枝垂れ梅だけでなく、枝垂れる木は上から下に向かって枝がたれ下がる習性があることは、あなたもご存じのことだと思います。
ここでは、庭師歴25年の経験をもとに、枝垂れ梅の習性を知ることで、枝垂れる木特有の剪定方法を理解できるように、分かりやすく解説します。最後まで読んでいただければ、なぜ上向きの枝を残すのか、いつ切ればいいのかがすっきり分かり、毎年あの美しい枝垂れの花を楽しめるようになります。
1. 枝垂れ梅の習性ってなに?
結論からお伝えすると、枝垂れ梅は「枝が一度上に伸びてから、自分の重みで下に垂れてくる」という習性を持っています。この習性を理解することが、枝垂れ梅をきれいに仕立てる最大のカギです。
大体の木は上に向かって枝が伸びるのをご存じかと思います。しかし、枝垂れる木の場合は、枝が一度上に向かう仕草は見せますが、その後上に伸び続けるのではなく、重力に身を任せるように方向転換をして、下に向かって伸びていきます。
だからこそ、上に向かって伸びる枝を切らないで残しておいても、枝は自然と下に向かって伸びていきます。つまり、この美しい枝垂れを作るためには、上向きの枝を残す必要があるのです。
逆に、必要のない枝とは、枝のやや下部分から生え、下に向かって生えている枝です。太い枝であれば、真横よりも下側から出ている枝は、必ず下に向かっていきますので、不要な枝になります。そのような徒長枝(とちょうし)は樹勢にもよくないので、伸びる前に見つけしだい、すべて切り取っておく方がよいです。
ここで初心者の方が「えっ?」と思うのが、「下に垂れさせたいのに、なぜ上向きの枝を残すの?」という点でしょう。これは、噴水を思い浮かべると分かりやすいです。噴水の水は、いったん勢いよく上に上がってから、放物線を描いて美しく落ちてきますよね。枝垂れ梅の枝も同じで、いったん上に伸びた枝が、やがて優雅なカーブを描いて垂れ下がるからこそ美しいのです。最初から下を向いた枝は、ただダラリと下がるだけで、この美しいカーブが生まれません。
図で表すと下図のように「黄色い線」で切れば良いわけです。

枝垂れる木は、枝を切る位置によって枝の向きが変わってきますので、樹形にも大きく影響してきます。
下の左図を見てもらうと、基本に則って「赤い線」で切れば良いのですが、「青丸部分内」の「緑の線」で切ってしまうと、下の右図のように木の内側に向かって枝が伸びるようになってしまいます。

今は1本の枝で解説しているので、大したことがないように思えるかもしれません。しかし、これをすべての枝で行ってしまうと、枝が内側に向かっていきますので、樹形全体が細く、混雑した感じになってしまいます。
そうすると、樹形の内部に枝が集まるようになり、内部には日が当たらなくなり、風通しも悪くなります。すると、枯れ枝も増えますし、病害虫が発生しやすくなるので、樹勢が損なわれ、結果的に花つきも悪くなってしまうのです。たった一つの芽の選び方が、数年後の木全体の姿を決めてしまう、というわけですね。
2. 枝垂れ梅の気になる剪定の時期
結論として、枝垂れ梅を剪定するなら、葉が落ちた後の冬期剪定、普通の梅と同様に10月頃から芽吹く(花芽がわかる)までの間の休眠期が一番良い時期です。
園芸書には「枝垂れ梅の剪定は花後に行う」と書いてあるかもしれません。しかし、私の経験上、庭に植えた枝垂れ梅は冬の休眠期に剪定するのがいちばんおすすめです。
なぜ冬が良いのでしょうか。理由は2つあります。一つは、枝垂れ梅が葉を落として休眠状態になることで、強い剪定にも耐えられる時期だからです。もう一つは、葉が落ちて枝の混み具合がよく分かるので、交差していたり密になっていたりする部分が一目瞭然だからです。
逆に、葉が付いている時期に剪定をすると、内部の状況がよく分かりづらいですし、余計な葉に養分を取られて樹勢を弱くしてしまい、花が咲かなくなることがあります。さらには、枯れる元にもなるので、この時期の剪定はおすすめしません。
たとえるなら、葉が茂った夏の剪定は「目隠しをして片づけをする」ようなもの、葉が落ちた冬の剪定は「明るい部屋で片づけをする」ようなものです。どちらが失敗しにくいかは、言うまでもありませんね。
一般の方はどうしても、葉っぱが生い茂ってうっとうしくなった夏場に剪定をするものだと勘違いしています。でも、木は切った後、そこからさらに枝葉を伸ばそうとします。ということは、そこに養分が取られてしまうということです。もし花芽の形成時期に葉っぱに養分を取られてしまっていたら、それこそ来年の花芽の数を減らす原因になります。結果的に、切ったところから芽を出そうと栄養が集中してしまい、花芽の数を減らす原因になるので、良いことなしなのです。
「でも冬期剪定まで待てない!」という場合は、次に説明する「枝垂れ梅の花芽のポイント」を押さえると、いつ切れば良いかが分かってきます。
3. 枝垂れ梅の花を咲かせる剪定のポイント
結論として、枝垂れ梅の「古い枝には花がつかない」という大切な性質を知っておくことが、花をたくさん咲かせる秘訣です。
枝垂れ梅の古い枝には花がつかない、ということは知っていましたか? 今年花が咲いた枝に、来年もまた花が咲くのかというと、実は咲かないのです。
では、どういうサイクルで花が咲くのでしょうか。今年花がついた枝に、花が終わる頃に新芽が出始め、その新芽が花後に一斉に伸びます。その年の夏に、この伸びた充実した新枝に花芽が付いて、それが翌年の2月~3月頃から蕾が膨らんで花が咲くというわけなのです。
つまり、毎年新しい枝に花が咲く、というのが枝垂れ梅の仕組みです。これは、毎年新しい竹の子が伸びて新しい竹になるのに少し似ています。古い枝にしがみつくのではなく、新しい枝を育てていくことが大切なのです。
「枝垂れ梅は花後に切る」と、ほとんどの園芸書には書いてあるかもしれません。しかし、これは盆栽や鉢植えの場合です。ということで、庭に生えている枝垂れ梅の木は、花後に切ってはいけないというのがポイントです。
4. 花後に切ってはいけない理由
結論として、花後に切ってはいけないのは、花芽が確定する時期に関係しているからです。
枝垂れ梅の花芽の分化が始まるのは7月~8月ころで、9月~10月ころには花芽が形成されます。そして翌年春に蕾となって花が咲き、葉芽はその後新芽となります。
始めのうちは、新芽に花芽も葉芽もありません。そのため、あまり早すぎる剪定をしてしまうと、花芽よりも葉芽に樹勢が取られてしまうので、花芽がつきにくくなり、翌春には花をつけなくなってしまうのです。
このことからもわかるように、枝垂れ梅の剪定は花芽が確定した後にしないと、来年の花芽の数を減らす結果となります。花芽が確定する前に切ってしまうと、せっかく花芽になりかかっていたものも、全部葉芽に変わってしまうのです。
なぜそんなことが起こるのでしょうか。庭に植えてある枝垂れ梅は木の勢いが強いので、切られたことで「これは大変だ!もっと新しい枝を伸ばさなければいけない」と思い込み、花芽が葉芽に変わってしまうのです。これは、花を咲かせる準備をしていた木に「いや、それより枝を伸ばして!」と急に方向転換させてしまうようなものですね。
剪定は花芽が確定した後、余裕を見て10月ころからつぼみが膨らみ始めるまでの間に行うといいです。このことからも、10月ころに花芽が完全に固まったのを見計らってから切るようにするのが間違いありません。
もしも10月ころに枝垂れ梅の剪定をしようと思っていても、まだ葉が茂っていて、なかなか樹形も見定めにくいと思います。急いで枝垂れ梅の剪定をしなくても良いのであれば、葉が落ちてから剪定すると、枝の混み具合が分かって効率よく作業できるので、葉が落ちた冬期に剪定すると良いですよ。
5. 失敗しない!花芽と葉芽の見分け方
ここからは、初心者の方が最もつまずく「花芽と葉芽の見分け方」を、もう一歩くわしく解説します。結論として、この見分けさえできれば、枝垂れ梅の剪定で大きな失敗をすることはありません。
なぜなら、枝垂れ梅の花が咲かない失敗のほとんどが、知らずに花芽を切ってしまうことが原因だからです。逆に言えば、花芽を見分けて残すことさえできれば、安心して剪定ができます。
具体的な見分け方は、とても簡単です。丸くてふっくら太っているのが「花芽」、細くてとがっているのが「葉芽」です。花芽はこれから花になる赤ちゃんなので、ぷっくりしています。葉芽は葉っぱになるので、鉛筆の先のようにツンととがっています。
たとえば、ぶどうの粒のように丸くなっている芽を見つけたら、それが花芽です。指でそっと触って「丸いな」と感じたら、来年の花だと思って、絶対に切らないようにしましょう。
剪定の時期である10月以降であれば、すでに花芽が確定しているので、よく観察すれば丸い花芽がはっきり見えます。葉が落ちて枝だけになった冬は、芽の形を確認する絶好のチャンスです。剪定を始める前に、まずはどの枝に丸い花芽がついているか、じっくり観察してみてください。迷ったときは「切らない」のが、いちばん安全な判断です。
6. 枝垂れ梅を夏にする場合の剪定
結論として、枝垂れ梅は冬期に剪定するのがおすすめですが、最悪の場合、夏に剪定しても、まあ良いでしょう。
ただし、注意点があります。毎年夏に切ってしまうと樹勢は悪くなる感じがしますので、できるだけ10月以降の冬期剪定をした方がよいです。
夏に行う場合は、全体を見て形だけを整えるようにします。具体的には、突発的に伸びたような枝を、幹や太い枝から間引くように取り除きます。これだけでも、かなり空間ができて形も整います。
なぜ夏は軽くだけにするかというと、この時期の剪定の目的は、内部に日を当てて極力日陰にならないようにしたり、病害虫が発生しないように風通しを良くしたりすることだからです。ガッツリ強い剪定をすると、樹勢を弱めたり花芽がつかなくなったりするので避けてください。
たとえば、髪の毛が伸びてボサボサになったとき、全部バッサリ切らなくても、飛び出した毛を軽くすくだけでさっぱりしますよね。夏の枝垂れ梅も同じで、目立つ枝を軽く整える程度で十分なのです。
7. 枝垂れ梅の剪定道具とケガをしないポイント
結論として、枝垂れ梅の剪定では「よく切れる道具」と「安全への備え」が何よりも大切です。とくに安全については、命に関わる話なので、しっかり読んでください。
まず道具についてです。枝垂れ梅の枝は意外と硬く、細いと思っても剪定バサミで太刀打ちできない場合もありますので、剪定バサミと、場合によってはノコギリが必要になります。剪定バサミは、切れ味と耐久性に優れた「おの義(推奨)」のものを使えば間違いありません。プロの現場でも使われている確かな切れ味なので、硬い枝でも力の弱い方でもスパッと切れます。一本良いものを持っておけば、庭のいろいろな木に長く使えるので、結果的にお得です。
次に、切った枝の扱いに注意が必要です。切った枝を地面に置きっぱなしにしていると、危険なことがあります。太めの枝から出ている先のとがった短い枝があるのですが、これが意外とやっかいです。この枝を知らないで底の薄い靴などで踏んでしまうと、簡単に貫通して足に突き刺さることがあり、私は何度も痛い思いをしました。気をつけているつもりでも、意外とトゲのあるところを歩いてしまうものです。切った枝は、その場に放置せず、すぐにまとめる習慣をつけましょう。
もうひとつ、命に関わる危険な行為があります。それは、よく脚立を使って作業する方がいますが、なぜか歳をとればとるほど脚立を使いたくなる方が多いのです。
四本足の脚立は、平らな場所では威力を発揮しますが、足が四本であるため、デコボコした地面ではバランスが悪くなり、一瞬でもグラッとすると対応できずに落ちてしまいます。
私は何十人と高所から落ちて、命を亡くした人、半身不随や脳障害をおこした人たちを知っていますし、実際に見てきました。木一本のために命を落とすなんて、悲惨なことです。
身近では、妻の父親が剪定作業中に3mの高さから落ちてコンクリートに頭を打ち、結局それが原因で亡くなった経緯があります。
お年寄りになればなるほど頑固になりがちですが、「俺は大丈夫!」と思わないでください。高い場所で作業するなら、四本足の脚立ではなく、絶対に三脚を使ってください。三脚は三点で地面に着くので、デコボコした場所でもバランスが安定し、転倒しにくいのです。
人生を早く終わらせたくなければ、もしも三脚がない場合は、剪定作業をしないか、業者に頼むなどで対応してください。それでもまだ四本足の脚立で剪定しようとしているのであれば、お金と命とどちらが大切か、一度じっくり考えることです。本当に、これだけは守ってほしいと願っています。
8. 枝垂れ梅の剪定方法
「桜切るバカ、ウメ切らぬバカ」という言葉があるように、枝垂れ梅の場合も剪定をしないと、木が茂りすぎて花が咲かなかったりします。また、生い茂るということは、当然日当たりや風通しが悪くなり、害虫の格好の溜まり場となってしまいます。
結論として、枝垂れ梅の剪定方法は、10月以降に全体のシダレ具合を見て、間引いたり不要な枝を切ったりするのが基本です。その場合は、外芽(外側を向いた芽)で適宜に切れば、理想の樹形になるはずです。
なぜ不要枝を外すだけで良いのでしょうか。枝垂れ梅はもともと美しく枝垂れる性質を持っているので、余計な枝を取り除いて、その性質を引き出してあげるだけで形が決まるからです。不要枝を外すだけでも、随分木の形が整います。
具体的には、形を崩す立ち枝、見切り枝、下り枝、重なっている枝などの不要枝を、付け根から切ります。特に、木の内側を向いて伸びた枝は、思い切ってきれいさっぱり取り除くとよいです。枝垂れ梅の剪定のコツは、懐(ふところ=幹に近い部分)を大きく作ると、枝垂れる状態がきれいになることです。
たとえるなら、これは美しい滝を作るのに似ています。滝は、上から水がきれいに落ちてくるからこそ美しいですよね。枝の途中にゴチャゴチャと邪魔なものがあると、せっかくの枝垂れが台無しになります。内側をスッキリさせて、上から枝が流れ落ちるような空間を作ることが、枝垂れ梅を美しく見せる秘訣なのです。
もしも枝垂れ梅を剪定しないで放任していると、枝数がどんどん増え、その枝からもどんどん伸びて増えるので、樹冠の中には光が入らない状態になります。すると枝は枯れて貧弱になり、しだいに花芽がつきにくくなります。アブラムシなどの害虫も多く発生することになります。
そこで、冬場には必ず剪定をすると、樹冠の中に光がよく入るので、花がたくさんつくようになるのです。
9. 枝垂れ梅の剪定方法のポイント
結論として、枝垂れ梅は「上向きの芽を残して、上から落ちていくような枝ぶりを作る」のがポイントです。
枝垂れ梅は下に枝が伸びていく習性があるので、枝の上側の芽を残して伸ばし、上から落ちていくような枝ぶりを作ってやるとよいのです。
具体的な手順は、次の通りです。
1.下に向かって伸びている枝は、すべて切る
2.真っ直ぐに伸びる枝を切って(下図赤線)、上に向かって伸びて下に落ちる枝を生かす

このように切ることで、樹形内部に空間ができます。今は上に向かっている残った枝も、次第に下に垂れるように伸びていきますので、見栄えも大分変わってきます。
要は、ふところ(幹に近い部分)に空間を持たせるような枝をつくる剪定の仕方をすると良い、ということです。最初は「本当に下に垂れるのかな?」と不安に思うかもしれませんが、心配いりません。枝垂れ梅は、放っておいても自分の性質で下に垂れてきます。あなたはただ、上向きの芽を残してあげるだけでいいのです。
10. 太い枝をハサミで簡単に切る方法
結論として、太くて硬い枝垂れ梅の枝も、「てこの原理」を使えば、力の弱い方でも驚くほど簡単に切れます。
おそらく、剪定に不慣れな方は、太い枝や硬い枝を切るときに、切れなくて苦労されているのではないでしょうか。でも、これから教える方法を使うと、太くて硬い枝垂れ梅の枝でも、ビックリするくらい簡単に切れちゃいます。
太い枝をハサミで簡単に切る方法は、下の図を参考にしてください。わかりやすく描いたつもりですが、なんとなくでよいので理解してください。
やり方は簡単です。はじめに「ハサミで切る位置」にハサミをセットして、枝をハサミで切ると同時に、片方の手で下に向かって枝を下げて力を与えます。そうすると「てこの原理」で、硬い枝でも簡単に切れてしまいます。場合によっては、力の掛け具合によって、切れる前にスパッと折れてしまうこともありますが、それでも問題ありません。
これは、固いビンのふたを開けるときに、タオルを使うと楽に開けられるのと似た、ちょっとした「コツ」です。力まかせにギュッと握るのではなく、枝を曲げる力を利用するだけで、ぐっと切りやすくなるのです。
この方法は、力のない女性の方にも重宝すると思いますし、慣れれば細い枝でもこれを必ずするようになります。ぜひご活用ください。

11. 枝垂れ梅の剪定に関するQ&A(よくある質問)
最後に、枝垂れ梅の剪定について読者の方からよく寄せられる質問にお答えします。あなたの疑問もきっとこの中にあるはずです。
Q1:下に垂れさせたいのに、なぜ「上向きの芽」を残すのですか?
枝垂れ梅の枝は、最初は上に伸びても、自分の重みで自然と下に垂れてきます。ですから、上向きの芽を残しておくと、その枝が一度上に伸びてから優雅に垂れ下がり、美しいカーブになります。噴水の水が一度上に上がってから放物線を描いて落ちるのと同じです。逆に最初から下を向いた枝を残すと、ダラリと下がるだけで美しい形になりません。
Q2:園芸書には「花後に切る」と書いてあります。どちらが正しいのですか?
「花後に切る」のは、盆栽や鉢植えの場合の話です。庭に植えた勢いの強い枝垂れ梅は、花後の早い時期に切ると、花芽になりかけていたものが葉芽に変わってしまい、来年の花が激減します。庭の枝垂れ梅は、花芽が確定した後の10月~芽吹く前の冬期に切るのが正解です。お住まいの環境に合わせて使い分けてください。
Q3:今年花が咲いた枝に、来年も花は咲きますか?
枝垂れ梅の場合、古い枝には花がつきにくいので、今年咲いた枝に来年も咲く可能性は低いです。枝垂れ梅は、花後に伸びた新しい枝に、その年の夏に花芽がつき、翌春に花が咲く仕組みです。ですから、古い枝にこだわらず、新しい枝を育てる「世代交代」を意識した剪定が、花をたくさん咲かせる秘訣になります。
Q4:花芽と葉芽がどうしても見分けられません。コツはありますか?
いちばん簡単なのは「丸くふっくらが花芽、細くとがっているのが葉芽」と覚えることです。指でそっと触って「ぷっくりしているな」と感じたら花芽です。剪定時期の10月以降なら花芽が確定しているので、よく観察すれば丸い芽がはっきり見えます。それでも迷うときは「切らない」のが安全です。
Q5:高いところを切りたいのですが、脚立を使ってもいいですか?
四本足の脚立は、デコボコした地面でバランスを崩しやすく、大変危険です。実際に、高所からの転落で命を落としたり、大ケガをしたりする方を何人も見てきました。高い場所の作業には、必ず三本足の三脚を使ってください。三脚は地面に三点で着くので安定します。三脚がない場合は、無理をせず業者に頼むのが安全です。命より大切な木はありません。
Q6:太い枝が硬くて、ハサミで切れません。どうすればいいですか?
「てこの原理」を使ってみてください。切りたい位置にハサミをセットして、片方の手で枝を下に曲げながら切ると、力の弱い方でも驚くほど簡単に切れます。それでも切れないほど太い枝は、無理せずノコギリを使いましょう。切れ味の良い「おの義(推奨)」のハサミを使えば、硬い枝もぐっと切りやすくなります。
Q7:内側に向かって枝が伸びてしまい、樹形がゴチャゴチャしています。どうすれば直りますか?
内向きの枝は、思い切って付け根から切り取りましょう。木の内側(懐)に空間を作ることが、枝垂れ梅を美しく見せるコツです。一度にすべて直そうとせず、冬の剪定のたびに、内側を向いた枝を少しずつ整理していけば、数年かけて自然と美しい樹形に戻っていきます。焦らず取り組んでください。
Q8:何年も放置した枝垂れ梅を、一度にきれいにしても大丈夫ですか?
一度に大きく切るのは、木への負担が大きすぎるのでおすすめしません。放置した木は、3年くらいかけて少しずつ整えるのが正解です。1年目は枯れ枝と明らかな不要枝、2年目は内側の混みあった枝、というように、毎年冬に少しずつ手を入れていきましょう。ゆっくり美しい形に戻していくのが、木にも優しいやり方です。
12. まとめ:枝垂れ梅は「習性」を生かせば美しくなる
この記事では、枝垂れ梅の習性を生かした剪定方法について、詳しく解説しました。
今日お伝えしたことを、もう一度シンプルにまとめます。枝垂れ梅は「一度上に伸びて、自分の重みで下に垂れる」習性があるので、上向きの芽を残すこと。剪定の時期は、花芽が確定した後の「冬の休眠期(10月~芽吹く前)」が最適。花後の早い時期に切ると花芽が葉芽に変わるので避けること。下向き・内向きの枝を切り、懐に空間を作ること。そして、高所作業では絶対に三脚を使い、安全を最優先にすること。これらを守れば、まず失敗することはありません。
枝垂れ梅は、その習性を理解してあげれば、決して難しい木ではありません。むしろ、自分から美しく垂れようとする力を持っているので、あなたはその手助けをしてあげるだけでいいのです。
まずはご自身の枝垂れ梅をじっくり観察し、どの枝に丸い花芽がついているか、どの芽が上を向いているかを見てみてください。良い道具は良い仕事の第一歩です。剪定バサミは切れ味と耐久性に優れた「おの義(推奨)」を一本持っておけば、枝垂れ梅と長く付き合っていく心強い相棒になってくれます。
そして何より、作業の際は安全を第一に。高い場所では必ず三脚を使い、無理だと感じたら迷わずプロの庭師や造園業者に相談してください。
あなたの庭の枝垂れ梅が、これからも毎年春に、優雅で美しい花を咲かせ続けることを心より願っております。

