はじめに
梅の木を育てていると、春から夏にかけて、ほかの枝とはあきらかにちがう、勢いよくまっすぐ天に向かって、ぐんぐん伸びる枝を見かけることがあります。「なんだか、この枝だけやたらと元気だな」「他の枝より、ずっと長く伸びているぞ」。この枝こそが、「徒長枝(とちょうし)」と呼ばれるものです。そして多くの方が、「この勢いのいい枝を、いったいどう扱えばいいのだろう」と、頭を悩ませます。
じつは、この徒長枝、多くの本やサイトでは「じゃまな枝」「切るべき枝」と、すっかり悪者あつかいされています。たしかに、放っておくとやっかいな面もあるのですが、それだけで「悪者」と決めつけて、やみくもに全部切ってしまうのは、じつはもったいないことなのです。徒長枝は、正しく理解して上手につきあえば、木にとって役立つ存在にもなります。「切るべきもの」と「活かせるもの」を見分けられるようになると、あなたの剪定は、ぐっと上のレベルへと進みます。
この記事では、「梅の徒長枝を、ただ切るのではなく、上手に活かして整理するコツ」を、庭師の目線でとことんわかりやすくお伝えします。そもそも徒長枝とは何か、なぜ生えてくるのか、どう見分けるのか、そして「切る徒長枝」と「活かす徒長枝」の見極め方まで、ていねいにご紹介します。読み終えるころには、徒長枝を見て「よし、この枝はこうしよう」と、自信を持って判断できるようになるはずです。それでは、一緒に徒長枝の正体に迫っていきましょう。
そもそも徒長枝とは何か?~勢いよく伸びる枝の正体~
まず、徒長枝とはいったい何なのか、その正体を知ることから始めましょう。なぜなら、徒長枝の性質を理解すると、「なぜ悪者あつかいされるのか」「でも本当は活かせるのか」が、すっきりわかるからです。
徒長枝とは、ひとことでいうと、「勢いよく、まっすぐ長く伸びた枝」のことです。ほかの普通の枝が、そこそこの長さで落ち着いているのに対し、徒長枝だけは、まるで競争でもするように、ぐんぐんと上へ伸びていきます。太くて元気なのですが、その勢いのよさが、じつはさまざまな問題のもとにもなるのです。
■なぜ「悪者」と言われるのか
徒長枝が悪者あつかいされるのには、理由があります。まず、勢いがよすぎて、木の栄養をどんどん横取りしてしまうこと。すると、花や実のなる大切な枝に、栄養が回りにくくなります。次に、長く伸びて木の姿を乱し、見た目が悪くなること。さらに、上へ伸びすぎて、木の内側の風通しや日当たりを悪くしてしまうこともあります。これらの理由から、「徒長枝はじゃま者」とされてきたのです。
■でも、悪いことばかりではない
しかし、徒長枝は悪いことばかりではありません。徒長枝は、木がとても元気な証拠でもあります。勢いよく伸びる力があるということは、根がしっかりしていて、体力のある木だということです。そして、この元気な枝を、うまく切り戻したり、向きを整えたりすることで、将来、花や実のなるよい枝に変えていくこともできるのです。つまり、徒長枝は「じゃま者」であると同時に、「使い方しだいで役立つ、木の元気の源」でもあるのです。
■「立ち枝」との違い
よく似た言葉に「立ち枝(たちえだ)」があります。立ち枝は、上に向かって立つように伸びる枝全般を指す言葉です。徒長枝も上に向かって伸びるので立ち枝の一種といえますが、徒長枝はとくに「勢いよく、長く、太く伸びた」ものを指す、と考えるとわかりやすいです。どちらも整理の対象になりやすい枝ですが、徒長枝は特に勢いが強い、と覚えておきましょう。
つまり、徒長枝とは「勢いよくまっすぐ長く伸びた枝」で、じゃまになる面がある一方、木の元気の証でもあり、活かせる可能性も秘めた枝なのです。
なぜ徒長枝は生えてくるのか?~原因を知れば対策できる~
徒長枝と上手につきあうには、「なぜ徒長枝が生えてくるのか」その原因を知ることが大切です。なぜなら、原因がわかれば、徒長枝が出すぎるのをある程度防いだり、心構えを持って対応したりできるからです。
徒長枝が生えてくるのには、いくつかの原因があります。共通しているのは、「木が、余ったエネルギーを勢いよく成長に使おうとしている」ということです。
■原因1:強く切りすぎた(強剪定)
いちばん多い原因が、「切りすぎ」です。剪定のときに、枝をたくさん切りすぎると、木は「大変だ、早く枝葉を取りもどさなくては」とあわてて、勢いよく枝を伸ばそうとします。その結果、たくさんの徒長枝が生えてくるのです。「徒長枝がじゃまだから」と、バッサリ切りすぎると、かえって翌年、もっとたくさんの徒長枝が生えてくる、という悪循環におちいることもあります。これは、多くの方が経験する失敗です。
■原因2:肥料のあげすぎ
肥料、とくにチッ素という成分の多い肥料をあげすぎると、木は栄養が余って、勢いよく枝葉を茂らせます。これも徒長枝が増える原因になります。「よかれと思ってたくさん肥料をあげたら、徒長枝ばかりになってしまった」ということもあるので、肥料は適量を守ることが大切です。
■原因3:木がもともと元気
若くて元気な木や、根がしっかり張った木は、そもそも成長する力が強いので、徒長枝が出やすい傾向があります。これは、木が健康な証拠でもあるので、悪いことではありません。元気な木ほど、上手に徒長枝とつきあっていく必要がある、ということです。
■放置するとどうなる?
では、徒長枝を放っておくと、どうなるのでしょうか。放置すると、栄養を横取りされて花や実が減り、木の姿はどんどん乱れ、内部が混み合って風通しが悪くなり、病気や害虫も出やすくなります。ですから、活かすにせよ切るにせよ、「放置しない」ことだけは大切です。
つまり、徒長枝が生える主な原因は「切りすぎ・肥料のあげすぎ・木の元気」です。原因を知っておけば、出すぎを防いだり、落ち着いて対応したりできるようになります。
徒長枝の見分け方 ~ほかの枝との違い~
徒長枝を上手にあつかうには、まず「これが徒長枝だ」と、はっきり見分けられることが大切です。なぜなら、ほかの大切な枝と区別できて初めて、正しい判断ができるからです。ここでは、徒長枝の見分け方を、具体的にお伝えします。
■見分けポイント1:とにかく長くて勢いがいい
徒長枝のいちばんの特徴は、ほかの枝にくらべて、あきらかに長く、勢いよく伸びていることです。木を全体で眺めたとき、一本だけ、あるいは数本だけ、飛び出すように長く伸びている枝があれば、それが徒長枝です。周りの枝とくらべて「明らかに目立つ」のが、わかりやすい目安です。
■見分けポイント2:まっすぐ上に向かって伸びる
徒長枝は、多くの場合、横に広がるのではなく、まっすぐ上、天に向かって伸びます。木の自然な枝ぶりを無視して、勢いよく直立していたら、徒長枝の可能性が高いです。この「上向きにビュンと伸びる」姿が、徒長枝の典型です。
■見分けポイント3:花芽がつきにくい
もう一つ大切なのが、徒長枝には花芽(花になる、ぷっくり丸い芽)がつきにくい、という点です。勢いよく伸びることにエネルギーを使っているため、花や実をつける余裕がないのです。冬に枝を見て、ぷっくりした花芽がほとんどなく、細くとがった葉芽ばかりなら、それは徒長枝の特徴です。反対に、短くて花芽がびっしりついた枝(短果枝=たんかし)は、大切に残すべき枝です。
■見分けポイント4:太くて色が若い
徒長枝は、勢いがよいぶん、ほかの枝より太く、そして色が新しく若々しいことが多いです。表面がつやつやして、いかにも「今、勢いよく育っています」という感じの枝が、徒長枝です。
つまり、徒長枝の見分け方は「長くて勢いがいい・まっすぐ上に伸びる・花芽がつきにくい・太くて若い」です。これらの特徴を覚えておけば、木を見たときに、すぐに徒長枝を見つけられるようになります。
「切る徒長枝」と「活かす徒長枝」の見極め方
いよいよ、この記事のいちばん大切なところです。徒長枝は、すべてを切るのでも、すべてを残すのでもなく、「切るもの」と「活かすもの」を見極めることが肝心です。なぜなら、木の状態や場所によって、じゃまになる徒長枝もあれば、将来役立つ徒長枝もあるからです。この見極めができると、剪定の質がぐっと上がります。
■切ったほうがよい徒長枝
まず、切ったほうがよいのは、次のような徒長枝です。木の内側に向かって伸びて、混み合いのもとになっているもの。ほかの枝と交差して、じゃまになっているもの。木のてっぺんから勢いよく伸びて、木を高くしすぎてしまうもの。そして、明らかに樹形を乱していて、活かしようのないもの。これらは、木の健康や姿のために、整理してあげましょう。
■活かせる徒長枝
一方、活かせるのは、次のような徒長枝です。木の骨組みに、ちょうど枝がほしい場所(枝の少ない空間)に生えているもの。将来、主要な枝(主枝=しゅし)として育てたい位置にあるもの。古くなった枝の代わりに、若い枝として更新したい場所にあるもの。こうした徒長枝は、切ってしまわずに、うまく育てることで、木の役に立つ枝に変えられます。
■活かす方法1:切り戻して短果枝に変える
活かせる徒長枝の使い方の一つが、「切り戻し」です。長く伸びた徒長枝を、途中で短く切りつめるのです。こうすると、勢いが弱まり、翌年以降、その枝から短い枝(花芽のつく短果枝)が出やすくなります。つまり、暴れん坊の徒長枝を、花や実のなる、おとなしいよい枝に変身させることができるのです。これは、徒長枝を活かす、代表的なプロのワザです。
■活かす方法2:枝の向きを誘引(ゆういん)する
もう一つの方法が、枝の向きを変える「誘引」です。まっすぐ上に伸びた徒長枝を、ひもなどで横向きに引っぱって、寝かせるように仕立てるのです。枝は、上向きだと勢いよく伸び続けますが、横向きにすると勢いが落ち着き、花芽がつきやすくなる性質があります。空いている空間に、枝を誘引して配置すれば、木の姿を整えながら、花や実も楽しめる、一石二鳥のワザです。
つまり、徒長枝は「じゃまなものは切る」「役立つものは切り戻しや誘引で活かす」と見極めるのがコツです。全部切るのではなく、活かす道を考えることで、剪定はもっと奥深く、楽しくなります。
徒長枝を切る時期と、正しい切り方
徒長枝を整理すると決めたら、次に大切なのが「いつ」「どう切るか」です。なぜなら、切る時期や切り方を間違えると、かえって徒長枝が増えたり、木を傷めたりすることがあるからです。ここでは、徒長枝の正しい切り方をお伝えします。
■いつ切る? ~夏と冬、それぞれの意味~
徒長枝を切るタイミングには、大きく「夏」と「冬」があります。夏(六~七月ごろ)は、伸びてきた徒長枝を、早めに整理するのに適しています。勢いのある枝を夏に整理すると、栄養が実のなる枝に回り、実が大きく充実します。「梅酒や梅干し用の、あの大きな実は、夏の剪定が正しかったからこそ育つ」のは、この徒長枝の整理が効いているからです。一方、冬(十二月~一月ごろ)は、木全体の形を見ながら、じっくり整理するのに適しています。葉が落ちて枝がよく見えるので、どの徒長枝を切り、どれを活かすか、落ち着いて判断できます。
■切るときは「付け根から」が基本
いらない徒長枝をまるごと切り取るときは、その枝の付け根から、すっきりと切り落とすのが基本です。中途半端に短く切り残すと、じつは、そこからまた新しい徒長枝が、何本も勢いよく生えてくることがあります。これが「切ったのに、余計に増えた」という失敗のもとです。活かさない徒長枝は、思い切って付け根から切りましょう。
■活かすなら「切り戻し」で
反対に、活かす徒長枝は、付け根からではなく、途中で切りつめる「切り戻し」にします。どこで切るかは、外向きの芽の少し上が目安です。こうすると、そこから枝分かれして、花芽のつく短い枝が出やすくなります。切る位置によって、その後の枝の出方が変わるので、「活かすなら途中で、切るなら付け根で」と使い分けましょう。
■一度に切りすぎない
ここでも大切なのが、「一度に切りすぎない」ことです。徒長枝がたくさんあると、つい全部バッサリ切りたくなりますが、強く切りすぎると、木が驚いて、翌年もっとたくさんの徒長枝を出してしまいます。数年かけて、少しずつ整理していくくらいの、ゆったりした気持ちで臨むのが、じつはいちばんの近道なのです。
つまり、徒長枝を切るコツは「夏と冬に整理・切るなら付け根から・活かすなら切り戻し・一度に切りすぎない」です。時期と切り方を守れば、徒長枝を上手にコントロールできます。
【プロの視点】徒長枝は「木の元気」を教えてくれるサイン
ここからは、梅の専門サイトとして、いちばんお伝えしたいまとめのお話です。じつは、徒長枝と上手につきあえるようになることは、単に一本の枝を処理する技術を超えて、「木全体の状態を読み取る力」を身につけることにつながります。なぜなら、徒長枝は、木が今どんな状態にあるかを教えてくれる、大切なサインだからです。
■徒長枝の出方で、木の状態がわかる
徒長枝がたくさん出るということは、木がとても元気で、成長する力にあふれている証拠です。逆にいえば、剪定が強すぎたり、肥料が多すぎたりして、木のエネルギーがうまく実りに向かっていないサインでもあります。徒長枝をただ切るのではなく、「なぜこんなに出るのだろう」と考えることで、剪定の仕方や肥料の量を見直すきっかけになります。徒長枝は、木からのメッセージなのです。プロの庭師は、徒長枝の出方を見て、その木とのつきあい方を調整しているのです。
■切ることと活かすことのバランス
徒長枝とのつきあいで大切なのは、「切る」と「活かす」のバランス感覚です。すべてを切れば、木の元気な力をむだにし、かえって暴れさせてしまう。すべてを残せば、栄養を横取りされて、花も実も減ってしまう。この中間で、「じゃまなものは整理し、役立つものは育てる」というバランスをとることが、剪定の醍醐味(だいごみ)です。徒長枝を上手にあつかえるようになると、あなたはもう、初心者を卒業して、木と対話できる域に入っているのです。
■徒長枝を活かして木を若返らせる
さらに、徒長枝は、木を若返らせる力も持っています。古くなって花つきの悪くなった枝を、勢いのよい徒長枝で更新(切り替え)することで、木全体を若々しく保つことができます。長い年月、梅とつきあっていくうえで、この「徒長枝を使った若返り」は、とても役立つ考え方です。悪者どころか、徒長枝は木の未来を支える、頼もしい存在にもなるのです。
■一年を通した手入れの中で考える
そして、徒長枝の整理は、夏の剪定、冬の剪定、肥料やり、といった一年を通した手入れの中で考えることが大切です。夏に徒長枝を整理して実を充実させ、冬に木の形を整え、肥料を適量に保って徒長枝の出すぎを防ぐ。こうした一連の流れの中で、徒長枝と上手につきあっていくのです。
つまり、徒長枝は「切るべき悪者」ではなく、「木の元気を教えてくれるサイン」であり、「活かせば木の役に立つ存在」です。「桜切る馬鹿、梅切らぬ馬鹿」という昔の言葉のとおり、梅は正しく切ってこそ応えてくれますが、その「正しさ」の中には、徒長枝を見極めて活かす知恵も含まれているのです。徒長枝とのつきあい方を知った今、あなたの剪定は、一段と深いものになっているはずです。当サイトには、夏の剪定や冬の剪定をくわしく解説した記事もありますので、あわせて参考にしていただければうれしいです。
読者からよくある質問(Q&A)
Q1. 徒長枝は、全部切ってしまってもいいですか?
A. 全部切る必要はありません。じゃまになる徒長枝は切りますが、木の骨組みにほしい場所や、古い枝を更新したい場所に生えたものは、活かせます。すべてを切ると、木の元気な力をむだにし、かえって翌年たくさんの徒長枝が出ることもあります。「切るもの」と「活かすもの」を見極めるのがコツです。
Q2. 徒長枝を切ったら、また同じ場所からたくさん生えてきました。なぜ?
A. 中途半端な位置で切ると、そこから新しい徒長枝が何本も出てくることがあります。また、一度に強く切りすぎると、木が驚いて、翌年もっと徒長枝を出すこともあります。いらない徒長枝は付け根からすっきり切り、一度に切りすぎないことが、増やさないコツです。
Q3. 徒長枝に花は咲かないのですか?
A. 勢いよく伸びている間は、花芽がつきにくく、花はあまり咲きません。エネルギーを伸びることに使っているからです。ただし、切り戻しや誘引で勢いを落ち着かせると、翌年以降、その枝から花芽のつく短い枝が出て、花や実を楽しめるようになります。活かせば花も咲かせられるのです。
Q4. 徒長枝と、残すべき枝の見分け方を教えてください。
A. 徒長枝は、長く勢いよく、まっすぐ上に伸び、花芽(丸い芽)がつきにくいのが特徴です。反対に、残すべきなのは、短くて、ぷっくりした花芽がたくさんついた枝(短果枝)です。冬に枝を見て、丸い花芽が多ければ残す枝、細い葉芽ばかりで長ければ徒長枝、と見分けられます。
Q5. 徒長枝はいつ切るのがいいですか?
A. 夏(六~七月ごろ)と冬(十二~一月ごろ)が主な時期です。夏に整理すると、栄養が実に回って実が大きくなります。冬は葉が落ちて枝がよく見えるので、木全体を見ながらじっくり整理できます。両方の時期を活用すると、徒長枝を上手にコントロールできます。
Q6. 「切り戻し」と「付け根で切る」は、どう使い分けますか?
A. 活かしたい徒長枝は、途中で切りつめる「切り戻し」にします。すると花芽のつく短い枝が出やすくなります。いらない徒長枝は、付け根からすっきり切り落とします。「活かすなら途中で、切るなら付け根で」と覚えておくと、使い分けが簡単です。
Q7. 徒長枝を誘引するとは、どういうことですか?
A. まっすぐ上に伸びた徒長枝を、ひもなどで横向きに引っぱって、寝かせるように仕立てることです。枝は上向きだと勢いよく伸び続けますが、横向きにすると勢いが落ち着き、花芽がつきやすくなります。空いている空間に枝を配置でき、木の姿を整えながら花も楽しめる、便利なワザです。
Q8. 徒長枝が毎年たくさん出ます。減らす方法はありますか?
A. 徒長枝が多い原因は、切りすぎか、肥料(とくにチッ素)のあげすぎ、または木がとても元気なことです。一度に強く切りすぎないようにし、肥料を適量に保つと、出すぎを抑えられます。ただし、元気な木ほど徒長枝は出やすいので、上手につきあう気持ちも大切です。
Q9. 切った徒長枝は、挿し木に使えますか?
A. 使えることがあります。徒長枝は勢いのある元気な枝なので、挿し木の材料として試してみる価値はあります。ただし、梅の挿し木はもともと成功率が高くないので、「うまくいったらラッキー」くらいの気持ちで挑戦しましょう。せっかく切った枝の、有効活用の一つになります。
Q10. しだれ梅の徒長枝も、同じようにあつかっていいですか?
A. 基本の考え方は同じですが、しだれ梅は枝を垂らして楽しむ木なので、少し注意が必要です。しだれ梅では、上に勢いよく伸びる徒長枝が、美しい枝垂れの姿を乱すことがあります。しだれの樹形を保つために、上向きの強い徒長枝は整理し、垂れる枝を生かすように仕立てるのがコツです。
徒長枝は、多くの人に「悪者」とあつかわれがちですが、けっしてそれだけの存在ではありません。勢いよく伸びるその姿は、木が元気である証であり、上手に活かせば、花や実のなるよい枝にも、木を若返らせる力にもなります。大切なのは、やみくもに全部切るのではなく、「じゃまなものは整理し、役立つものは活かす」という見極めの目を持つこと。切り戻しや誘引といったワザを覚えれば、徒長枝はあなたの心強い味方になります。徒長枝と上手につきあえるようになったとき、あなたの梅の木は、これまで以上に美しく、豊かに実り、そしてあなた自身の剪定の腕も、確実に一段上がっているはずです。やっぱり、梅の木って最高です。

