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春と夏に行なう梅の木の徒長枝の剪定

ここでは、庭師歴25年の経験をもとに、梅の若木を例に、春と夏に行う徒長枝(とちょうし)の剪定方法について解説しています。

年1回の手入れだけで、なるべく梅の木を大きくさせない切り方です。「庭が狭いので、これ以上大きくしたくない」という方には、とても役立つ内容です。最後まで読んでいただければ、徒長枝とどう付き合えばいいか、そして夏の剪定で気をつけるべきことが、はっきり分かります。

1. そもそも徒長枝とは何か

まず、これから何度も出てくる「徒長枝」という言葉について、はっきりさせておきましょう。結論として、徒長枝とは「勢いよく、まっすぐ長く伸びた枝」のことです。

なぜこれを最初に説明するかというと、徒長枝が何か分からないと、これから先の話が頭に入ってこないからです。徒長枝は、ほかの枝と比べて、ひときわ勢いよく、上に向かってビヨーンと長く伸びるのが特徴です。

たとえるなら、これは「クラスで一人だけ急に背が伸びた子」のようなものです。周りの枝が落ち着いて育っているのに、一本だけ突出して伸びてしまう。これが徒長枝です。

ここで知っておいてほしいのが、徒長枝の困った性質です。徒長枝は、勢いよく伸びる分、栄養をたくさん使ってしまいます。そのため、ほかの枝に回るはずの栄養を横取りしてしまうのです。さらに、梅の花は短い枝にたくさんつくのですが、長く伸びた徒長枝には、なかなか花がつきません。

つまり、徒長枝は「栄養を無駄に使い」「花もつきにくく」「樹形も乱す」という、三重に困った枝なのです。だからこそ、徒長枝とどう付き合うかが、梅の手入れの大切なポイントになります。この記事では、その付き合い方を、くわしくお伝えしていきます。

2. 徒長枝の剪定の基本的な考え方

結論として、徒長枝の剪定は「樹形を邪魔する枝は抜き、枝を作りたいときは細い枝を活かす」のが基本です。

なぜなら、徒長枝はすべてが悪者というわけではなく、使い方しだいで役に立つこともあるからです。年1回の手入れで、なるべく梅の木を大きくさせないようにするには、徒長枝を上手にコントロールすることが大切です。

具体的に見ていきましょう。まず、枝を作りたいときのコツです。新しい枝を作る時は、できれば太い徒長枝ではなく、細い枝で作るようにするとよいです。なぜなら、太い徒長枝から枝を作ると、その枝も勢いが強くなりすぎて、また大きくなってしまうからです。細い枝でゆっくり作る方が、こぢんまりとまとまります。

ただし、場合によっては、太い枝で枝を作る必要もあります。それは、徒長枝であっても、枝ぶりや、上下にある枝の樹勢(じゅせい=勢い)によって、残したり、途中で切り残しておいて将来の行方を見たりする時です。つまり、「この徒長枝は、将来良い枝になりそうだ」と判断したら、あえて残すこともある、ということです。

たとえるなら、これは「子どもの個性を見て育てる」ようなものです。やんちゃな子(徒長枝)でも、見どころがあれば、すぐに叱らず、しばらく様子を見る。そんな柔軟さも、剪定には必要なのです。

そして、判断に迷ったときの目安をお伝えします。大雑把にですが、遠くから見て輪郭が整っているかを気にしてみてください。徒長枝がその輪郭を邪魔しているのであれば、抜いた方がよいです。逆に、輪郭を邪魔していないなら、しばらく残しておいてもよいのです。

3. 樹形を遠くから確認することの大切さ

結論として、剪定をするときは、時々遠くから樹形を見渡して、全体のバランスを確認することがとても大切です。

なぜなら、木に近づいて一本一本の枝を見ていると、木全体の形が分からなくなってしまうからです。枝の細かい部分ばかり気にしていると、気づいたときには全体のバランスが崩れていた、ということがよくあります。

たとえるなら、これは「自分の髪を切るとき、鏡から離れて全体を確認する」のと同じです。手元ばかり見て切っていると、左右で長さが違ったり、全体の形がおかしくなったりしますよね。だから、時々鏡から離れて、全体のバランスを見る。木の剪定も、まったく同じなのです。

具体的なやり方をお伝えします。剪定の途中で、何度か木から数メートル離れて、木全体を眺めてみてください。そして、「輪郭は整っているか」「左右のバランスは取れているか」「飛び出している枝はないか」を確認します。もし、一本だけ突出している徒長枝が輪郭を乱しているのを見つけたら、それが抜くべき枝です。

この「離れて見る」という習慣をつけるだけで、剪定の仕上がりが見違えるほど良くなります。近くで見る目と、遠くから見る目。この両方を使い分けることが、美しい樹形を作るコツなのです。面倒に感じるかもしれませんが、ぜひ何度も離れて確認してみてください。

剪定に使う道具も大切です。切れ味の悪いハサミだと切り口がつぶれ、そこから病気が入りやすくなります。剪定バサミは、切れ味と耐久性に優れた「おの義(推奨)」のものを使えば間違いありません。

4. 植木屋の本音

ここで、少し木の気持ちになって考えてみたいと思います。結論として、剪定は人間の都合で行うものであり、木にとっては大きな負担になっている、ということを忘れてはいけません。

「葉っぱが生い茂ったらうっとうしいので切りたい!」という人間のエゴのために、決して感情が表面に出ることがなく、動けないでいる梅の木は、いつも犠牲になっています。

これを人間で例えると、どうなるでしょうか。たくさん食べて、せっかく太ったのに、「大きくなりすぎてうっとうしくなったから、手術で脂肪を切り取ってあげるよ!」と言われているのと同じだと思います。

でも、切り取ったら、体はそこを修復しようと、体中の栄養分がそこに向かって行きます。そして、手術をしたことで、体は衰弱してしまいます。

木の場合も、まったく同じです。切られたら、そこを修復しようと、徒長枝となって出てきます。栄養分がそこに向かって行くので、徒長枝が出る場所は、切った周辺が圧倒的に多いのです。そして、その他の部分には栄養が行き届かないので、衰弱する傾向があります。

なぜこんな話をするのかというと、剪定を「ただ枝を切る作業」ではなく、「木に負担をかける行為」だと理解してほしいからです。そう理解すると、自然と「必要以上に切らない」「木に優しい時期に切る」という気持ちが芽生えてきます。木は文句を言いませんが、確かに生きていて、切られれば負担を感じているのです。この視点を持つことが、上手な剪定への第一歩になります。

5. なぜ夏の強い剪定はおすすめできないのか

結論として、夏の強い剪定はおすすめできません。なぜなら、夏は木が栄養を作り、来年の花の準備をする大切な時期だからです。

くわしく説明します。夏は葉っぱが生い茂りますが、どうして葉っぱが出るのかというと、光合成を起こして、木に栄養を蓄えるからです。木は、根だけから養分を吸い上げるわけではなく、上にある葉っぱからも養分を補給しているのです。葉っぱは、木にとっての「ごはんを作る台所」なのですね。

そして、その養分は、来年に咲く花芽の形成や、実をつけるのに役立ちます。ところが、夏に剪定を行うと、どうなるでしょうか。花芽に行くはずの樹勢が、無駄に修復するための徒長枝に取られてしまうのです。せっかく来年の花のために蓄えようとしていた栄養が、傷を治すことに使われてしまう、というわけです。

もっと悪いことがあります。切ったところから徒長枝が出るのですが、切る前以上に徒長枝が伸びることもあるのです。これでは、いくら剪定をして木がきれいになったとしても、すぐにまた徒長枝が伸びてきて、2度手間になる可能性があります。

たとえるなら、これは「散らかった部屋を片づけたのに、すぐにまた散らかってしまう」ようなものです。しかも、片づけるたびに本人(木)は疲れていく。これでは、何のために剪定したのか分かりません。

ですから、徒長枝を一気に全部切るような強い剪定は、夏ではなく、木が休んでいる冬に行うのがおすすめです。夏は、あくまで軽く整える程度にとどめましょう。

6. 夏に徒長枝が気になったときの対処法

「とはいえ、夏に伸びた徒長枝が気になって仕方ない」という方もいるでしょう。結論として、夏に徒長枝が気になったら「軽い間引き」と「新芽の摘み取り」で対処するのがおすすめです。

なぜ軽い対処にとどめるかというと、先ほどお伝えした通り、夏の強い剪定は木を弱らせ、かえって徒長枝を増やしてしまうからです。一気に切るのではなく、上手に付き合うのがコツです。

具体的な対処法を2つお伝えします。

1つ目は「軽い間引き」です。あまりにも飛び出して目立つ徒長枝だけを、付け根から間引く程度にとどめます。すべての徒長枝を切ろうとせず、「これは特にひどいな」というものだけを選んで抜きます。これなら、木への負担も最小限で済みます。

2つ目は「新芽のうちに摘み取る」ことです。これが、いちばんおすすめの方法です。徒長枝は、最初は小さな新芽として出てきます。この新芽が小さくて柔らかいうちに、見つけしだい手で摘み取ってしまうのです。小さいうちなら、ハサミも要らず、指で簡単にもぎ取れます。

なぜ新芽のうちがいいのか。それは、雑草を小さいうちに抜くのが楽なのと同じです。大きく育ってから切ると、木への負担も大きく、切り口から余計に徒長枝が出てしまいます。でも、新芽のうちに摘めば、木はほとんどダメージを受けません。「徒長枝は、大きくなる前に摘む」。これを習慣にすると、夏も木を大きくさせずに、すっきり保てます。

そして、本格的に徒長枝を整理したいなら、葉が落ちた冬まで待ちましょう。冬なら、木が休んでいるので負担が少なく、枝の全体像も見えて、じっくり整理できます。

7. 木を大きくさせないための年間の手入れ

この記事のテーマである「なるべく梅の木を大きくさせない」ために、一年を通した手入れの流れをまとめておきます。結論として、木を大きくさせないコツは「夏は軽く、冬にしっかり、そしてこまめに」の3つです。

なぜ年間で考えるとよいかというと、梅の手入れは季節ごとにやるべきことが違うからです。順番に見ていきましょう。

春から夏は、新しい芽や徒長枝が出てくる時期です。この時期は、強く切らず、飛び出した徒長枝の新芽を、小さいうちに手で摘み取ります。こまめに摘むことで、木が無駄に大きくなるのを防げます。

夏の盛りは、木が活発に活動する時期です。基本は見守り、どうしても気になる徒長枝だけを軽く間引きます。強い剪定は避けてください。

秋から冬、葉が落ちたら、本格的な剪定の出番です。この時期に、伸びた徒長枝を整理し、混みあった枝を間引いて、木全体の大きさと形を整えます。木が休んでいるので、しっかり切っても負担が少なく、枝も見やすいです。

このサイクルを毎年繰り返すことで、梅の木を「自分が手入れできる大きさ」に保てます。大切なのは、数年放置して大きくしてから一気に切るのではなく、毎年こまめに手を入れることです。こまめに整える方が、木にも優しく、手入れも楽で、きれいに保てます。

「夏は軽く、冬にしっかり、そしてこまめに」。この合言葉を覚えておけば、木を大きくさせずに、毎年美しい花を楽しめます。

8. 梅の徒長枝の剪定に関するQ&A(よくある質問)

最後に、梅の徒長枝の剪定について読者の方からよく寄せられる質問にお答えします。あなたの疑問もきっとこの中にあるはずです。

Q1:徒長枝とは、どんな枝のことですか?

徒長枝とは、ほかの枝より勢いよく、まっすぐ長く伸びた枝のことです。クラスで一人だけ急に背が伸びた子のように、一本だけ突出して伸びるのが特徴です。栄養をたくさん使ううえに花もつきにくく、樹形も乱すので、基本的には整理する対象になります。ただし、将来良い枝になりそうなものは、あえて残すこともあります。

Q2:徒長枝は、全部切ってしまっていいですか?

すべて切る必要はありません。樹形の輪郭を邪魔している徒長枝は抜きますが、枝ぶりが良く、将来役に立ちそうなものは残すこともあります。判断のコツは、遠くから木を眺めて、輪郭を乱しているかどうかを見ること。乱しているなら抜き、邪魔していないなら様子を見る。柔軟に対応するのがよいでしょう。

Q3:なぜ夏に強く剪定してはいけないのですか?

夏は、葉が光合成をして、来年の花芽や実のための栄養を蓄える大切な時期だからです。夏に強く切ると、花芽に行くはずの栄養が、傷を修復する徒長枝に取られてしまいます。さらに、切ったところから切る前以上に徒長枝が伸びることもあり、2度手間になります。強い剪定は、木が休む冬に行いましょう。

Q4:夏に伸びた徒長枝が気になります。どうすればいいですか?

軽い対処にとどめましょう。特に飛び出して目立つ徒長枝だけを、付け根から間引く程度にします。いちばんおすすめなのは、徒長枝が小さな新芽のうちに、手で摘み取ってしまうことです。小さいうちなら指で簡単に取れて、木への負担もほとんどありません。本格的な整理は、冬まで待つのが正解です。

Q5:新しい枝を作りたいときは、太い枝と細い枝、どちらがいいですか?

基本は、細い枝で作るのがおすすめです。太い徒長枝から枝を作ると、勢いが強くなりすぎて、また大きくなってしまうからです。細い枝でゆっくり作る方が、こぢんまりとまとまります。ただし、枝ぶりや上下の枝の勢いによっては、太い枝を活かすこともあるので、木の様子を見ながら判断しましょう。

Q6:剪定するとき、木に近づいて見るのと、離れて見るの、どちらがいいですか?

両方使い分けるのが正解です。枝を切るときは近くで見ますが、時々数メートル離れて、木全体の輪郭やバランスを確認してください。近くばかり見ていると、全体の形が崩れていることに気づけません。自分の髪を切るとき、鏡から離れて全体を見るのと同じです。「離れて見る」習慣が、美しい樹形を作るコツです。

Q7:木をこれ以上大きくしたくありません。どうすればいいですか?

「夏は軽く、冬にしっかり、そしてこまめに」が合言葉です。春夏は徒長枝の新芽を小さいうちに手で摘み、夏は気になる枝だけ軽く間引き、冬に伸びた枝をしっかり整理します。数年放置して一気に切るより、毎年こまめに手を入れる方が、木にも優しく、決めた大きさに保てます。

Q8:徒長枝を切ったら、また同じ場所から生えてきました。なぜですか?

それは、木が切られた傷を修復しようとして、その周辺に栄養を集中させ、徒長枝を出すからです。特に夏に強く切ると、この傾向が強く、切る前以上に伸びることもあります。これを防ぐには、夏の強剪定を避け、徒長枝は小さな新芽のうちに摘み取ること。そして本格的な整理は、木が休む冬に行うことが大切です。

9. まとめ:徒長枝とは上手に付き合おう

この記事では、春と夏に行う梅の徒長枝の剪定について、詳しく解説しました。

今日お伝えしたことを、もう一度シンプルにまとめます。徒長枝とは、勢いよく長く伸びた枝で、栄養を無駄に使い、花もつきにくいこと。枝を作るときは、できるだけ細い枝で作ること。剪定のときは、遠くから樹形を確認してバランスを見ること。夏の強い剪定は、花芽の栄養を奪い、かえって徒長枝を増やすので避けること。夏は新芽を小さいうちに摘み、本格的な整理は冬に行うこと。これらを守れば、木を大きくさせずに、美しく保てます。

剪定は、人間の都合で木に負担をかける行為でもあります。だからこそ、「必要以上に切らない」「木に優しい時期に切る」という気持ちを大切にしてください。木は文句を言いませんが、確かに生きていて、切られれば負担を感じています。その木の気持ちに寄り添うことが、上手な剪定への第一歩です。

まずはご自分の梅の木をよく観察し、勢いよく飛び出した徒長枝がないか、遠くから眺めてみてください。そして、気になる徒長枝は、小さな新芽のうちに摘み取る習慣をつけましょう。こまめな手入れが、木を大きくさせず、毎年の花を楽しむ秘訣です。

良い道具は、楽しい手入れの相棒になります。剪定バサミは切れ味と耐久性に優れた「おの義(推奨)」を一本持っておけば、梅の木と長く付き合っていく心強い味方になってくれます。

あなたの梅の木が、これからも元気に、そして美しく咲き続けることを心より願っております。

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