梅の剪定ナビ

梅の徒長枝を切って整理する方法

徒長枝は、梅だけでなくどんな木にも生えてきます。

特に剪定した後は、徒長枝が出やすいですが、徒長枝が生えてくるのには理由があります。

ここでは徒長枝にはどんな働きがあり、徒長枝を切り取らないとどんなことがおこるのか、そして、徒長枝を切り取る方法を解説します。

徒長枝の働き

梅の木を剪定した後に、枝を切った周辺部から、徒長枝が生えてくることに気づかれると思います。特に太い枝を切った時には、それなりに太くて長い徒長枝が出てくることがあります。

梅の木に生えてくる徒長枝は、切った枝元の周辺部分から生えることが多くありますが、その理由は、徒長枝には、切り取った枝元を修復しようとする働きがあるからです。

その時徒長枝は、樹木全体に注がれるはずだった養分を横取りして吸い上げ、勢いよく伸びようとします。だから太い枝を切ったのであれば、それなりの養分を吸い上げて修復しようとする働きが生じるために、太くて長い徒長枝が出てくるのです。

地面に近い部分に徒長枝が出るようになると、何度切っても、同じところで、同じように長くて太い徒長枝が出ることが多いです。それは、地面に近いほどたくさんの養分が吸い上げられるので、そのようなことがおこるのだと考えられます。

梅も生きている以上、切られた枝元の修復は怠れないので、徒長枝によってそのような活動が起こっているのです。

徒長枝が生えるとどうなるか

梅が健全に生育するためには、枝先に行く途中で、徒長枝によって養分が吸い取られ、生長を妨害されてしまってはいけません。

徒長枝が出ると、ほかの枝葉に供給されるはずの養分が途中で吸い取られることになります。その状態は、樹勢が悪くなるだけでなく、花芽が形成されなくなる可能性がありますので、不要な徒長枝は必ず切り取っておいた方が梅の生育のためにはよいです。

梅の生育には、日の光が欠かせないのですが、徒長枝が伸びると、樹形内部に十分に日が当たらなくなり、細かい枝も伸びなくなります。枝が密集して日が当たらなくなると、風通しが悪くなり、病害虫が発生しやすくなり、小枝はだんだんと枯れていくことになります。

徒長枝が伸びることで、そのような弊害をもたらすことになるので、不要な徒長枝は切り取っておいた方がよいです。

新芽を見つけたら夏場でも切り取った方がよいですが、夏場に行なう太い枝の剪定は徒長枝の発生を促しますので、樹形内部が見える冬の葉っぱがない時期に整理しておいた方がよいです。

徒長枝の見分け方

徒長枝は、切り取った枝元の周辺部分から多くの新芽として発生することが多いです。

その新芽が徒長枝なのですが、徒長枝はいずれ、養分を吸い上げ長くなりますので、枝を切り取った辺りから出ている新芽は逃さず切り取った方がよいです。

長く伸びてしまった徒長枝は、すでに養分が吸い上げられているので、その状態になる前に、不要な新芽は切り取った方がよいです。

徒長枝を選んで切り取る方法

枝を切り取らない場合でも、徒長枝が発生することはあります。その場合も、新芽を見つけたら抜き取るとよいです。

しかし、徒長枝はほかの枝葉に注がれる養分を横取りして大きくなるほど樹勢が強いことから、徒長枝を選んで枝を更新させることができるので、考え方次第では、徒長枝を生かすことも可能です。

これは、樹形の枝葉が少ない場所に徒長枝が伸びてきた場合、その徒長枝を生かして、小枝を発生させる方法です。

その手順は、徒長枝が伸びてきたら、あまり長くならない程度のところ(1.ここでカット)で、1度切ります。するとそこからは、また徒長枝が発生する可能性が高いです。その徒長枝をまた伸ばし、何度か切る作業(2.伸びたらカット)を繰り返すと枝が増えていく可能性があります。

これが、徒長枝を利用して新しい枝を更新していくことが可能な方法です。

ただし、この方法は梅が健全な状態でなければ、逆に樹勢が弱くなる可能性がありますので、あまりおすすめはできません。

夏場に徒長枝を切り取った場合は、再び徒長枝の発生を促すことになりますので、本来は夏場の剪定ではなく、葉っぱがなく樹形内部が見える冬の時期に、徒長枝を切り取っておいた方がよいです。