はじめに
大切に育てている梅の木。ある日ふと見ると、葉っぱに白いものがついていたり、枝に小さな虫がびっしりいたり、葉が食べられて穴だらけになっていたり。「これはいったい何だろう」「病気なのか、虫なのか」「どう対処すればいいの」と、不安になった経験はありませんか。梅の木には、じつにさまざまな病気や害虫がつきます。そして、その正体がわからないと、どう対処してよいかもわからず、ただおろおろしてしまうものです。
でも、ご安心ください。梅につく病気や害虫は、種類こそ多いものの、代表的なものを知っておけば、「あ、これはあの虫だ」「この症状はあの病気だ」と、見分けられるようになります。そして、正体さえわかれば、対処法もはっきりします。この記事は、いわば「梅の病害虫図鑑」です。手元に置いて、木に異変を見つけたときに、「これは何かな」と照らし合わせて使っていただけるよう、代表的な病気と害虫を、見つけ方から対策まで、まるごとご紹介します。
この記事では、梅の木につく主な害虫と病気を、庭師の目線でとことんわかりやすく解説します。どんな見た目か、どこにつくか、どう対処すればよいか、一つひとつていねいにお伝えします。さらに最後には、これらの病害虫を根本から防ぐ、いちばん大切な「剪定(せんてい=枝を切って整えること)」のお話も。この記事を読み終えるころには、梅の病害虫がこわくなくなり、「これで、うちの梅を守れる」と自信を持っていただけるはずです。それでは、一緒に梅の病害虫の世界を見ていきましょう。
まず知っておきたい!病害虫の「早期発見」が何より大切
具体的な図鑑に入る前に、まず大切な心構えをお伝えします。それは、病害虫対策は「早期発見」が何よりも大切だということです。なぜなら、病気も害虫も、初期のうちに気づいて対処すれば、被害を小さく抑えられるからです。
病気や害虫は、放っておくと、あっという間に広がります。一匹だった虫が数百匹に増えたり、小さな黒い点だった病気が葉全体に広がったり。手おくれになると、木全体が弱ってしまうこともあります。反対に、早く気づいて対処すれば、被害はごくわずかで済みます。人間の病気と同じで、早期発見・早期対応が、いちばんの薬なのです。
■「観察する習慣」が最強の対策
早期発見のために、いちばん効果的なのが、こまめに木を観察する習慣です。特別なことではありません。木のそばを通ったとき、庭に出たときに、「葉に異常はないか」「虫はいないか」「枝に変わったところはないか」と、さっと目を向けるだけでよいのです。この小さな習慣が、病害虫の早期発見につながり、あなたの梅を守る、最強の対策になります。
■チェックすべき5つのポイント
観察するときは、次の五か所を見るとよいでしょう。一つ目は、葉の表と裏。とくに裏側は虫が隠れやすい場所です。二つ目は、枝。白い粒や、かさぶた状の傷がないか。三つ目は、新芽。やわらかい新芽は虫の好物です。四つ目は、幹。穴や樹液(じゅえき)が出ていないか。五つ目は、木の根元。落ち葉や虫のフンがないか。この五か所を、月に何度か見ておくだけで、異変に早く気づけます。
つまり、病害虫対策で何より大切なのは「早期発見」です。こまめに木を観察する習慣をつけ、五つのポイントをチェックすることが、あなたの梅を守る第一歩になります。それでは、具体的な病害虫を見ていきましょう。
【害虫図鑑1】枝や幹につく虫 ~カイガラムシ~
まずは、梅の木にとくにつきやすい、代表的な害虫「カイガラムシ」からご紹介します。カイガラムシは、見つけたら早めに対処すべき、やっかいな害虫です。なぜなら、放っておくと木を弱らせ、すす病という病気まで引き起こすからです。
■見つけ方:枝にこびりつく白い粒
カイガラムシは、枝や幹に、白っぽい貝がらのような、または綿(わた)のような小さな粒となって、びっしりとこびりつきます。大きさは数ミリほど。動かないので、一見すると虫には見えず、「枝に白いものがついているな」と思っているうちに、どんどん増えていきます。「梅の木に白いものがついている」「枝に白い粒がびっしり」というときは、このカイガラムシを疑いましょう。

■被害:木を弱らせ、すす病を招く
カイガラムシは、枝や幹に口を突き刺して、木の汁を吸います。これによって木が弱ります。さらに、甘いベタベタした排せつ物を出し、それを栄養にして黒いカビ(すす病)が繁殖します。葉や枝が黒くすすけたようになっていたら、カイガラムシが原因のことが多いのです。
■対策:こすり落とすのが効果的
カイガラムシは、かたい殻におおわれていて、薬が効きにくいのが特徴です。そのため、いちばん効果的なのは、古い歯ブラシやへらなどで、直接こすり落とす方法です。数が少ないうちに、見つけしだいこそげ落としましょう。大量に発生してしまった場合は、枝ごと切り取って処分する方法もあります。冬の間に、専用の薬で対処する方法もありますが、まずはこすり落とすのが基本です。
つまり、カイガラムシは「枝につく白い粒」で、木を弱らせ、すす病を招きます。こすり落とすのが効果的な対策です。風通しの悪い木につきやすいので、早めの発見と対処を心がけましょう。
【害虫図鑑2】新芽に群がる虫 ~アブラムシ~
次にご紹介するのは、春先にとくに多い「アブラムシ」です。アブラムシも、見つけたらすぐに対処したい害虫です。なぜなら、ものすごい速さで増え、木を弱らせ、やはりすす病の原因にもなるからです。
■見つけ方:新芽や葉の裏の小さな虫
アブラムシは、体長1~4mmほどの小さな虫で、やわらかい新芽や、若い葉の裏に、びっしりと群がります。色は緑色のものが多いですが、黒っぽいものや赤っぽいものもいます。「梅の木に小さな緑の虫がびっしり」「新芽に黒い虫が群がっている」というときは、アブラムシです。動きがのんびりしているので、見つけやすいのが特徴です。

■被害:汁を吸い、すす病も招く
アブラムシは、新芽や葉から汁を吸って、木を弱らせます。吸われた新芽は、ちぢれたり変形したりします。そして、カイガラムシと同じく、甘い排せつ物を出して、すす病を引き起こします。また、ものすごい速さで増えるので、一匹見つけたら、その裏に何十匹もいると考えて、早めに対処することが大切です。
■対策:水で流す・テープで取る
アブラムシは、体が弱いので、水でいきおいよく洗い流すだけで、かなり退治できます。葉の裏を狙って、シャワーをかけましょう。数が少なければ、ガムテープで貼り取ったり、手でつぶしたりするのも効果的です。また、テントウムシはアブラムシを食べてくれる天敵なので、見つけたら大切にしましょう。薬を使う場合は、アブラムシ用のものを、説明書に従って使います。
つまり、アブラムシは「新芽や葉裏に群がる小さな虫」で、木を弱らせ、すす病を招きます。水で流すのが手軽で安全な対策です。増えるのが早いので、早期発見・早期対処が肝心です。
【害虫図鑑3】葉を食べる虫 ~毛虫・ケムシ類~
三つ目にご紹介するのは、葉を食べてしまう「毛虫(けむし)」の仲間です。毛虫類は、見つけたら早めに、そして慎重に対処すべき害虫です。なぜなら、葉を食べつくして木を弱らせるうえ、種類によっては、さわるとかぶれるものもいるからです。


■見つけ方:食べられた葉と、虫の姿
毛虫の被害は、まず葉に現れます。葉が食べられて穴だらけになっていたり、ふちがギザギザにかじられていたりしたら、毛虫がいるサインです。また、木の下に、黒っぽいフンが落ちていることもあります。よく見ると、葉や枝に、毛の生えた虫がいます。中には、枝に白い糸で巣を作り、その中に集団でいるものもいます。「梅の葉が虫食いだらけ」「葉に毛虫がいる」というときです。
■被害:葉を食べつくす
毛虫は、葉を食べます。数が多いと、あっという間に葉を食べつくし、木を丸坊主にしてしまうこともあります。葉は、木が栄養を作る大切な器官なので、葉を失うと木が弱ってしまいます。とくに、集団でいる毛虫は、被害が大きくなりやすいので注意が必要です。
■対策:手袋をして取り除く
毛虫を見つけたら、早めに取り除きます。ただし、種類によっては、さわるとかぶれる毒を持つものもいるので、絶対に素手でさわらないでください。必ず手袋をして、割りばしや、枝ごと切り取る方法で処分しましょう。集団でいる場合は、巣ごと枝を切り取るのが効果的です。数が多くて手に負えない場合は、無理せず専門の業者に頼むのも一つの方法です。
つまり、毛虫類は「葉を食べる虫」で、木を弱らせ、さわるとかぶれるものもいます。手袋をして取り除くのが基本の対策です。素手でさわらないよう、くれぐれも注意しましょう。
【病気図鑑1】葉や実に黒い点 ~黒星病~
ここからは、病気の図鑑です。まずは、梅にもっともよく見られる「黒星病(くろほしびょう)」からご紹介します。黒星病は、早めに気づいて対処したい病気です。なぜなら、実の見た目を悪くし、放っておくと広がってしまうからです。
■見つけ方:黒い星のような斑点
黒星病は、その名のとおり、実や葉に「黒い星のような点々」ができるのが特徴です。初めは小さな黒い斑点ですが、だんだん広がって、すすのような黒いかさぶたになります。とくに実にできると、見た目が悪くなり、せっかくの梅仕事ががっかりしたものになります。「梅の実に黒い点がある」「葉に黒い斑点」というときは、黒星病を疑いましょう。

■原因と広がり方
黒星病は、カビの一種が原因です。春から梅雨にかけての、雨が多くジメジメした時期に発生しやすくなります。雨のしずくにのって菌が広がるので、雨の多い年はとくに注意が必要です。落ちた葉や実に菌がひそんでいて、それが翌年の発生源になることも多いです。
■対策:病葉の除去と風通し
対策は、病気にかかった葉や実を、早めに取り除いて処分することです。菌が広がるのを防げます。取り除いたものは、木の根元に捨てず、ビニール袋に入れて処分しましょう。また、剪定で風通しをよくすることが、大きな予防になります。落ち葉や傷んだ実をこまめに片づけることも、翌年の発生を防ぐ、大切な対策です。
つまり、黒星病は「実や葉の黒い点々」が特徴で、湿気を好みます。病葉の除去と、風通しをよくすることが対策です。梅雨の時期はとくに注意して観察しましょう。
【病気図鑑2】枝や実にかさぶた ~かいよう病~
次にご紹介するのは、「かいよう病」です。かいよう病も、見つけたら対処が必要な病気です。なぜなら、枝や実に傷を作り、木を弱らせるからです。

出典:HP埼玉の農作物病害虫写真集
■見つけ方:かさぶた状の斑点
かいよう病は、葉や枝、実に、ぽつぽつとした茶色や黒っぽい斑点ができ、やがてそこがかさぶたのように、かたく盛り上がったり、へこんだりします。「かいよう」とは、ただれて傷ができるという意味で、まさに木に傷ができる病気です。「枝にかさぶたのような傷がある」「実に盛り上がった斑点」というときは、かいよう病かもしれません。
■原因と広がり方
かいよう病は、細菌(さいきん)が原因の病気です。おもに、傷口から菌が入ります。強い風で枝どうしがこすれてできた傷や、虫が食べたあとの傷から、菌が侵入します。とくに、海に近い地域や、風の強い場所では、葉や枝に細かい傷がつきやすく、発生しやすいといわれています。梅雨の時期にも広がりやすい病気です。
■対策:病気の部分の除去と予防
対策は、病気にかかった葉や枝を、早めに切り取って処分することです。また、傷口から菌が入るので、木を傷つけないようにすることも予防になります。風で枝がこすれないよう、混み合った枝を整理したり、害虫を防いで食害による傷を減らしたりすることも大切です。剪定で風通しをよくすることは、この病気の予防にも役立ちます。
つまり、かいよう病は「かさぶた状の傷」が特徴で、傷口から菌が入ります。病気の部分の除去と、木を傷つけない予防が対策です。剪定で風通しをよくすることも効果的です。
【病気図鑑3】葉や枝が黒くすすける ~すす病~
病気図鑑の最後は、「すす病」です。すす病は、見た目が悪く、木を弱らせる病気ですが、じつは対策にコツがあります。なぜなら、すす病は、害虫が原因で起こる病気だからです。

■見つけ方:黒いすすのような汚れ
すす病は、葉や枝の表面が、まるでストーブのすすをかぶったように、黒くベタベタと汚れてしまう病気です。葉が黒くおおわれると、太陽の光をうまく受けられなくなり、木が元気をなくします。「梅の葉が黒くベタベタしている」「枝がすすけたように黒い」というときは、すす病です。
■原因:じつは害虫が犯人
すす病のいちばんの特徴は、その原因が「害虫」だということです。アブラムシやカイガラムシといった害虫が、汁を吸って、甘いベタベタした排せつ物を出します。その甘い汁を栄養にして、黒いカビが繁殖するのです。つまり、すす病は、害虫の出す排せつ物がおおもとの原因なのです。
■対策:おおもとの害虫を退治する
ですから、すす病の対策は、黒い汚れをふきとるだけでは不十分です。ふいても、おおもとの害虫がいれば、また黒くなってしまいます。大切なのは、原因であるアブラムシやカイガラムシを退治することです。害虫を退治すれば、すす病も自然と治まっていきます。「すす病を見たら、害虫を探す」と覚えておきましょう。あわせて、風通しをよくすることも予防になります。
つまり、すす病は「黒いすすのような汚れ」が特徴で、犯人は害虫です。おおもとの害虫を退治することが、根本的な対策になります。汚れをふくだけでなく、虫の対策を忘れないようにしましょう。
【プロの視点】すべての病害虫を防ぐ最強の対策は「剪定」だった
ここからが、梅の専門サイトだからこそお伝えしたい、いちばん大切なお話です。ここまで、さまざまな病害虫を見てきましたが、じつは、これらのほとんどを根本から防ぐ、たった一つの最強の対策があります。それが「剪定(せんてい)」なのです。なぜなら、ここまで紹介した病害虫のほとんどが、「風通しの悪い、ジメジメした環境」を好むという、共通点を持っているからです。
■病害虫は、みな「風通しの悪さ」を好む
思い出してください。黒星病もかいよう病も、湿気の多い環境で広がりました。アブラムシもカイガラムシも、混み合った風通しの悪い枝を好みました。毛虫も、うっそうと茂った葉のかげに潜みました。つまり、これらの病害虫は、みな「枝が混み合って、風が通らず、ジメジメして、日当たりの悪い木」を、共通して好むのです。裏を返せば、この環境をなくしてしまえば、病害虫のほとんどを、まとめて防げるということです。
■剪定が「病害虫の嫌う環境」をつくる
そして、この「病害虫の嫌う環境」、つまり「風通しと日当たりのよい木」を作るのが、剪定なのです。剪定で混み合った枝を整理し、枝と枝のあいだにゆとりを作ってあげると、木の内部まで風がすうっと通ります。雨にぬれてもすぐ乾き、菌の好むジメジメがなくなります。日光も届いて、害虫のかくれ家もなくなります。薬で一つひとつの病害虫に対処するのは「対症療法(たいしょうりょうほう)」ですが、剪定は、病害虫が寄りつかない体質そのものを作る「根本療法」なのです。
■健康な木は、自分で病害虫とたたかう
さらに、剪定で日当たりと風通しをよくすると、木そのものが健康で丈夫になります。人間と同じで、体力のある元気な木は、病害虫に対する抵抗力が高く、たとえ少しついても、自分の力ではね返します。剪定は、環境を整えるだけでなく、木自身の免疫力(めんえきりょく)を高めてくれるのです。
■早期発見も、剪定した木ならやりやすい
そして、剪定ですっきり整った木は、枝も葉も一本一本がよく見えます。だから、この記事で紹介したような病害虫のサインにも、早く気づけます。うっそうと茂った木では、奥に潜む虫や病気に気づいたときには手おくれ、ということもありますが、風通しよく仕立てた木なら、早期発見がぐっとやりやすくなるのです。
■夏の剪定が、実も守る
とくに、実の収穫を楽しみたい方には、夏の剪定が大切です。夏に余分な枝を整理して風通しをよくすると、病害虫から実を守れるうえ、栄養が実に集まって、実が大きく充実します。「梅酒や梅干し用の、あの大きな実は、夏の剪定が正しかったからこそ育つ」のです。病害虫を防ぎながら、おいしい実も育てられる。剪定は、まさに一石二鳥なのです。
つまり、すべての病害虫を防ぐ最強の対策は、薬ではなく「剪定」です。「桜切る馬鹿、梅切らぬ馬鹿」という昔の言葉のとおり、梅は正しく切ってあげることで、風通しと日当たりがよくなり、病害虫に負けない、丈夫で健康な木になります。病害虫の対策を考えている今こそ、ぜひその根本にある「剪定」に目を向けてみてください。当サイトには、風通しをよくする剪定や、夏の剪定をくわしく解説した記事もありますので、あわせて参考にしていただければうれしいです。
読者からよくある質問(Q&A)
Q1. 梅の木に白いものがびっしりついています。これは何ですか?
A. カイガラムシの可能性が高いです。枝や幹につく、白っぽい貝がらや綿のような小さな粒で、木の汁を吸って弱らせます。かたい殻で薬が効きにくいので、古い歯ブラシなどでこすり落とすのが効果的です。放っておくとすす病も招くので、早めに対処しましょう。
Q2. 新芽に小さな緑の虫が群がっています。どうすれば?
A. アブラムシです。新芽や葉の裏に群がり、汁を吸って木を弱らせます。水でいきおいよく洗い流すか、数が少なければガムテープで取り除きましょう。ものすごい速さで増えるので、早めの対処が肝心です。テントウムシがいれば、天敵として働いてくれます。
Q3. 葉が虫食いだらけです。犯人は何でしょう?
A. 毛虫の仲間の可能性が高いです。葉を食べて穴だらけにし、木の下にフンが落ちていることもあります。見つけたら取り除きますが、種類によってはさわるとかぶれるので、必ず手袋をして、割りばしや枝ごと切り取って処分してください。素手でさわらないよう注意しましょう。
Q4. 葉や実に黒い点々ができています。病気ですか?
A. 黒星病の可能性が高いです。カビが原因で、梅雨など湿気の多い時期に発生します。病気の葉や実を取り除いて処分し、風通しをよくしましょう。落ち葉や傷んだ実をこまめに片づけることも、翌年の発生を防ぐ大切な対策です。取り除いたものは袋に入れて処分してください。
Q5. 葉が黒くベタベタしています。これは何の病気ですか?
A. すす病です。ただし、おおもとの原因は、アブラムシやカイガラムシといった害虫です。これらの虫の出す甘い排せつ物に、黒いカビが繁殖するのです。黒い汚れをふきとるだけでなく、必ずおおもとの害虫を退治してください。害虫がいなくなれば、すす病も治まります。
Q6. 病気の葉や枝は、どう処分すればいいですか?
A. 必ず、ビニール袋に入れて口をしばり、燃えるゴミとして処分してください。木の根元に捨てたり、庭に放置したりすると、そこから菌がまた広がってしまいます。落ちた病気の葉や実も、同じようにきれいに片づけることが、病気を広げないコツです。
Q7. 薬(農薬)は、使ったほうがいいですか?
A. 必ずしも必要ありません。多くの病害虫は、こまめな観察と、剪定による風通しの改善、そして手作業での除去で、かなり防げます。どうしても大発生して手に負えない場合は、その病害虫に合った薬を、説明書に従って使いましょう。とくに実を食べる梅では、使用時期に注意が必要です。
Q8. 病害虫がつきやすい時期は、いつですか?
A. 春から梅雨にかけてが、とくに注意が必要な時期です。アブラムシは春の新芽の時期に、病気の多くは湿気の多い梅雨に発生しやすくなります。この時期は、いつもより念入りに木を観察しましょう。また、梅雨前に剪定で風通しを整えておくと、予防に大きな効果があります。
Q9. 幹から樹液のようなものが出ています。大丈夫でしょうか?
A. 幹から樹液(ヤニ)が出るのは、木が弱っていたり、傷や病気、害虫の被害を受けていたりするサインのことがあります。まず、その部分に虫が入っていないか、傷や病気がないかを確認しましょう。原因に応じて対処し、心配な場合は専門家に見てもらうと安心です。健康な木を保つことが予防になります。
Q10. たくさんの病害虫を、まとめて防ぐ方法はありますか?
A. あります。それが「剪定」です。この記事で紹介した病害虫のほとんどは、風通しの悪いジメジメした環境を好みます。剪定で風通しと日当たりをよくすれば、その多くをまとめて防げます。薬で一つずつ対処するより、剪定で病害虫の寄りつかない健康な木を育てることが、いちばんの対策です。
梅の木につく病気や害虫は、種類こそ多いものの、代表的なものを知っておけば、決してこわいものではありません。大切なのは、こまめに木を観察して早期発見すること、そして正体を見分けて、正しく対処することです。この記事を「図鑑」として手元に置き、木に異変を見つけたときに、ぜひ照らし合わせてみてください。
そして何より、すべての病害虫を根本から防ぐ最強の対策は、日ごろの剪定です。風通しと日当たりのよい健康な木に育ててあげれば、病害虫はそもそも寄りつきにくくなります。大切な梅の木を、病害虫からしっかり守って、毎年の花と実を楽しんでくださいね。やっぱり、梅の木って最高です。



