はじめに
「庭に何か実のなる木を一本植えたいけれど、何がいいかしら」。そんなふうに悩んでいる方に、私が庭師として自信を持っておすすめしたいのが「実梅(みうめ)」です。実梅とは、梅干しや梅酒、梅シロップに使える、おいしい実をならせるために育てられてきた梅のことです。春には可憐(かれん)な花を楽しませてくれ、初夏には自分の手で収穫する喜びまで味わえる。これほど一本で何度も楽しませてくれる庭木は、そうそうありません。
でも、いざ苗木を選ぼうとすると、こんな壁にぶつかります。「実梅って、こんなにたくさん種類があるの?」「どれを選べばいいのか、さっぱりわからない」。園芸店に並ぶたくさんの品種を前に、立ちすくんでしまった経験のある方も多いのではないでしょうか。じつは、実梅は品種によって、実の大きさも、味も、育てやすさも、ずいぶんちがいます。そして何より大切なのが、「一本だけで実がなるかどうか」という点です。これを知らずに選んでしまうと、「せっかく植えたのに、ちっとも実がならない」という、いちばん残念な結果になりかねません。
この記事では、数ある実梅の中から、とくに「育てやすくて、おいしい実がなる」初心者向けのおすすめ品種を五つにしぼって、庭師の目線でとことんわかりやすくご紹介します。それぞれの特徴や、どんな使い方に向いているか、一本でなるのか相棒が必要なのかまで、ていねいにお伝えします。さらに最後には、どの品種を選んでも欠かせない「剪定(せんてい=枝を切って整えること)」の大切なお話も。この記事を読み終えるころには、「うちの庭には、この品種だ!」と、はっきり決められるようになるはずです。それでは、一緒にあなたにぴったりの一本を見つけていきましょう。
品種選びの前に知っておきたい3つのポイント
おすすめ品種をご紹介する前に、まず「実梅を選ぶときに見るべき三つのポイント」を知っておきましょう。なぜなら、このポイントを押さえておくと、ただ名前で選ぶのではなく、自分の目的や環境に本当に合った品種を、自分で見分けられるようになるからです。
■ポイント1:一本でなるか、相棒が必要か(受粉のタイプ)
いちばん大切なのが、これです。実梅には、自分の花粉だけで実をつけられる「自家結実性(じかけつじつせい)」の品種と、自分の花粉ではほとんど実をつけられず、近くに別の品種の梅(受粉樹=じゅふんじゅ)が必要な「自家不結実性(じかふけつじつせい)」の品種があります。これは、人間でいえば「一人でも家庭を持てるタイプ」と「パートナーがいて初めて実を結ぶタイプ」のちがいのようなものです。庭が狭くて一本しか植えられない方は、迷わず「一本でなる品種」を選ぶのが、失敗しないいちばんのコツです。
■ポイント2:何に使いたいか(実の大きさと味)
次に大切なのが、「収穫した実を何に使いたいか」です。大きくて果肉たっぷりの実は、ふっくらした梅干しにぴったりです。一方、酸味のしっかりした実は、すっきりとした梅酒や梅シロップに向いています。「梅干しを漬けたい」「梅酒を作りたい」「両方楽しみたい」と、自分のやりたいことをイメージしておくと、品種選びがぐっと楽になります。
■ポイント3:育てやすさ(病気への強さ・樹勢)
最後に、初心者の方にとって見逃せないのが「育てやすさ」です。品種によって、病気にかかりにくいもの、丈夫でぐんぐん育つもの、コンパクトにまとまりやすいものなど、性格がちがいます。手間をあまりかけられない方や、初めて梅を育てる方は、「丈夫で育てやすい」と言われている品種を選ぶと安心です。
つまり、実梅選びは「受粉のタイプ・使いみち・育てやすさ」という三つのものさしで見ること。この三つを頭に入れて、これからご紹介する五つの品種を見ていただくと、「自分にはどれが合うか」が、自然と見えてくるはずです。
それでは、いよいよおすすめの五品種を、一覧でご覧いただきましょう。それでは、ここからは五つの品種を一つずつ、くわしくご紹介していきます。
おすすめ品種1:南高梅(なんこうばい)~梅干しの王様~
まず最初にご紹介したいのが、梅の王様ともいえる「南高梅(なんこうばい)」です。なぜこれをおすすめするかというと、南高梅は実が大粒で果肉が厚く、皮がやわらかいため、ふっくらと最高においしい梅干しになるからです。

南高梅は、和歌山県を代表する、日本でいちばん有名な梅といっても言い過ぎではありません。スーパーで売られている高級な梅干しの多くが、この南高梅です。一粒が大きく、果肉がたっぷりしていて、種が比較的小さいので、食べるところが多いのが特徴です。梅干しにすると、皮が薄くやわらかく、口の中でとろけるような上品な仕上がりになります。「どうせ育てるなら、最高においしい梅干しを作りたい」という方には、これ以上ない品種です。
■育てるときの注意点
ただし、一つだけ知っておいてほしいことがあります。南高梅は、自分の花粉だけでは実をつけにくい品種なので、近くに別の品種の梅(受粉樹)が必要になります。一本だけ植えても、実があまりならないことがあるのです。ですから、南高梅を植えるなら、相棒となる別の品種を一緒に植えてあげるのが基本です。あとでご紹介する「小梅」などは、受粉の相棒としても役立つことが多いです。
つまり、南高梅は「最高においしい梅干しを作りたい人」にぴったりの王様品種です。相棒の木をそばに植えることだけ忘れなければ、すばらしい収穫を楽しめます。
おすすめ品種2:白加賀(しろかが)~昔ながらの万能選手~
二つ目は、昔から日本の庭で親しまれてきた定番中の定番、「白加賀(しろかが)」です。おすすめする理由は、白加賀は大粒で香りがよく、梅干しにも梅酒にも梅シロップにも使える、まさに「万能選手」だからです。
白加賀は、関東地方を中心に、古くから広く栽培されてきた歴史ある品種です。実が大きく、上品な香りがあり、用途を選ばないのが大きな魅力です。「梅干しにしようか、梅酒にしようか、その年の気分で決めたい」という欲ばりな方にも、しっかり応えてくれます。育てている方が多いぶん、情報も豊富で、育て方で困ったときに調べやすいのも、初心者にはうれしいポイントです。
■育てるときの注意点
白加賀も、南高梅と同じく、自分の花粉だけでは実をつけにくい品種です。ですから、近くに別の品種の梅を植えて、受粉を助けてあげる必要があります。逆にいえば、南高梅と白加賀を一緒に植えると、おたがいが受粉の相棒になってくれることもあり、相性のよい組み合わせです。庭に二本植えるスペースがある方は、こうした組み合わせを考えてみるのもよいでしょう。
つまり、白加賀は「いろいろな梅仕事を楽しみたい人」にぴったりの万能品種です。歴史と実績のある安心の一本として、自信を持っておすすめできます。
おすすめ品種3:豊後(ぶんご)~寒い地域の強い味方~
三つ目は、寒さに強いことで知られる「豊後(ぶんご)」です。この品種をおすすめするのは、豊後は耐寒性(たいかんせい=寒さへの強さ)がとても高く、寒冷地でも育てやすいからです。東北地方や北の地域、標高の高い場所など、「うちは寒いから梅は難しいかも」と思っている方の、強い味方になってくれます。

豊後は、梅と杏(あんず)の性質を受けついだとされる品種で、実は大粒です。花も大きく美しいので、観賞の面でも楽しめます。寒さにめっぽう強いので、ほかの梅が育ちにくいような寒い地域でも、しっかり実をならせてくれることが多いのです。実は梅酒や梅干しに向いていて、特に梅酒にすると、豊かな風味が楽しめます。
■育てるときの注意点
豊後も、確実にたくさん実をならせたいなら、別の品種の受粉樹をそばに植えてあげると安心です。寒い地域では、花の咲く時期に虫が少ないこともあるので、晴れた暖かい日に筆で人工授粉(じんこうじゅふん)を助けてあげると、さらに実つきがよくなります。
つまり、豊後は「寒い地域にお住まいの人」「寒さに強い丈夫な梅を育てたい人」にぴったりの品種です。気候の厳しい場所でも、梅の収穫をあきらめる必要はないのです。
おすすめ品種4:小梅(こうめ)~初心者に一番やさしい~
四つ目は、初心者の方に最もやさしいと言ってよい「小梅(こうめ)」です。なぜおすすめかというと、小梅は丈夫で育てやすく、しかも一本でも実がなりやすく、植えてから実がなるまでの期間も比較的早いからです。「とにかく失敗したくない」「早く収穫の喜びを味わいたい」という方に、いちばんおすすめできる品種です。
小梅は、その名のとおり小粒の実を、枝いっぱいにたくさんならせます。一粒は小さいですが、数がとてもたくさん採れるので、収穫の楽しさは満点です。この小粒の実は、あの歯ごたえのよい「カリカリ梅」を作るのにぴったりです。もちろん、小さめの梅干しにしてもおいしくいただけます。お弁当やおにぎりに入れるのにちょうどよい、かわいらしいサイズです。
■育てるときのうれしいポイント
小梅の最大の魅力は、品種によっては一本でも実がなりやすいものが多いことです。庭が狭くて一本しか植えられない方や、初めて梅を育てる方には、これほど心強いことはありません。さらに、ほかの品種の受粉を助ける相棒としても優秀なので、南高梅などと一緒に植えると、おたがいに役立ち合うこともあります。
つまり、小梅は「初心者」「庭が狭い人」「早く・たくさん収穫したい人」に、まっさきにおすすめしたい品種です。梅づくりの第一歩を踏み出すなら、これ以上ない、やさしい入門の一本です。
おすすめ品種5:梅郷(ばいごう)~一本で実がなる人気者~
最後の五つ目は、近年とても人気のある「梅郷(ばいごう)」です。おすすめの理由は、梅郷は一本でも比較的実がなりやすく、しかも実が中~大粒で使いやすいという、いいとこ取りの品種だからです。
これまでご紹介した南高梅や白加賀は、立派な実がなる反面、受粉の相棒が必要でした。「でも、うちは一本しか植えられない。それでも、ある程度大きな実がほしい」。そんなわがままな願いに応えてくれるのが、この梅郷です。一本でもそこそこ実がなりやすく、その実は梅干しにも梅酒にも使える、ちょうどよい大きさ。まさに、初心者の「一本で立派な実を」という希望をかなえてくれる、頼れる人気者なのです。
■さらに実つきをよくするには
一本でも実がなりやすい梅郷ですが、もし庭にスペースがあるなら、別の品種を近くに植えてあげると、さらに実つきがよくなります。「一本でも安心、二本ならもっと安心」という、ありがたい品種です。育てやすさも申し分なく、初めての方でも扱いやすいので、迷ったらこれを選んでおけば間違いが少ない、という安心感があります。
つまり、梅郷は「一本で、ある程度大きな実を、手軽に楽しみたい人」にぴったりの品種です。小梅とならんで、初心者の方に強くおすすめできる一本です。
実梅を上手に育てる基本のお世話 ~植えつけ・水やり・肥料~
おすすめ品種を選んだら、次は上手に育てるための基本を知っておきましょう。なぜなら、どんなによい品種を選んでも、基本のお世話ができていないと、その品種の力を十分に発揮できないからです。ここでは、実梅を元気に育てるための、植えつけ・水やり・肥料の基本をお伝えします。
■植えつけ:休眠期に、日当たりのよい場所へ
実梅の苗木は、葉の落ちた休眠期(きゅうみんき)、おもに十一月から三月ごろに植えるのが基本です。場所は、日当たりと水はけのよいところを選びましょう。梅は日光が大好きで、日当たりが悪いと花も実もつきにくくなります。植え穴には、堆肥(たいひ)や腐葉土(ふようど)をすき込んで、ふかふかの土にしてあげると、根がのびのびと育ちます。植えたあとは、たっぷりと水をあげてください。
■水やり:地植えは控えめ、鉢植えはこまめに
地植えの梅は、いったん根づいてしまえば、極端に乾燥するとき以外は、自然の雨にまかせて大丈夫です。あまり過保護に水をあげすぎると、かえって根が弱ることもあります。一方、鉢植えの場合は土が乾きやすいので、土の表面が乾いたら、たっぷり水をあげる、というメリハリのあるお世話が必要です。とくに夏場は乾きやすいので、気をつけてあげましょう。
■肥料:冬の寒肥と、収穫後のお礼肥
肥料は、大きく二回が基本です。一つは、冬にあげる「寒肥(かんごえ)」。これは一年の体力をたくわえる、いちばん大切な肥料です。もう一つは、実を収穫したあとにあげる「お礼肥(おれいごえ)」。実をならせて疲れた木をいたわり、来年への準備を助けます。実をたくさんならせたいなら、花や実をつける働きをする「リン酸」の多い肥料を意識して選ぶと効果的です。
つまり、実梅の基本のお世話は「日当たりのよい場所に休眠期に植える」「水やりはメリハリよく」「冬と収穫後に肥料をあげる」の三つです。この基本を守れば、選んだ品種が、その持ち味を存分に発揮してくれます。

どの品種を選んでも、実りを左右するのは「剪定」だった
ここからが、梅の専門サイトだからこそお伝えしたい、いちばん大切なお話です。じつは、ここまでご紹介した五つの品種、どれを選んだとしても、おいしい実をたくさん収穫できるかどうかを最後に左右するのは、品種そのものよりも「剪定(せんてい)」なのです。なぜなら、剪定こそが、木の力を実へと正しく集中させ、その品種の持つ本来の力を引き出す作業だからです。
■同じ南高梅でも、剪定しだいで実が変わる
考えてみてください。同じ最高級の南高梅の苗木を二本植えても、片方は毎年大きく立派な実をならせ、もう片方は小さな実しかつけない、ということが起こります。その差を生むのが、剪定です。枝が伸び放題でうっそうと茂った木は、勢いよくのびる長い枝(徒長枝=とちょうし)に栄養を横取りされ、肝心の実が小さく、数も少なくなってしまいます。せっかく王様品種を選んでも、これではもったいないですよね。
■夏の剪定が、実を大きく充実させる
とくに、実を大きくしたい方に知っておいてほしいのが「夏の剪定」です。夏に余分な枝を整理しておくと、木の栄養が実のほうへしっかり集まり、翌年の実がぐんと大きく充実します。「梅酒や梅干し用の実を大きく育てたい」なら、この夏の剪定が正しくできているかどうかが、仕上がりを大きく左右するのです。立派な実をならせる南高梅や白加賀の本領は、夏の剪定があってこそ発揮されると言ってもよいでしょう。
■冬の剪定が、実のなる枝と樹形をつくる
さらに、葉の落ちた冬の剪定では、実のなる短い枝(短果枝=たんかし)を見分けて残し、木の形を整えます。これを正しく行うことで、翌年の収穫量が大きく変わります。また、剪定で木の高さをほどよくおさえておけば、収穫のときに脚立(きゃたつ)で無理をする必要がなくなり、五十代以上の方にも安全です。
■受粉も、剪定で助けられる
そして、相棒が必要な南高梅や白加賀などにとっても、剪定は大切です。風通しと日当たりのよい木は、受粉を助けてくれるミツバチなどの虫が訪れやすくなります。剪定は、実つきだけでなく、受粉の成功にも一役買ってくれるのです。
つまり、どの品種を選んでも、その実りを最高のものにする秘けつは「剪定」にあります。「桜切る馬鹿、梅切らぬ馬鹿」という昔の言葉のとおり、梅は正しく切ってあげることで、かえって元気になり、選んだ品種の魅力を存分に発揮してくれます。品種を選んだ今こそ、ぜひその土台となる「剪定」にも目を向けてみてください。当サイトには、品種ごとの剪定をくわしく解説した記事もありますので、あわせて参考にしていただければうれしいです。
読者からよくある質問(Q&A)
Q1. 結局、初心者にはどの品種がいちばんおすすめですか?
A. 「とにかく失敗したくない」なら小梅、「一本である程度大きな実がほしい」なら梅郷がおすすめです。どちらも一本で実がなりやすく、丈夫で育てやすいからです。まず一本目で収穫の喜びを知り、慣れてきたら南高梅などの王様品種に挑戦する、という流れが理想的です。
Q2. 庭が狭くて、一本しか植えられません。大丈夫でしょうか?
A. 大丈夫です。その場合は、一本でも実がなりやすい品種、たとえば小梅や梅郷を選びましょう。南高梅や白加賀のように相棒が必要な品種を一本だけ植えると、実があまりならないことがあるので、注意してください。鉢植えという選択肢もあります。
Q3. 受粉樹(相棒の木)は、どんな品種でもいいのですか?
A. 基本は「別の品種であること」と「花の咲く時期が近いこと」が大切です。同じ品種同士では受粉しにくいことがあります。小梅は花粉が多く、いろいろな品種の相棒として優秀なので、受粉樹に迷ったら小梅を選ぶのも一つの方法です。
Q4. 植えてから何年で実がなりますか?
A. 品種や苗木の大きさにもよりますが、だいたい三年から五年ほどで実がなり始めることが多いです。小梅などは比較的早く実をつける傾向があります。最初の数年は実が少なくても、あせらず木を育てることが大切です。年々、収穫が増えていく楽しみがあります。
Q5. 鉢植えでも、これらの品種は育てられますか?
A. はい、育てられます。とくに小梅や梅郷のようなコンパクトにまとまりやすい品種は、鉢植えに向いています。鉢植えなら置き場所を動かせ、収穫も楽なので、五十代以上の方にもおすすめです。ただし、こまめな水やりと、数年に一度の植え替えが必要になります。
Q6. 梅干し用と梅酒用、どちらも作りたいです。どう選べばいいですか?
A. 一本で両方を楽しみたいなら、用途の広い白加賀や梅郷がおすすめです。これらは梅干しにも梅酒にも向いています。もし二本植えられるなら、梅干しに最高の南高梅と、その相棒を兼ねた別品種を組み合わせると、用途の幅が広がります。
Q7. 寒い地域に住んでいます。どの品種なら育ちますか?
A. 寒さに強い「豊後」が、まずおすすめです。耐寒性が高く、寒冷地でも実をつけやすい品種です。ほかにも寒さに強い品種はありますので、苗木を買うときに、お店で「この地域でも育ちますか」と確認すると安心です。地域に合った品種選びが、成功の近道です。
Q8. 苗木は、どこで買うのがよいですか?
A. 信頼できる園芸店やホームセンター、苗木専門の通販などで買えます。大切なのは、品種名がはっきり書かれていることと、幹がしっかりして元気な苗を選ぶことです。お店の方に、受粉樹が必要かどうかや、育て方を相談できると、なお安心です。
Q9. おすすめ5品種以外にも、いい品種はありますか?
A. もちろんあります。実梅には、ここでご紹介しきれないほど、たくさんのすばらしい品種があります。今回は「育てやすさ」と「おいしさ」のバランスを重視して五つを選びましたが、地域の気候や好みに合わせて、お店の方に相談しながら選ぶのも、楽しい品種選びの一つです。
Q10. 品種を選んだあと、いちばん大切なことは何ですか?
A. それは、日ごろの「剪定」です。どんなによい品種を選んでも、剪定で風通しと日当たりを整え、栄養を実に集めてあげなければ、本来の力は発揮されません。品種選びはスタート地点であり、おいしい実への本当のカギは、毎年のていねいな剪定にあります。ぜひ剪定にも目を向けてみてください。
庭木に迷ったら、ぜひ実梅を選んでみてください。春には花、初夏には実と、一本で何度も楽しませてくれる、本当にありがたい木です。今回ご紹介した五つの品種、おいしい梅干しの王様「南高梅」、万能選手の「白加賀」、寒さに強い「豊後」、初心者にやさしい「小梅」、一本でなる人気者「梅郷」。どれもそれぞれにすばらしい個性を持っています。大切なのは、自分の庭の広さや、住んでいる地域、作りたいものをイメージして、ぴったりの一本を選ぶこと。そして、選んだあとは、毎年の剪定で大切に育ててあげること。そうすれば、梅の木はきっと、美しい花とおいしい実で、あなたに応えてくれます。あなたの庭に、最高の一本が根づきますように。やっぱり、梅の木って最高です。


