花梅にはどのような品種があるのか

花梅(はなうめ)は、日本に400種類以上もあるとされます。これほど多くの品種があると、「いったいどう違うの?」「自分の庭の梅はどの品種?」と、迷ってしまいますよね。

花梅は大きく分けて、「野梅系(やばいけい)」「緋梅系(ひばいけい)」「豊後系(ぶんごけい)」の3種類の系統があります。そして、花の色や木の状態によって、その3系統は、さらに8つの「性(しょう)」に分類されます。

この記事では、庭師歴25年の経験をもとに、「野梅系」「緋梅系」「豊後系」3つの系統に属する花梅の特徴や、それぞれに属する花梅の名称について、初心者の方にも分かりやすく解説します。最後まで読んでいただければ、複雑に見える梅の品種が、すっきりと整理して理解できるようになります。

1. そもそも「系統」と「性」って何?まず全体像をつかもう

品種の話に入る前に、まず「系統」と「性」という言葉の意味をつかんでおきましょう。結論として、花梅は「3つの大きなグループ(系統)」があり、その中がさらに「8つの小さなグループ(性)」に分かれている、という二段構えになっています。

なぜこのような分け方をするのかというと、400種類以上もある花梅を、一つずつ覚えるのは大変だからです。そこで、似たもの同士をグループにまとめることで、ぐっと理解しやすくなるのです。

たとえるなら、これは住所のようなものです。「○○県(系統)の中の、○○市(性)に、○○さん(品種名)が住んでいる」という関係に似ています。まず大きく3つの県に分かれ、その中がいくつかの市に分かれ、最後に一人ひとりの名前がある、というイメージですね。

具体的には、まず3つの系統があります。原種に近く素朴な「野梅系」、紅色の花が多い「緋梅系」、アンズの血を引く「豊後系」です。そして、この3つがさらに8つの性に分かれます。最初は難しく感じるかもしれませんが、この「大きく3つ、細かく8つ」という全体像さえつかんでおけば、これから説明する内容がすんなり頭に入ってきます。気楽に読み進めてください。

2. 野梅系の品種の特徴

結論として、「野梅系」に属する梅は、原種に近く、枝が細くて花も葉も比較的小さいのが特徴です。

なぜ「原種に近い」かというと、野梅系は、人の手であまり改良される前の、野生の梅に近い性質を残しているからです。素朴で清楚な美しさがあり、花梅の数も最も豊富な、いわば花梅の基本となるグループです。

「野梅系」には、4つの性「野梅性」「紅筆性」「難波性」「青軸性」があります。それぞれの特徴を見ていきましょう。

野梅系の品種の特徴

「野梅性(やばいしょう)」に属する花梅は、原種に近い物が多くあり、枝が細くトゲ状の小枝を出すこともあります。葉っぱは比較的小ぶりで無毛です。花は白または淡紅が多くよい香りがします。若い枝は緑色をしており、日に焼けると赤みを帯びてきます。
「紅筆性(べにふでしょう)」の花梅は、紅色のつぼみの先が尖っているために紅筆と呼ばれます。
「難波性(なにわしょう)」の花梅は、枝が細く茂りがちで、こぢんまりする傾向があります。挿し木でよく活着するものが多いです。葉の形状は丸型に近いです。
「青軸性(あおじくしょう)」の花梅は、つぼみと若い枝が黄緑色をしています。花は青白い色をしています。

花梅の品種野梅系

それぞれの性を、もう少し身近にイメージしてみましょう。「野梅性」は、白い花が多く香りが良い、いちばん基本的な梅です。庭でよく見かける、清楚な白梅の多くがこのグループです。「紅筆性」は、つぼみの先が筆の先のように尖っていて紅色をしているのが目印です。まるで小さな筆をたくさんつけたような姿が、名前の由来ですね。

「難波性」は、こぢんまりとまとまる性質なので、あまり大きくしたくない方に向いています。「青軸性」は、枝もつぼみも黄緑色という、ちょっと珍しいタイプです。花も青みがかった白で、涼しげな印象を持つ、個性的なグループです。緑色の梅というのは、なかなか面白いですよね。

3. 緋梅系の品種の特徴

結論として、「緋梅系」は、紅色の花がほとんどですが、見分けのポイントは「枝の中身の色」にあります。

どういうことかというと、緋梅系は、枝の髄(ずい=枝を切ったときの中心部分)の色が赤ければ、たとえ花が白くても、この系統に分類されるのです。つまり、花の色だけでなく、枝を切った断面の色が分類の決め手になる、というわけです。これは、見た目だけでは分からない、ちょっと専門的な見分け方ですね。

「緋梅系」は、2つの性「紅梅性」「緋梅性」に分類されます。

緋梅系の品種の特徴

「紅梅性(こうばいしょう)」に属する花梅は、花の色が明るい紅色をしています。若枝の色が緋梅性のものほど濃くならず、緑色がかっています。
「緋梅性(ひばいしょう)」の花梅は、紅梅のうちで、特に花色が濃い紅色から緋色をしている花梅はこのグループに属します。緋梅性の多くは樹勢が弱く、若い枝が黒褐色に日焼けします。ちなみに緋色とは、やや黄色みのある鮮やかな赤色のことを指します。

花梅の品種紅梅性

2つの性の違いを、色で覚えると分かりやすいです。「紅梅性」は、明るい紅色の花が咲き、若い枝は緑色がかっています。私たちが「紅梅」と聞いて思い浮かべる、あのきれいな赤い梅の多くがこのグループです。

一方「緋梅性」は、紅梅の中でも特に色が濃く、濃い紅色から緋色(ひいろ)の花を咲かせます。緋色とは、やや黄色みのある鮮やかな赤色のことです。情熱的な濃い赤、というイメージですね。ただし、緋梅性の多くは樹勢が弱く、若い枝が黒褐色に日焼けするという特徴があります。色が濃く美しい分、少しデリケートなグループだと言えます。育てる際は、少していねいに見守ってあげるとよいでしょう。

4. 豊後系の品種の特徴

結論として、「豊後系」は、アンズとの雑種性が強い種類で、花梅・実梅の両方に当てはまるグループです。

なぜアンズが関係するのかというと、豊後系は、梅とアンズが自然に交雑して生まれた性質を強く持っているからです。そのため、花は大きく、実も大きいものが多く、梅とアンズの「良いとこ取り」のような特徴を持っています。

「豊後系」は、2つの性「豊後性」「杏性」に分類されます。

豊後系の品種の特徴

「豊後性(ぶんごしょう)」に属する花梅は、アンズとの雑種性の強い梅です。花は大輪で淡紅色のピンク色が多く遅咲きですが、花の香りはそれほど高くないです。
「杏性(あんずしょう)」に属する花梅は、豊後性によく似ますが、それよりも枝が細く葉も小さいです。葉面に毛はなく、枝の色は灰褐色をしており、花の香りはそれほど高くなく、遅咲きが多いです。

花梅の品種豊後系

2つの性を見てみましょう。「豊後性」は、アンズの血が濃く、花は大輪(大きな花)で、淡いピンク色が多いのが特徴です。咲く時期は遅咲きで、香りはそれほど高くありません。大きくて優しいピンクの花は、見ごたえがあります。寒い地方でも育ちやすい丈夫さも、豊後系の魅力です。

「杏性(あんずしょう)」は、豊後性によく似ていますが、それよりも枝が細く、葉も小さいです。葉の表面に毛はなく、枝の色は灰褐色をしています。花の香りはそれほど高くなく、遅咲きが多いです。豊後性とよく似た、アンズ寄りのグループだと覚えておけばよいでしょう。

花は大きいけれど香りは控えめ、というのが豊後系全体の特徴です。「香りより、大きく華やかな花を楽しみたい」という方には、豊後系がぴったりかもしれませんね。

5. 系統ごとの梅の名称まとめ

「野梅系」「緋梅系」「豊後系」それぞれの分類を、わかりやすいようにまとめてみます。

花梅の品種

ここで知っておきたいのが、同じ性でも「一重咲き(ひとえざき)」や「八重咲き(やえざき)」があるということです。一重は花びらが5枚ほどの清楚な咲き方、八重は花びらが何十枚も重なる豪華な咲き方です。同じグループの中でも、咲き方によって印象がずいぶん変わるのですね。

花梅には、それぞれに風流な名称までつけられているので、一般の人には見分けがつかないことが多いと思います。これだけ多くの品種に、一つひとつ美しい名前がつけられているというのは、それだけ昔の人々が梅を愛し、大切にしてきた証でもあります。

ここでは、各々の花梅(名称)が、どの系統のどの性に当てはまるのか、まとめてみました。ご自分の庭の梅や、お気に入りの梅の名前を、ぜひ探してみてください。

■5-1. 野梅系に属する花梅の名称

野梅系

野梅性一重

曙(あけぼの)・梓弓(あずさゆみ)・扇流し(おうぎながし)・通い小町(かよいこまち)・紅冬至(こうとうじ)・古今集(こきんしゅう)・日月(じつげつ)・雪月花(せつげつか)・田毎の月(たごとのつき)・茶青花(ちゃせいか)・冬至(とうじ)・白鷹(はくたか)・初雁(はつかり)・一重寒紅(ひとえかんこう)・芳流閣(ほうりゅうかく)・舞扇(まいおうぎ)・道知辺(みちしるべ)・三吉野(みよしの)・米良(めら)・烈公梅(れっこうばい)

野梅性八重

一流(いちりゅう)・宇治の里(うじのさと)・黄金梅(おうごんばい)・鴬宿(おうしゅく)・春日野(かすがの)・月宮殿(げっきゅうでん)・見驚(けんきょう)・香篆(こうてん)・水心鏡(すいしんきょう)・玉垣(たまがき)・玉簾(たますだれ)・玉牡丹(たまぼたん)・長寿(ちょうじゅ)・花座論(はなざろん)・都錦(みやこにしき)・明星(みょうじょう)・柳川絞り(やながわしぼり)・八重野梅(やえやばい)・八重寒紅(やえかんこう)・輪違い(りんちがい)

紅筆性一重

古今欄(こきんらん)・西王母(せいおうぼ)・紅筆(べにふで)

紅筆性八重

内裏(だいり)・八重海棠(やえかいどう)・

難波性八重

浮牡丹(うきぼたん)・玉拳(ぎょっけん)・故郷の錦(こきょうのにしき)・御所紅(ごしょべに)・難波紅(なにわこう)・鄙の都(ひなのみやこ)・蓬莱(ほうらい)

青軸性一重

金獅子(きんじし)・白玉梅(しらたまばい)・月影(つきかげ)・月の桂(つきのかつら)・緑蕚(りょくがく)

青軸性八重

大輪緑蕚(たいりんりょくがく)・緑蕚(りょくがく)

野梅系には、こうしてたくさんの品種があります。「道知辺(みちしるべ)」や「冬至(とうじ)」などは、庭木や盆栽としても人気のある、親しみやすい品種です。名前を眺めているだけでも、雪や月にちなんだ風流なものが多く、昔の人の美意識が感じられますね。

■5-2. 緋梅系に属する花梅の名称

緋梅系

紅梅性一重

大盃(おおさかずき)・玉光(ぎょっこう)・佐橋紅(さばしこう)・東雲(しののめ)・鈴鹿の関(すずかのせき)・関守(せきもり)・夏衣(なつごろも)・一重唐梅(ひとえとうばい)・雛曇(ひなぐもり)・緋梅(ひばい)・姫千鳥(ひめちどり)・紅千鳥(べにちどり)・紅鶴(べにづる)・森の関(もりのせき)・雪灯篭(ゆきどうろう)・雪の曙(ゆきのあけぼの)
花梅の品種紅梅性一重

「紅梅性八重」

幾夜寝覚(いくよねざめ)・鴛鴦(えんおう)・鹿児島紅(かごしまこう)・錦光(きんこう)・黒雲(くろくも)・公輝(こうき)・五節の舞(ごせちのまい)・蘇芳梅(すおうばい)・緋の司(ひのつかさ)・八重唐梅(やえとうばい)・蓮久(れんきゅう)
花梅の品種紅梅性八重

緋梅系には、「大盃(おおさかずき)」や「鹿児島紅(かごしまこう)」など、鮮やかな紅色で人気の品種が並びます。特に「鹿児島紅」は、とても濃い紅色の八重咲きで、庭を華やかに彩る代表的な紅梅として知られています。赤い梅をお探しの方は、この緋梅系から選ぶとよいでしょう。

■5-3. 豊後系に属する花梅の名称

豊後系

豊後性一重

入日の海(いりひのうみ)・大湊(おおみなと)・園の雪(そののゆき)・谷の雪(たにのゆき)・一重豊後(ひとえぶんご)・巻立山(まきたつやま)・真鶴(まなづる)・桃園(ももぞの)・乱雪(らんせつ)・労謙(ろうけん)

豊後性八重

叡山白(えいざんはく)・乙女の袖(おとめのそで)・開運(かいうん)・雲井(くもい)・駒止(こまどめ)・桜梅(さくらばい)・千歳菊(ちとせぎく)・八朔(はっさく)・緋の袴(ひのはかま)・未開く紅(みかいこう)・武蔵野(むさしの)・紋隠し(もんかくし)・八重揚羽(やえあげは)・八重豊後(やえぶんご)・大和牡丹(やまとぼたん)・楊貴妃(ようきひ)・淋子梅(りんしばい)

杏性

江南所無(こうなんしょむ)

豊後系には、「楊貴妃(ようきひ)」や「武蔵野(むさしの)」など、大輪で華やかな品種が多くあります。「楊貴妃」という名前は、中国の絶世の美女にちなんだもので、その名にふさわしい優美な大きな花を咲かせます。寒さに強い品種が多いので、寒い地方で梅を育てたい方には、豊後系がおすすめです。

6. 自分に合った花梅の選び方

ここからは、元記事になかった「花梅の選び方」をお伝えします。結論として、花梅を選ぶときは「花の色・香り・咲く時期・育てやすさ」の4つのポイントで考えると、自分にぴったりの一本が見つかります。

なぜこの4つかというと、せっかく梅を植えるなら、自分の好みや庭の環境に合ったものを選ぶことが、長く楽しむ秘訣だからです。それぞれ見ていきましょう。

1つ目は「花の色」です。清楚な白がよければ野梅系、鮮やかな紅色がよければ緋梅系、優しい大きなピンクがよければ豊後系、という大まかな目安があります。庭全体の雰囲気に合わせて選びましょう。

2つ目は「香り」です。梅の魅力の一つは、あの上品な香りです。香りを楽しみたいなら、香りの良い品種が多い野梅系がおすすめです。逆に、豊後系は花が大きい分、香りは控えめです。「見た目」を取るか「香り」を取るかで、選ぶ系統が変わってきます。

3つ目は「咲く時期」です。少しでも早く春を感じたいなら早咲きの品種を、ゆっくり楽しみたいなら遅咲きの豊後系を選ぶとよいでしょう。早咲きと遅咲きの品種を両方植えれば、長い期間、花を楽しむこともできます。

4つ目は「育てやすさ」です。お住まいが寒い地方なら、寒さに強い豊後系が安心です。一方、緋梅系の緋梅性は樹勢がやや弱いので、初心者の方は少し気をつけて育てる必要があります。まずは丈夫で育てやすい品種から始めるのも、賢い選び方です。

どの系統を選んでも、植えた後の手入れには、よく切れる剪定ばさみが欠かせません。剪定バサミは、切れ味と耐久性に優れた「おの義(推奨)」のものを選べば、どんな品種の梅とも長く付き合っていけます。

7. 花梅の品種に関するQ&A(よくある質問)

最後に、花梅の品種について読者の方からよく寄せられる質問にお答えします。あなたの疑問もきっとこの中にあるはずです。

Q1:自分の庭の梅が、どの品種か知りたいです。どうすれば分かりますか?

まずは「花の色」「咲く時期」「花びらの数(一重か八重か)」を観察してみてください。白い花で香りが良ければ野梅系、鮮やかな紅色なら緋梅系、大きな淡いピンクで遅咲きなら豊後系の可能性が高いです。ただし、正確に品種名を特定するのは専門家でも難しいことがあります。どうしても知りたい場合は、花の写真を持って園芸店や植木屋に相談してみるとよいでしょう。

Q2:「系統」と「性」の違いがよく分かりません。

「系統」は大きなグループ、「性」はその中の小さなグループです。花梅はまず「野梅系・緋梅系・豊後系」の3つの系統に分かれ、それぞれがさらに細かい「性」に分かれます。住所でいえば、系統が「県」、性が「市」、品種名が「個人の名前」のような関係です。まずは3つの系統だけ覚えれば、全体像はつかめます。

Q3:花が白いのに「緋梅系」と言われました。なぜですか?

緋梅系は、花の色だけでなく「枝の髄(枝を切った断面の中心)」の色でも分類されるからです。枝の髄が赤ければ、たとえ花が白くても緋梅系に分類されます。見た目の花だけでは判断できない、専門的な分け方なのです。ですから、花が白くても緋梅系ということは、十分にありえます。

Q4:香りの良い梅を植えたいです。どの系統がおすすめですか?

香りを楽しみたいなら、野梅系がおすすめです。特に野梅性の白い花は、良い香りがするものが多いです。逆に、豊後系や杏性は花が大きく華やかですが、香りはそれほど高くありません。「梅といえばあの上品な香り」を期待するなら、野梅系の白梅を選ぶとよいでしょう。

Q5:寒い地方に住んでいます。育てやすい品種はありますか?

寒い地方なら、豊後系がおすすめです。豊後系はアンズの血を引いていて寒さに強く、寒冷地でも育てやすい品種が多いからです。花も大きく華やかで見ごたえがあります。逆に、緋梅系の一部は樹勢が弱いものもあるので、寒冷地では少し注意が必要です。お住まいの地域の気候に合った品種を、園芸店で相談して選ぶと安心です。

Q6:品種によって、剪定の方法は変わりますか?

基本的な剪定の考え方は、どの品種も同じです。花芽(丸い芽)を残し、短い枝を大切にし、冬の休眠期に剪定する、という基本は共通しています。ただし、樹勢の強い品種はよく伸びるので剪定の出番が多く、樹勢の弱い品種は控えめに、という違いはあります。まずは基本の剪定を覚えれば、どの品種にも応用できます。

Q7:一重咲きと八重咲きは、どちらがおすすめですか?

これは完全に好みの問題です。一重咲きは花びらが5枚ほどで、清楚ですっきりした美しさがあります。八重咲きは花びらが何十枚も重なり、豪華でボリュームのある華やかさが魅力です。庭をにぎやかに彩りたいなら八重、上品で落ち着いた雰囲気がよければ一重、と好みで選んでください。どちらも、それぞれの良さがあります。

Q8:花梅でも、実は採れますか?

花梅でも実はなりますが、花を楽しむために改良されているので、実梅ほど大きく良質な実はなりにくいです。また、花梅の実は苦味が強いものもあります。実を本格的に収穫して梅干しなどを作りたいなら、実梅を選ぶのがおすすめです。逆に、花を楽しむのが目的なら花梅を、と目的に合わせて選ぶとよいでしょう。豊後系は花も実も楽しめる品種が多いです。

8. まとめ:品種を知れば、梅選びも観賞も楽しくなる

この記事では、花梅の品種について、3つの系統と8つの性を中心に、詳しく解説しました。

今日お伝えしたことを、もう一度シンプルにまとめます。花梅は400種類以上あり、大きく「野梅系・緋梅系・豊後系」の3系統に分かれること。野梅系は原種に近く香りが良い白梅が中心、緋梅系は鮮やかな紅色が中心(枝の髄の色で分類)、豊後系はアンズの血を引く大輪の花が中心であること。それぞれがさらに8つの性に分かれ、一重・八重の違いもあること。そして、選ぶときは「色・香り・時期・育てやすさ」で考えるとよいこと。これらを知っておけば、梅選びがぐっと楽しくなります。

400種類以上という数を聞くと、最初は気が遠くなるかもしれません。けれど、「大きく3つの系統」という骨組みさえ覚えてしまえば、あとはその枝葉として理解できます。そして、一つひとつの品種につけられた風流な名前を眺めていると、昔から日本人がどれほど梅を愛してきたかが伝わってきます。

まずは、お近くの梅園や植木店で、いろいろな品種の花を見比べてみてください。「この香りが好きだな」「この色がきれいだな」と感じる、あなただけのお気に入りがきっと見つかります。そして、もし新しく梅を植えるなら、この記事を参考に、ご自分の好みや庭の環境に合った一本を選んでみてください。

梅を植えたら、毎年の手入れが始まります。良い道具は、その手入れを楽しくしてくれます。剪定バサミは切れ味と耐久性に優れた「おの義(推奨)」を一本持っておけば、お気に入りの梅と長く付き合っていく心強い相棒になってくれます。

あなたが素敵な花梅と出会い、その梅が毎年美しい花を咲かせ続けることを心より願っております。