美しい花を咲かせてくれるからです。ベランダしかないマンション住まいの方でも、梅を育てる喜びを味わえます。
■鉢植えのメリット
鉢植えには、じつはたくさんの利点があります。まず、置き場所を自由に動かせること。花の時期は玄関先に出して楽しみ、夏は風通しのよい場所へ、というように移動できます。また、コンパクトに育てられるので、手入れや収穫も楽です。背の高い木に登る必要がないので、五十代以上の方にも安心です。盆栽のように、小さな鉢で梅の風情(ふぜい)を楽しむこともできます。
■鉢植えの育て方のポイント
鉢植えで気をつけたいのは、おもに二つです。一つは「水やり」。鉢は土が乾きやすいので、地植えよりこまめな水やりが必要です。土の表面が乾いたら、鉢の底から水が出るまでたっぷりあげましょう。とくに夏は乾きやすいので注意します。もう一つは「植え替え」。鉢の中は根がいっぱいになりやすいので、数年に一度、ひとまわり大きな鉢に植え替えて、根に新しいスペースと土をあげます。植え替えは、休眠期に行うのが基本です。
■鉢植えの剪定は欠かせない
鉢植えでは、剪定がとくに大切になります。鉢という限られたスペースで、木の大きさをほどよく保ち、風通しと日当たりをよくするためです。のびすぎた枝を整理し、コンパクトで美しい形に整えてあげることで、鉢植えでも元気に花や実を楽しめます。
つまり、梅は「鉢植え・プランターでも楽しめる」庭木です。水やりと植え替え、そして剪定に気をつければ、庭がなくても、梅のある暮らしを始められるのです。
梅を増やす楽しみ ~挿し木・接ぎ木のお話~
梅を育てることに慣れてくると、「お気に入りの梅を、もう一本増やしてみたい」と思うこともあるでしょう。梅を増やす方法には、いくつかのやり方があります。なぜなら、種からではなく、枝などを使って増やすことで、もとの木と同じ性質を持った木を育てられるからです。
■挿し木(さしき)という方法
挿し木とは、木の枝を切り取って土にさし、根を出させて新しい木にする方法です。ただし、正直にお伝えすると、梅の挿し木は、ほかの植物にくらべて少しむずかしく、成功率が高くありません。チャレンジしてみる価値はありますが、「うまくいったらラッキー」くらいの気持ちで楽しむのがよいでしょう。
■接ぎ木(つぎき)という方法
より確実なのが「接ぎ木」です。これは、丈夫な台木(だいぎ)に、増やしたい品種の枝(穂木=ほぎ)をつなぎ合わせる方法です。少し技術が必要ですが、成功すれば、もとの品種の性質をそのまま受けついだ木が育ちます。この接ぎ木を応用すると、一本の木に複数の品種を接いで、いろいろな花を咲かせたり、受粉用の品種を同じ木につけたりすることもできます。
■種から育てるのは、おすすめしない理由
「梅干しの種をまいたら芽が出るかな」と考える方もいますが、これはあまりおすすめしません。一つは、加工した梅の種は発芽しないことが多いこと。もう一つは、たとえ芽が出ても、もとの木と同じ品種にはならず、実がなるまでに何年もかかるからです。確実においしい実や美しい花を楽しみたいなら、信頼できる苗木を買うのが、いちばんの近道です。
つまり、梅を増やすには「挿し木は少しむずかしく、接ぎ木が確実」です。手軽に楽しみたいなら、やはり苗木を買うのが安心ですが、増やす挑戦そのものも、梅を育てる奥深い楽しみの一つです。
【プロの視点】実梅も花梅も、最高に輝かせるのは「剪定」だった
ここからが、梅の専門サイトだからこそお伝えしたい、いちばん大切なお話です。じつは、実梅でおいしい実を採るにも、花梅で美しい花を咲かせるにも、共通して欠かせないものがあります。それが「剪定(せんてい)」です。なぜなら、剪定こそが、木の力を実や花へと正しく集中させ、その魅力を最大限に引き出す作業だからです。
■実梅は、剪定で実が大きく充実する
実梅の場合、剪定をしないと、勢いよくのびる長い枝に栄養がうばわれ、肝心の実が小さくなったり、数が減ったりします。とくに「夏の剪定」で余分な枝を整理しておくと、木の栄養が実のほうへしっかり集まり、翌年の実がぐんと大きく充実します。「梅酒や梅干し用の実を大きく育てたい」なら、夏の剪定が正しくできているかどうかが、仕上がりを大きく左右するのです。さらに、冬の剪定で実のなる短い枝を見分けて残すことも、収穫量を左右する大切なポイントです。
■花梅は、剪定で花つきがよくなる
花梅の場合も、剪定は欠かせません。混み合った枝を整理して風通しと日当たりをよくすると、一つひとつの花が元気に、たくさん咲くようになります。ただし、花梅で気をつけたいのが剪定の「時期」です。花になる花芽は夏から秋に作られるので、この花芽を切り落とさないよう、時期を選んで剪定する必要があります。時期を間違えると「せっかく切ったのに花が咲かない」ということになりかねません。花梅をみごとに咲かせるには、花芽を残す正しい剪定が欠かせないのです。
■どちらも「風通し」が健康の土台
そして実梅・花梅のどちらにも共通するのが、剪定で「風通しと日当たり」をよくすることが、木の健康の土台になる、ということです。風通しのよい木は、アブラムシなどの害虫や、病気にも強くなります。健康な木があってこそ、おいしい実も、美しい花も生まれるのです。「桜切る馬鹿、梅切らぬ馬鹿」という昔の言葉のとおり、梅は実梅も花梅も、正しく切ってあげることで、かえって元気になり、その魅力を存分に発揮してくれます。
つまり、実梅の実も、花梅の花も、最高に輝かせる秘けつは「剪定」にあります。種類選びを学んだ今こそ、ぜひその土台となる「剪定」にも目を向けてみてください。当サイトには、実梅・花梅それぞれの剪定をくわしく解説した記事もありますので、あわせて参考にしていただければうれしいです。
読者からよくある質問(Q&A)
Q1. 庭の梅が実梅か花梅か、どうしても見分けられません。
A. いちばん確実なのは、初夏に実を観察することです。梅干しや梅酒に使えそうな大きな実がたくさんなれば実梅、実がほとんどならないか小さければ花梅の可能性が高いです。花の時期には、八重咲きで華やかなら花梅、一重で素朴なら実梅という見分けもできます。両方の時期を観察すると、より確実です。
Q2. 花梅の実で梅干しを作っても大丈夫ですか?
A. 作ることはできますが、あまりおすすめしません。花梅の実は小さく果肉が少ないので、梅干しにしてもしわしわで食べるところが少なくなりがちです。記念に少量楽しむ程度ならよいですが、本格的に作るなら実梅を使うほうが、ずっと満足のいく仕上がりになります。
Q3. 一本だけでも実がなる実梅はありますか?
A. はい、あります。自分の花粉で実をつけられる「自家結実性」の品種を選べば、一本でも実がなりやすくなります。庭が狭い方や初心者の方は、苗木を買うときに「一本でも実がなる品種ですか」とお店で確認するとよいでしょう。
Q4. 実梅の実が、毎年とても小さいのですが、なぜ?
A. いくつか原因がありますが、剪定不足はとても多い原因です。枝が混み合っていると、栄養が長い枝にうばわれ、実が大きくなれません。とくに夏の剪定で枝を整理すると、栄養が実に集まり、ぐっと大きくなります。あわせて、リン酸の多い肥料をあげることも効果的です。
Q5. 花梅を植えたのに、花が咲きません。どうすれば?
A. 多い原因は、剪定の時期を間違えて花芽を切ってしまったことです。花芽は夏から秋にできるので、その後に強く切ると花が咲きません。ほかにも、日当たりが悪い、チッ素肥料のあげすぎで枝葉ばかり茂っている、という原因も考えられます。剪定の時期と置き場所を見直してみましょう。
Q6. 実梅と花梅、両方の楽しみを一本で味わえませんか?
A. ある程度なら可能です。実梅の中にも花がきれいな品種はありますし、花梅の中にも実がそこそこなる品種があります。また、接ぎ木で一本の木に複数の品種をつける方法もあります。ただ、「みごとな花」と「立派な実」を一本で完璧に両立させるのはむずかしいので、目的を決めて選ぶのがおすすめです。
Q7. 鉢植えの梅は、何年くらい楽しめますか?
A. 梅は寿命の長い木で、手入れをすれば何十年も生きます。鉢植えでも、数年に一度の植え替えと、毎年の剪定をきちんと行えば、長く楽しめます。植え替えをせずに放っておくと、根づまりで弱ってしまうので、定期的なお世話が長持ちのコツです。
Q8. 実梅の苗木は、いつ植えるのがいいですか?
A. 葉が落ちている休眠期、だいたい十一月から三月ごろが植えどきです。とくに、寒さがやわらぐ二月から三月は植えつけに適しています。日当たりと水はけのよい場所を選び、堆肥や腐葉土を混ぜた土に植えてあげましょう。
Q9. 花梅にも肥料は必要ですか?
A. はい、必要です。花梅も、よい花を咲かせるには栄養が要ります。冬の寒肥と、花の後のお礼肥を基本にあげましょう。ただし、チッ素の多い肥料をあげすぎると、葉ばかり茂って花つきが悪くなることがあるので、量はほどほどに、リン酸を意識して選ぶとよいです。
Q10. これから梅を植えるなら、実梅と花梅どちらがおすすめですか?
A. それは「あなたが何を楽しみたいか」で決まります。梅干しや梅酒を作りたいなら実梅、お庭で美しい花を眺めたいなら花梅です。「花も実も少しずつ楽しみたい」なら、花がきれいな実梅を選ぶのも一つの手です。目的をはっきりさせると、後悔のない品種選びができますよ。
実梅と花梅。同じ梅の仲間でありながら、「食べる楽しみ」と「眺める楽しみ」という、それぞれのすばらしい個性を持っています。大切なのは、自分がどんな梅ライフを楽しみたいかをイメージして、目的に合った木を選ぶこと。そして、どちらを選んだとしても、その魅力を最大限に引き出してくれるのが、日ごろの剪定です。正しく手をかけてあげれば、実梅はぷっくりおいしい実で、花梅はうっとりするような花で、あなたに応えてくれます。あなたのお庭やベランダに、ぴったりの一本が見つかりますように。やっぱり、梅の木って最高です。

