梅の肥料のやり方はいつ・何をあげる?美味しい実を育てる『ウメのお礼肥・寒肥』ガイド

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はじめに

毎年たくさんの花を咲かせ、ぷっくりとした実をならせてくれる梅の木。でも、その梅の木が「おなかをすかせている」かもしれない、と考えたことはありますか。じつは、梅の木も人間と同じで、元気に花を咲かせ、おいしい実をならせるためには、ちゃんと「ごはん」が必要なのです。そのごはんにあたるのが「肥料(ひりょう)」です。

「肥料なんて、なんとなく適当にあげていた」
「いつ、どんなものを、どれくらいあげればいいのか、正直よくわからない」。

そんな方は、とても多いのではないでしょうか。じつは、肥料はあげる「時期」と「種類」と「量」が、とても大切です。あげ方をまちがえると、せっかくの肥料が効かなかったり、それどころか逆に木を弱らせてしまったりすることさえあるのです。反対に、正しいタイミングで正しい肥料をあげれば、実の数も大きさも、味までもがぐんとよくなります。

この記事では、梅の肥料の二本柱である「お礼肥(おれいごえ)」と「寒肥(かんごえ)」を中心に、「いつ」「何を」「どれくらい」あげればよいのかを、庭師の目線でとことんわかりやすくお伝えします。

さらに最後には、じつは肥料の効果を最大限に引き出すカギが「剪定(せんてい=枝を切って整えること)」にあるという、大切なお話も。この記事を読み終えるころには、「これでもう、肥料で迷わない」と、自信を持って木のお世話ができるようになるはずです。それでは、一緒に梅の肥料の世界を学んでいきましょう。

そもそも、なぜ梅に肥料が必要なの? ~木も毎年がんばって疲れている~

肥料の話を始める前に、まず「どうして肥料が必要なのか」を知ることが大切です。なぜなら、その理由がわかると、肥料をあげる意味とタイミングが、すっと腑に落ちるからです。

考えてみてください。梅の木は、毎年とてもがんばっています。春には花を咲かせ、初夏には実をならせ、その実を大きく育てる。これらはすべて、木にとって大きなエネルギーを使う仕事です。

人間でいえば、毎年マラソンを走りきっているようなものです。マラソンを走ったあとは、おなかがぺこぺこで、しっかり食事をとって体力を回復しなければなりません。梅の木もまったく同じで、花と実をつけ終えたあとは、栄養をたくさん使いはたして、くたくたに疲れているのです。

■土の栄養は、だんだん減っていく

「自然に生えている木は、肥料なんてあげなくても育つじゃないか」と思う方もいるかもしれません。たしかにそうですが、自然の中では、落ち葉が分解されたり、いろいろな生き物の働きで、土に栄養が補給されるしくみがあります。ところが、お庭の梅の木は、落ち葉をきれいに片づけてしまったり、実を収穫して持ち去ったりするため、土の栄養がどんどん減っていく一方なのです。減った栄養を補ってあげるのが、肥料の役目なのです。

■肥料をあげる二つの大切なタイミング

では、いつ栄養を補ってあげればよいのでしょうか。大きく分けて、二つの大切なタイミングがあります。一つは、実をならせて疲れた木をねぎらう「お礼肥」。もう一つは、これからの一年に向けて体力をたくわえさせる「寒肥」です。この二つが、梅の肥料の二本柱になります。次の章から、それぞれをくわしく見ていきましょう。

つまり、梅の木は毎年がんばって疲れ、土の栄養も減っていきます。だからこそ、適切なタイミングで肥料というごはんを補ってあげることが、元気な木とおいしい実につながるのです。

一年の体力をたくわえる「寒肥(かんごえ)」とは ~いちばん大切な冬のごはん~

梅の肥料の中で、いちばん大切なのが「寒肥(かんごえ)」です。なぜなら、寒肥はこれからの一年、木が花を咲かせ実をならせるための、体力の土台をつくる肥料だからです。

寒肥とは、その名のとおり、寒い冬の時期にあげる肥料のことです。だいたい十二月から二月ごろ、木が葉を落として、じっと冬を越している「お休みの時期」にあげます。「木が眠っているのに、肥料をあげて意味があるの?」と思うかもしれませんが、これにはちゃんと理由があります。冬にあげた肥料は、寒さの中でゆっくりと土になじみ、分解されていきます。そして、ちょうど春になって木が活動を始めるころに、じんわりと効きはじめるのです。

■たとえるなら「冬のあいだの仕込み」

これは、料理の「仕込み」によく似ています。おいしい煮物を作るとき、前の日から味をしみこませておくと、本番でぐっとおいしくなりますよね。寒肥もそれと同じで、冬のあいだにじっくり仕込んでおくことで、春からの成長に間に合うように栄養が用意される、というわけです。だから、即効性のある肥料よりも、ゆっくり長く効く肥料が向いています。

■寒肥におすすめの肥料

寒肥には、ゆっくり長く効く「有機質肥料(ゆうきしつひりょう)」がおすすめです。具体的には、油かす、骨粉(こっぷん)、鶏ふん、堆肥(たいひ)、腐葉土(ふようど)などです。これらは動物や植物からできた自然の肥料で、土の中でゆっくり分解されながら、長いあいだ木に栄養を届けてくれます。とくに「骨粉」には、花や実をつけるのに大切な「リン酸」が多くふくまれているので、寒肥にぴったりです。油かすと骨粉を混ぜたものは、昔から庭木の寒肥の定番として親しまれてきました。

つまり、寒肥は「冬のあいだにじっくり仕込む、一年の体力づくりのごはん」です。ゆっくり効く有機質肥料を選んで、春に向けての準備をしっかり整えてあげましょう。

寒肥の正しいあげ方 ~「どこに」「どれくらい」が肝心~

寒肥は、ただ木の根元にばらまけばよい、というものではありません。なぜなら、肥料は「あげる場所」と「あげる量」を正しくしないと、効果が出なかったり、根を傷めたりすることがあるからです。ここでは、失敗しない寒肥のあげ方を、くわしくお伝えします。

■あげる場所は「枝先の真下」がポイント

肥料をあげるとき、多くの方が木の幹のすぐ近く、根元にあげてしまいがちです。でも、これはあまり効果的ではありません。なぜなら、木が栄養を吸い取る大切な「細い根」は、幹のそばではなく、枝が広がっている「いちばん外側の枝先の、真下あたり」にたくさんあるからです。木を真上から見たとき、枝が傘のように広がっていますね。その傘のいちばん外側のラインの真下、ここが肥料のあげどころなのです。

■穴を掘って埋めると、もっと効く

寒肥をあげるときは、ただ土の上に置くよりも、土に埋めてあげるほうが効果的です。枝先の真下のあたりに、深さ二十センチほどの穴を、木のまわりに数か所掘ります。スコップで、点々と穴を掘るイメージです。そこに肥料を入れ、掘り出した土をかぶせてもどします。こうすると、肥料が根の近くに届き、雨で流れたり、においで虫が寄ってきたりするのもふせげます。穴を掘るのは少し大変ですが、この一手間が、肥料の効きを大きく変えてくれます。

■量は「多すぎず」が鉄則

肥料の量は、木の大きさによってちがいますが、いちばん大切なのは「あげすぎないこと」です。「たくさんあげれば、よく育つだろう」と考えて大量にあげると、かえって根を傷めてしまう「肥料やけ」を起こすことがあります。これは、濃すぎる肥料で根が水分をうばわれてしまう現象で、最悪の場合、木が枯れてしまうこともあります。肥料の袋に書かれている目安の量を守り、「ちょっと少ないかな」くらいでちょうどよい、と覚えておきましょう。

つまり、寒肥は「枝先の真下に、穴を掘って埋める」「量は多すぎないように」が肝心です。このポイントを守るだけで、肥料の効果がぐんと高まります。

実りへの感謝をこめる「お礼肥(おれいごえ)」とは ~収穫後のごちそう~

寒肥とならぶもう一つの大切な肥料が「お礼肥(おれいごえ)」です。なぜなら、お礼肥は、実をならせて疲れきった木に栄養を補い、体力を回復させてあげる、大切なごはんだからです。

お礼肥とは、その名のとおり「たくさん実をならせてくれて、ありがとう」という感謝の気持ちをこめて、収穫が終わったあとにあげる肥料のことです。時期は、梅の実を収穫し終えた初夏、だいたい六月から七月ごろです。この時期の木は、花を咲かせ、実をならせ、その実を大きく育てるという大仕事を終えて、エネルギーをすっかり使いはたしています。マラソンを走り終えたランナーに、おにぎりやスポーツドリンクをわたしてあげるようなものです。

■お礼肥をあげないと、どうなる?

「実をとったあとなんだから、もう肥料はいらないのでは?」と思う方もいるかもしれません。でも、それは大きなまちがいです。じつは、来年の花になる「花芽(はなめ)」は、この収穫後の夏から秋にかけて作られます。つまり、収穫後に木が元気を取りもどせるかどうかが、来年の花と実を左右するのです。お礼肥をあげずに木を疲れさせたままにしておくと、来年の花つき・実つきが悪くなってしまうことがあります。お礼肥は、今年への感謝であると同時に、来年への大切な投資でもあるのです。

■お礼肥におすすめの肥料

お礼肥は、疲れた木をすばやく回復させたいので、寒肥よりも少し早く効くタイプの肥料が向いています。化成肥料(かせいひりょう)や、すぐに効く油かすなどを、控えめにあげるとよいでしょう。ただし、量はあくまで少なめが基本です。夏は木が暑さで弱りやすい時期でもあるので、あげすぎてかえって負担をかけないよう、気をつけてください。寒肥がメインのごちそうなら、お礼肥は「軽めの栄養補給」というイメージです。

つまり、お礼肥は「実りへの感謝と、来年への準備をかねた、収穫後のごちそう」です。控えめな量で、疲れた木の体力回復を、やさしく助けてあげましょう。

肥料の種類選びの基本 ~「チッ素・リン酸・カリ」って何?~

肥料を上手にあげるには、肥料に書かれている成分の意味を、すこし知っておくと役立ちます。なぜなら、成分の働きがわかれば、「実をならせたいときは、どの肥料を選べばいいか」が、自分で判断できるようになるからです。

肥料の袋を見ると、よく三つの数字が書かれています。これは「チッ素・リン酸・カリ」という、植物の成長に欠かせない三大栄養素の割合をあらわしています。それぞれに役割があり、よく「葉肥(はごえ)・実肥(みごえ)・根肥(ねごえ)」とも呼ばれます。

■チッ素(葉肥)~葉や枝を育てる~

チッ素は、葉や枝をぐんぐん茂らせる働きをします。木全体を大きく育てるのに大切な成分ですが、梅の場合、これが多すぎると注意が必要です。葉や枝ばかりが茂って、肝心の花や実がつきにくくなってしまうことがあるからです。元気はよくても実がならない、という木は、チッ素のあげすぎが原因のこともあります。

■リン酸(実肥)~花と実をつける~

リン酸は、花を咲かせ、実をならせる働きをします。おいしい梅の実をたくさんならせたい私たちにとって、いちばん大切にしたい成分です。先ほど寒肥でおすすめした「骨粉」には、このリン酸が多くふくまれています。肥料を選ぶときは、まん中のリン酸の数字が大きめのものを選ぶと、実つきがよくなります。

■カリ(根肥)~根を丈夫にする~

カリは、根を丈夫にし、木全体の健康を支える働きをします。根がしっかりすると、木は病気や暑さ・寒さに強くなります。目立たないけれど、木を土台から元気にしてくれる、縁の下の力持ちのような成分です。

つまり、「チッ素は葉、リン酸は実、カリは根」と覚えておくと、肥料えらびがぐっと楽になります。おいしい実をめざすなら、リン酸を意識して選ぶのがポイントです。

肥料の効果を最大限に引き出すのは「剪定」だった

ここからが、梅の専門サイトだからこそお伝えしたい、いちばん大切なお話です。じつは、どんなによい肥料を、正しい時期に、正しくあげても、それだけでは効果が半分しか出ないことがあります。

肥料の力を最大限に引き出すために欠かせないのが、じつは「剪定(せんてい)」なのです。なぜなら、剪定で木が健康に整っていてこそ、あげた栄養が実のほうへ、むだなく届くからです。

■剪定しないと、栄養が「むだ食い」される

考えてみてください。枝が伸び放題でうっそうと茂った木は、勢いよくのびる長い枝(徒長枝=とちょうし)に、栄養をどんどん横取りされてしまいます。すると、せっかくあげた肥料の栄養が、実をならせる短い枝ではなく、葉ばかり茂る長い枝の「むだ食い」に使われてしまうのです。これでは、いくら高い肥料をあげても、おいしい実にはつながりません。剪定で余分な枝を整理しておくことで、あげた栄養が、ちゃんと実のなる枝へと集中して届くようになるのです。

■根の働きと枝のバランスを整える

木は、地上の枝葉と、地下の根が、バランスをとって生きています。剪定で地上部を適切に整えてあげると、根から吸い上げた栄養が、効率よく使われるようになります。寒肥で根の近くに栄養を仕込み、剪定で枝を整える。この二つがそろって初めて、栄養が実りへとまっすぐ向かうのです。肥料と剪定は、いわば車の両輪。どちらが欠けても、うまく前に進めません。

■夏の剪定と肥料で、実が大きくなる

とくに、実を大きくしたい方に知っておいてほしいのが、夏の剪定です。夏に余分な枝を整理しておくと、木の栄養が実のほうへしっかり集まります。ここにお礼肥の栄養が加わることで、実はさらに大きく充実するのです。「肥料はあげているのに実が小さい」という方は、肥料の問題ではなく、剪定で栄養の通り道を整えてあげると、ぐっと改善することが多いのです。

つまり、肥料の効果を最大限に引き出す本当の秘けつは、「肥料」と「剪定」をセットで考えることです。「桜切る馬鹿、梅切らぬ馬鹿」という昔の言葉のとおり、梅は正しく切って、正しく栄養を補ってこそ、おいしい実でたっぷりと応えてくれます。肥料を学んだ今こそ、ぜひその相棒である「剪定」にも目を向けてみてください。当サイトの剪定記事も、あわせて参考にしていただければうれしいです。

読者からよくある質問(Q&A)

Q1. 寒肥とお礼肥、両方あげないとダメですか?
A. 両方あげるのが理想ですが、もしどちらか一つだけなら、いちばん大切なのは「寒肥」です。寒肥は一年の体力づくりの土台になるからです。ただ、お礼肥も来年の花芽づくりに関わる大切な肥料なので、できれば両方、控えめにあげてあげるのがおすすめです。

Q2. 肥料は、木の根元にまくだけではダメですか?
A. 根元にまくだけでも多少は効きますが、効果は半分ほどです。木が栄養を吸う細い根は、幹の近くではなく「枝先の真下」あたりに多くあります。その場所に、浅く穴を掘って埋めてあげると、肥料の効きが大きくよくなります。ひと手間かけるだけの価値があります。

Q3. 化成肥料と有機肥料、どちらがいいですか?
A. どちらにも良さがあります。有機肥料(油かすや骨粉など)はゆっくり長く効くので、寒肥に向いています。化成肥料は早く効くので、お礼肥のような素早い回復に向いています。初心者の方には、ゆっくり効いて失敗しにくい有機肥料から始めるのがおすすめです。

Q4. 肥料をあげすぎると、どうなりますか?
A. 「肥料やけ」といって、濃すぎる肥料で根が傷み、最悪の場合は木が枯れてしまうことがあります。また、チッ素のあげすぎは、葉ばかり茂って実がつかない原因にもなります。肥料は「多ければよい」ものではありません。袋の目安量を守り、少なめを心がけてください。

Q5. 鉢植えの梅も、同じように肥料をあげればいいですか?
A. 基本の考え方は同じですが、鉢植えは土の量が限られているので、地植えよりこまめな栄養補給が必要です。ただし一度の量は少なめにします。鉢植え用の固形肥料を土の上に置く方法が手軽で、初心者にも失敗が少なくおすすめです。

Q6. 油かすと骨粉は、どう使い分ければいいですか?
A. 油かすはチッ素が多めで木全体を元気にし、骨粉はリン酸が多めで花や実をつける働きを助けます。実をたくさんならせたいなら、両方を混ぜて使うのがおすすめです。昔から「油かす+骨粉」は、庭木の寒肥の黄金コンビとして親しまれてきました。

Q7. お礼肥をあげそびれてしまいました。今からでも大丈夫ですか?
A. 少し時期が過ぎても、ひどく遅れていなければ、あげないよりはあげたほうがよいです。ただし、真夏の暑さがきびしい時期や、秋が深まってからのあげすぎは、かえって木の負担になることもあります。様子を見て、控えめにあげてあげましょう。

Q8. 肥料をあげているのに、実が小さいままです。なぜ?
A. 肥料以外に原因があるかもしれません。よくあるのが、剪定不足で栄養が長い枝にうばわれていることです。とくに夏の剪定で枝を整理すると、栄養が実に集まり、大きくなりやすくなります。肥料と剪定をセットで見直してみてください。

Q9. 若い苗木にも、肥料をあげていいですか?
A. はい、ただし量はごく控えめにします。植えたばかりの若い木は根がまだ未発達なので、濃い肥料は禁物です。植えつけのときに土に元肥(もとごえ)を混ぜておき、あとは様子を見ながら、薄めの肥料を少しずつあげるとよいでしょう。

Q10. 肥料をあげる以外に、土を元気にする方法はありますか?
A. はい、あります。寒肥のときに、堆肥や腐葉土を一緒にすき込んであげると、土そのものがふかふかと元気になります。土がよくなると、根がのびのびと育ち、肥料の吸収もよくなります。肥料で「栄養」を、堆肥で「土の住み心地」を、両方ととのえてあげるのが理想です。

梅の肥料は、むずかしく考える必要はありません。「冬の寒肥で一年の体力をたくわえ、収穫後のお礼肥で疲れをいやす」。この二本柱を覚えておけば大丈夫です。そして、その肥料の力を最大限に引き出してくれるのが、日ごろの剪定です。

肥料と剪定、この二つをセットで大切にしてあげれば、梅の木はきっと、毎年たくさんの花と、ぷっくりおいしい実で応えてくれます。木に「ありがとう」と「来年もよろしくね」の気持ちをこめて、ごはんをあげる。そんな温かい時間を、ぜひ楽しんでくださいね。やっぱり、梅の木って最高です。